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 木材に関する雑学を多岐に渡り紹介していきます。

里山と木材
木材の雑学

木材の雑学

木目を生かす重ね梁

木材をより有効に使うための商品開発を行なっています。
詳しくは、コチラの「kasanebari.pdf」をご覧下さい。

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第6回 木材の雑学

”実は世界有数のギター生産拠点なんです”

 木材には、これまでも触れてきましたとおり、色々な特性があります。
 その特性の大小は、樹種やその木の育った環境、そして現在そこにある時の環境により変わっています。このことが、合成樹脂や鋼材に比べ、木材が反りや曲がりが出る、扱いにくい素材であると勘違いされる原因なのだと思います。
 木材は、生物である植物が原材料の素材ですから、無機物である合成樹脂などとは違い、個性があると理解し、それぞれの木材の個性を最大限に生かす事ができれば、決して扱いにくい素材とは言われないのではないでしょうか。

 今回は、構造材(柱や梁)などの建築材料としての木材の利用ではなく、私たちに身近な楽器の素材としての木材を取り上げてみたいと思います。

 木製の楽器の種類は本当に沢山あります。大きなものはピアノ、小さなものは尺八当たりでしょうか?
 中でも、最も種類が多いのは弦楽器ではないかと思います。
 コントラバス、ダブルベース、チェロ、ヴァイオリン、ギター、ウクレレ、琴など数え切れません。

 どうして、多くの弦楽器に木材が使われているのでしょうか?
 この疑問の答えは、どんな個性の木材が弦楽器のどの部分に使われているかを検証すればわかるのだと思います。

 今回は、中部山岳流域に製造工場がたくさんあるギターで考えてみたいと思います。

 ギターにも色々な種類があります。いわゆるアコースティックギターでは、ガットギター(クラッシックギターとも呼びます。)、フラメンコギター、フォークギター、ウェスタンギター(フォークギターのボディーが少し大きいものです。)などがあります。
 エレキギターでは、テレキャスター、ストラトキャスター、レスポールなどが代表的なものでしょうか。
 また、1970年頃にはアコースティックギターにピックアップマイクを取り付けた、エレアコなども登場し、1978年には松本市の富士ローランドが世界初の「GRギターシンセサイザー」を発表しています。

 それでは、具体的にギターに使われている樹種をご紹介しますが、メーカーはもちろんですが、それぞれのモデルによって使用されているものが違いますので、私が所有しているギターを例にしてみたいと思います。

1 アコースティックギター(ウェスタン)
   YAMAHAのL-6(1980年に購入したものです。)
    トップ(ギターの表側です。)=エゾマツの単板
    バック(ギターの裏側です。)=バリサドル(マメ科の落葉広葉樹)の単板
    サイド(ギターの側面です。)=バリサドルの単板
    ネック(左手で握る棹部分です。)=マホガニー(センダン科の広葉樹)
    フィンガーボード(左手で弦を押さえる部分です。)=エボニー(黒檀)
    ブリッジ(ボディーに弦を止めるためについている部分です。)=エボニー

 トップを除いて、全て広葉樹が使われています。

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2 エレキギター
   松本楽器製造共同組合製造 Fresher(ストラトキャスター)
                                (1982年に購入したものです。)
    ボディー=マツだと思います。
    ネック=マホガニーだと思います。
    フィンガーボード=ローズウッド(紫檀)だと思います。

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 このFresherブランドのエレキギターは、松本市の松本楽器製造協同組合が製造、名古屋市の共和商会が販売していたものですが、数回のモデルチェンジがあり、私が所有しているモデルがどのモデルなのか分かりません。
 ロッドNoとかも入っていませんし、インターネットで検索してもヘッドにあるロゴが同じものもありません。

3 アコースティックギター(ガット)
   製造元不明 (1974年購入)
    ボディー=メープル(カエデ)だと思います。トップはマツかもしれません。
    ネック=マホガニーだと思います。
    フィンガーボード=ローズウッドだと思います。

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 このガットギターは、松本市か塩尻市で製造されたものだと思います。
 ヘッドにロゴはありませんが、ボディー内部に「DIA」と印刷されたロゴが入っています。35年以上前のギターですが、まったく狂いがなく、良い音がします。
 世界的に有名なギターメーカー、マーチン社やギブソン社、フェンダー社製のギターも大体同じような部材を使っています。正しくは、この3社のコピーから多くのギターメーカーが製造を始めたと言うべきかもしれません。

 それでは、簡単にまとめてみますと、ギターのトップはマツなどの針葉樹、それ以外のボディーやネックなどは広葉樹が使われています。
 一般的に、針葉樹は柔らかく加工しやすいのですが、広葉樹は堅いため加工しにくいと言われています。この違いが、楽器に広葉樹が使われている理由の一つだと思います。
 堅いと言うことは、それだけ音が共鳴しやすいのだそうです。また、ギターのトップだけ針葉樹が使われているのは、共鳴する時に広葉樹だけでは出しにくい、柔らかさを出すためなのだと思います。

 いずれにしても、共鳴を音源とする楽器の材料としては、木材が適しているようです。
 また、音質がよく何年たっても狂いが少ない木製の楽器を製造するためには、製造時の木材の含水率や木目などが重要だそうです。
 節があったり、木目がバラバラでは、美しい共鳴音は得られませんし、含水率が高い木材を使えば、製造後に自由水が乾燥して、楽器に狂いが生じてしまいます。
 一般的に、自然に木材を乾燥させると含水率は15%になると言われています。従って、楽器を製造する場合の木材の含水率も15%前後にする必要がある訳です。

 実は、中部山岳流域には、多くの楽器製造メーカーがあります。
 特に、ギターメーカーがたくさんあり、世界でも有数のギターの製造拠点とさえ言えると思います。
 中部山岳流域で、ギターの製造が始められたのは1960年頃で、ガットギターが作られ、その後ベンチャーズやビートルズの来日、グループサウンズやフォークソングの流行に乗り、エレキギターとフォークギターの生産がされ、各メーカーの努力によって、その製造技術は、今では世界トップレベルと言われています。

 ワシントン条約などにより、ギターの原材料である米国のローズウッドの輸入などができなくなって来ています。中部山岳流域の広葉樹が早く成長して、世界に誇る県産材の素晴らしいギターが製造されることを願っています。
 最後になりますが、今回の「木材の雑学」にあたり、自社のHPからの引用を快諾頂いた「株式会社フジゲン」様に感謝いたします。

参考にフジゲンのHPへのリンクをここに貼っておきますので、中部山岳流域のギター製造の歴史や楽器と木材の相性などに興味のある方は、閲覧してみてください。

 株式会社フジゲン URL http://www.fujigen.co.jp/

第4回 木材の雑学

”南極の昭和基地は木造なんですよ”

 木材の性質で、鉄やコンクリートに比べて意外に知られていない事があります。
 今回は、その中の「熱の伝導」について少しだけお話しさせて頂きます。

 一般的には、木材が極めて低い温度で利用されることはありませんが、天然ガスを大気圧下-162度で液化したLNGの運搬船舶の断熱材料に使われています。
 これは、天然ガスを液化することで、体積を1/600にして大量輸送が可能となることから始められたようですが、LNG船の断熱材料は極低温での「耐荷重(重量、ガス圧、ねじれ強さ)」、「寸法の安定(収縮が少なく寸法が狂わない)」、「優れた断熱性」が求められ、厚さ9~12mmのブナなどの合板が使われているそうです。

 また、LNGよりも低い-196度の液体窒素に木材を一定時間浸漬し、常温に戻すことを数十回繰り返しても、木材の強度や寸法は変化しないそうです。(約120度の急激な温度変化に耐えられるのです。)

 このような、木材の低温に対する特性に加えて、重量当たりの強度も強く(軽いので人力で運べます。)、加工も容易(ノコギリやノミで簡単に削れます。)なことから、極寒の地である南極大陸に日本が昭和基地を建設するのに、木材を選んだそうです。
 現在の昭和基地は、冬は雪で埋まり外気に当たらない1階だけが機械室のため鉄筋コンクリート、越冬隊員が過ごす2,3階部分は木造です。
 冬の昭和基地付近の最低気温は、零下45度だそうです。室内の温度を20度にすれば、外気と室内の温度差は、40~50度にもなりますが、木材の断熱性能が数ヶ月もの越冬生活を支えているのです。

 皆さんも、冬の小学校の校庭にある鉄棒(鉄パイプ?)に素手で触って、その冷たさに驚き手をあわてて引っ込めた思い出はありませんか?
 でも、真冬にお寺や神社で、木の柱に素手で触ってみてください、それほど冷たくないことに気が付くと思います。
 だから、木材の壁とかは、なんとなく暖かみを感じるのかもしれません。

第3回 木材の雑学

”木材の含水率は、含有率とは違うんですよ”

 一般的に含水率と言う場合には、鉄鉱石などで鉄分の含有率を示すように、一つの物質の質量を100%として、その物質に含まれる水分が何%と言うように表示されているのだと思います。
 言い換えますと、含有率としての含水率ですと絶対に100%を越えることはないわけです。

 ところが、木材の含水率の場合は含有率ではなく、「全乾法による含水率」で含水率を表示します。
 今回は、この「全乾法による含水率」を説明します。

 その前に、木材に含まれる水について理解していただかなければなりません。
 木材の中には、「自由水」と「結合水」言われる2種類の水が含まれています。

 「自由水」とは、これは生材(伐採したばかりの木と考えてください。)などで細胞の中や細胞と細胞の間に液状で含まれている水分のことを言います。
 「結合水」とは、細胞壁内で木材実質と結合している水分のことを言います。

 もの凄く簡単に言えば、「自由水」は生材を転がしておけば、直ぐに蒸発を始めますが、「結合水」は自由水が無くならなければ、蒸発を始めない水分です。

 さて、それでは「全乾燥法による含水率」とはなんでしょうか?
 水分を含んだ木材から、「自由水」と「結合水」を完全に取り除いた状態のことを「全乾状態」と呼び、この状態の木材の重量を100%として、その木材の含水率を表示したものが、「全乾法による含水率」と言います、木材の含水率と言った場合には、含有率ではなく、「全乾法による含水率」となります。

 分かりにくいので、実際の含水率の例を示しましょう。

 ここに、全乾状態が50kgの木材があるとします。
 この木材が、100kgの水分が含まれていれる生材であれば、
(生材150kg-全乾燥の木材50kg)/全乾燥の木材50kg=含水率200%
となります。

 同じ生材でも25kgの水分しか含まれていなければ。
(75kg-50kg)/50kg=50%の含水率となります。

 今回は、少しややこしい内容ですが、木材の雑学の中でも今後は木材の乾燥とかネジレの話がでてきますので、その時に木材の含水率と言った場合には、今回説明した「全乾法による含水率」ですから、覚えておいてください。

(参考文献)
  長野県木材協同組合 企画・発行・販売(TEL 026-226-1471)
   「今日からの木材乾燥 -乾燥マニュアル(改訂版)-」

第2回 木材の雑学

”日本に始めて米材が入ったのは幕末”

 長野県には海がありませんが、日本は島国であり、海に囲まれています。
 ですから、汽船(蒸気船)が出現するまでは、ヨーロッパや中国などのように、常に国境線を警備する必要や、主要な都市である平安京などに城壁がなかったそうです。

 汽船の発明前には、帆船が大航海時代に活躍していました。そして、帆船の主となる動力は風力でした。そのため、軽くて丈夫な木材が舟の主要材料として使われていました。
 現在もイギリスのポーツマツ軍港に保存されている、1805年のトラファルガーの海戦で活躍した、イギリスの旗船ヴィクトリー号も、船体の主要部分である竜骨、肋骨、舷側板、甲板、帆柱などは全てオーク(ナラ)材で作られています。

 そして、蒸気機関の発明により、鉄船の外海への航海が可能となり、帆船に替わり主流となったのが汽船です。
 この汽船が幕末、浦賀に来航した黒船であり、この黒船にも甲板などにベイマツ材が利用されており、航海中の補修用に多くのベイマツを積んでいたそうです。
 この時ペリーから、幕府に献上された予備のベイマツが、日本に始めて入った米材と言われています。

第1回  木材の雑学

”古い木造建築物の柱が真四角じゃないのはどうして?”

 皆さんがお住まいの家の柱の断面は、だいたい真四角をしていると思います。
 お寺や神社の柱は、丸い物もありますが、松本城の柱はどうでしょうか?
 
 現在の日本家屋の柱は、山で伐採して、3mから4m、中には8mの長さの丸太にして、運ばれ、製材工場で四角形に加工されます。この加工のことを「木取り」と呼びますが、木取りには電動の縦挽き鋸(縦挽き鋸とは、木材の繊維方向に使用するノコギリのことです。)が使われています。
 電動のノコギリが開発されるまでは、大きな縦挽きの手鋸が使われていました。

 縦挽きのノコギリが、日本で使われ始めたのは、今から五~六百年前と言われていますから、それ以前の丸太を柱に加工する方法は、ノミとくさびを使って木の繊維に沿って割るものでした。。
 そして、木の繊維に沿って割られた柱を、手鉋と言う今でも宮大工さんが使っている三日月型をした小さなカンナで、丁寧にカンナをかけてだいたい四角にしていたのです。

 だから、松本城の柱は真四角ではないのかもしれません。
 是非、松本城に行って、昔の大工さんが一生懸命加工した、立派な柱に触れてみてください。ゴツゴツした、カンナの跡が今も残っているかもしれません。

 世界最古の木造建築物である法隆寺などが、縦割りした木材だけで建築されていることは有名ですが、松本城については残念ながらはっきりした事がわかりませんでした。
 どなたか、ご存知の方がおいででしたら「問い合わせフォーム」で教えて頂ければありがたいです。

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日本に現存する縦挽鋸の最古の資料「富嶽三十六景」の1枚です!

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国宝松本城です。特別に場内の柱の撮影をさせてもらいました。上の柱は鎌倉時代の築城当時からの割柱だと思います。画像をクリックしてみてください。

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この画像は、「御座所」ですが、江戸時代中期以降に改築されていると思われます。縦挽き鋸と平鉋で仕上げた柱になっています。

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