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 里山にまつわる雑学をご紹介していきます。

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第2回 里山の雑学(里山と人・序)

 山林は、私たちにとって身近な自然なのだと思います。
 とりわけ、「里山」と呼ばれる山林は、古くから山里にある集落にとって、生活に欠かせない、食べ物や燃料の採取地だったと言われています。
 それでは、「里山」と「人」はどのような関係があるのでしょうか。

 「里山の利用」と言いますと、「古くから薪や炭の生産場所」であったと言うような事が言われますが、「古くから」とはいつ頃の事なのかがよくわかりません。
 面白いのですが、里山に関する文献には、「昔から」とか「古くから」と言う表現がとても多いようです。中には、具体的に「縄文時代には・・・」とか「明治維新後の近代化により、・・・」などと表現されていたりもしますが、曖昧な表現が多いように思います。
 何故だろう?と疑問を持ち続けていましたが、一つの答えにたどり着く事ができました。
 その答えは、哲学者である内山節先生の書かれた「山里紀行連載200回記念 私と森の25年(山林 2008年1月号)」の中にありました。
 それは、「人間の持つ時間経過の感覚と森林の生育期間の差が大きい」こと、「人間の形成する経済社会の変化とともに、地域における森林の利用形態は変化してきた」ことなどが指摘されています。この紀行には、森林・林業に造形の深い内山先生の感じられている事などが、とても分かりやすく書かれています。

 これを踏まえて、あえて合理的に(経済的な観点で)「里山」と「人」との関わりを区分すると、大雑把に「古代・中世・近代・現代」という、歴史的な区分による変遷があり、その中でも特に中世から近代にかけては、「都市」と「山村」という地理的な区分などが混在していると言えるのだと思います。
 一方で、「里山」を「身近な自然」として捉えた場合には、とても曖昧な情緒的な関係となり、ある意味で普遍的なものとして「里山」を考えるのだと思います。

 「里山の雑学(里山と人)」では、このように捕らえどころのない「里山」について、何回かに分けて、皆さんと一緒に考えて行ければと思っています。

第1回 里山の雑学 (里山の定義)

~里山って言葉使っているけど?~

               === 中部山岳流域 冬の里山風景 === 

satoyama001.jpg長野県東筑摩郡筑北村 satoyama002.jpg筑北村から麻績村を望む

 「里山の雑学」を始めるにあたり、そもそも「里山って何?」と言うことを考えてみたいと思います。
 堅く言えば、今回は「里山の定義」をしてみたいと言うことです。

 「1994年関東弁護士連合会シンポジウム報告書資料(栃木県弁護士会 一木明氏)」からの抜粋を載せますので、「里山の雑学」では、ここで定義されている山を「里山」と定義することとしますから、よろしくお願いします。

-「1994年関東弁護士連合会シンポジウム報告書資料(抜粋)-

 「里山」とは、旧くから存在していた既成語ではなく、比較的最近になって用いられ始めた造語のようです。
 辞書によると、「山岳地帯の村に近い部分で、奥山に対していう。高度成長期以前には、薪・山菜・キノコなどを採取」となっており。

 百科事典では、「奥山に対して人家近くにある山をいうが、厳格な定義はない。古くから四壁林、地続山といわれていたのは、集落の周辺の山、田や畑に接続する山を意味し、里山は村落での生活の燃料採取の場であり、田畑の肥料の供給源であった。したがって、村民共同で入林する入会山であった。

 幕末時代には換金作物を生産する風潮になり、これに対応して、近在の入会山地の個人所有への分配が進み始め、換金目的の製炭やスギ・ヒノキの人工林が個人として実行されるようになった。明治30年ころから一層この傾向が進んだ。

 しかし、入会の状態によっては過度の収奪的な山林利用が進み、山地ははげ山化し、水土保全の不良な環境を作り出した。近年、都市近郊の里山地帯は乱開発の対象となっているが、生活環境保全林造成の必要性の大きい地域ともなっている。
 一方において、人工林造成の進んだ里山地帯は用材生産地として大きな比重をもってきている。奥地の天然林利用と里山の人工林利用との両者の利用開発の体系化が現在の課題となっている。」と記載されている。

 「里山」の語源は、日本の森林生態学研究の草分的存在である、四出井綱英氏が、当時「農用林」等と呼ばれていた農家の裏山の丘陵か低山地帯の森林を昭和30年代の後半に、林業関係の誌上で「里山」と呼んだのが始まりであり、単行本では「もりやはやし」(昭和49年4月)に記したのが始まりである。
 そして、四出井綱英氏は、里山とは、「奥山」に対するものであること、農地に続く森林であること、およびたやすく利用できる森林地帯であること、がその要素と定義しています。

 このように「里山」は、古来からの役割を十分にはたしていた時期には、言葉自体が存在していなかったのに、従来の役割を喪失した時代に造語された言葉が急速に伝播したのです。それは、この言葉に新しい役割が期待されているからかもしれません。

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