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木材生産量についての現在の余力

 現在の森林生産力について論を進めてきた。2020年の今日、コロナウイルスの脅威があり、地球上の全ての国が試されている。世界経済の変革期になることは誰もが予想しているだろう。森林を取り巻く諸事情もどのように変わるのか、エネルギー問題も含め不透明である。

 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類では各都道府県の森林生産力の評価を行ってきたが、資源的にはどの都道府県に余力があるのかをここでは考えてみる。数字から見て行くので、現実には当たらないこともあるが、参考意見として読んでいただきたい。

[1]人工林面積
 木材生産の対象としては森林全体よりも人工林に絞って考えた方が妥当であることをすでに提案した。そこで都道府県単位の素材生産量と人工林面積の関係について問題にしよう。

 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016では、年間の木材生産量が50万㎥以上を分類1に、20万㎥以上50万㎥未満を分類2とした。そして2017年も同様に分類したところ、2017年には分類1に13道県、分類2に15県が分類された。そこでこの28道県について、2017年の素材生産量と人工林面積について表-8を作成した。

表ー8 28道県の材積と人工林面積

表ー8 28道県の材積と人工林面積

 さらに、素材生産量を人工林面積で除した値を求めた。以下「人工林面積当たりの素材生産量」と呼ぶ。この値は全国では2.10㎥/haとなり、全人工林から平均して何㎥/haの木材を生産したかという意味である。簡単に説明すると、この値が成長量以上であると伐り過ぎ、成長量以下であると森林の材積蓄積量が増加するという値である。過去20年以上この値が小さく日本全国としては森林の木材の蓄積量が増えすぎてしまった状態になっている。

 森林の平均成長量は樹種により場所により地位(土壌などの良さを表す)により異なるが、筆者は大学院生時代に調査した経験から、関東地方のすぎ人工林で1年の成長量5~10㎥/haくらいを目安にすると良いと考えている。40年も前のことで、最近の研究ではもっと詳しいデータがあると考えられる。樹種毎地位毎にも細かいデータはある。しかし細かく調べることが今回の目的ではないので、1年の成長量5㎥/haを目安に論を進める。なお、自然の力を借りている森林経営は誤差や災害時のことを考え経営することが大切である。

[2]人工林面積当たりの素材生産量
 表ー8の28道県の素材生産量/人工林面積の数字を見ると最大の宮崎県は5.90㎥/ha、最小の三重県は1.07㎥/haである。分かりやすくするために図ー19を作成した。地方別に見てみよう。

図-19 素材生産量と人工林面積比2017

図-19 素材生産量と人工林面積比2017

1)北海道
 北海道の人工林面積当たりの素材生産量の値は全国平均より多いが、2.30㎥/haである。寒い地域であり本州と樹種が異なり森林の年平均成長量が少ないと考えられる。北海道の専門家の意見がほしい所であるが、森林を活用して成長を促していると考えられる。

2)東北6県
 東北地方はすでに紹介したように全6県が木材生産の盛んな県である。岩手県と秋田県の素材生産量が多いが、人工林面積当たりの素材生産量は秋田県、青森県、岩手県、宮城県が2.92から3.09と競い合うような数字になっている。条件の異なる地域であるが、各県とも努力の成果と考えられる。先程の5㎥/haにはまだ余裕があり、生産高の伸びる可能性はあると考えられる。岩手県と秋田県の素材生産量が多いことは人工林面積が多いことも影響している。

 福島県と山形県は前4県よりも少ないが、人工林面積当たりの素材生産量の数字を見ると、余力は十分にあると言える。人工林面積当たりの素材生産量による判断は地域の余力と捉えられる。

3)関東地方の3県
 2017年に分類1に入った栃木県そして分類2の茨城県と群馬県である。図ー19を見ると、茨城県と栃木県の人工林面積当たりの素材生産量が多く、それぞれ全国3番目4番目となっている。4㎥/ha近い木材生産を行っている。5㎥/haまで余裕があり余力を期待できる。この数字を見ると現時点でもかなり森林を活用し生産していると言える。群馬県は図ー19では少ないが、他の2県や近隣県との連携に期待できそうである。

4)中部地方
 中部地方は分類2に長野県、岐阜県、静岡県が入っている。人工林面積当たりの素材生産量の値は1.08㎥/ha、1.09㎥/ha、1.27㎥/haと全国平均に比べても小さい。生産量を伸ばす余力は十分にあると数字からは見て取れる。

5)近畿地方
 近畿地方は分類2に3県が入っている。素材生産量の多い順に、兵庫県、三重県、和歌山県である。歴史的に立派な林業地があるが、人工林面積当たりの素材生産量は1.27㎥/ha、1.07㎥/ha、1,09㎥/haと全国平均にも及ばない状態である。余力は十分にあるので、木材流通システムの開拓を図ってほしい。

6)中国地方
 中国地方では分類2に4県が入っている。素材生産量が多い順に島根県、広島県、岡山県、鳥取県である。人工林面積当たりの素材生産量は全国平均に届かないが、島根県は2㎥/haを超え、他の3県も中部地方や近畿地方の県よりも多くなっている。素材生産への余裕は十分有ると考えられる。

7)四国地方
 四国地方では分類1に愛媛県、高知県、分類2に徳島県が入っている。愛媛県は人工林面積当たりの素材生産量の値が2.48㎥/haと全国の値よりかなり大きい。まだ十分に余力がある。また徳島県は1.59㎥/ha、高知県は1.45㎥/haであり、こちらも資源としての余力がある。

8)九州地方
 九州地方は分類1に4県、分類2に1県が入っている。図ー19を見て解るように宮崎県は人工林面積当たりの素材生産量が5.90㎥/haと全国1高い。地域の森林資源の活用では最高である。また大分県は素材生産量では九州地方の3番目であるが、人工林面積当たりの素材生産量は4.20㎥/haと全国2位であった。熊本県は3.47㎥/haで全国5番目であった。九州地方は温暖で木の成長が早いことから余力があり、これからも増産が期待される。

 まとめてみよう。現在(2017年)の木材生産の生産力は大きく見ると、北海道、東北地方、九州地方が担っている。九州地方の宮崎県が人工林面積当たりの素材生産量が5.90㎥/haと全国1高いが、諸事情はあるがまだ余力はあると考えられる。各地の地元ではいろいろな事情があると予想されるが、地元の森林成長量の数値を参考に経営計画を立てることが大切と考えられる。

 余力のあることが確認できれば、木材の量だけでなく品質にもこだわる経営の模索が可能になる。地元や隣県の森林資源の余裕がわかれば、隣県とも協力して木材流通システムの発展につなげられるであろう。

 次回は木材価格と素材生産量との関係を見て行こう。

  • 2020.03.24
  • 田中

MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016の考案のきっかけとその使い道

 2019年、森林経営管理制度や森林環境譲与税の法律の施行がせまり、日本の森林地域では思案し困っていることを見聞きしていた。もし自分が県の担当者であったら、あるいは仕事で直接関係していたら、他の業務も持ちながらの新しい仕事はたいへんと同情していた。それとは別に森林についてかねがね解りやすい指標の提示が大切と思っていた。筆者は、森林情報学を専門にしているが、現場では細かいことではなく、担当者がわかりやすく確信が持てる指標の提示の必要性を感じていた。

 森林資源を正確に調査した上での計画立案や実施が望ましいことは確かである。しかし森林地域の住民が少なくなり、半世紀前とは労働力も比べられないくらい少なくなっている。現在ICTを使ってお金をかければ森林の資源や微地形の測定を、地上調査と共に空からも技術的に可能になっている。ICTを活用できる良い時代が来ている。しかし、森林は年々成長し調査時から時間が経てば資源量は増加することが多い。ありがたいことだがデータは変化して精度は落ちてしまう。また、自然災害に見舞われることもある。現在の森林は適切な管理を20年以上放置したところも多く、適切な森林管理を急がねばならないところである。

 どこの地域に行っても森林に関する説明は頼もしい。しかし全国2,500万haもある森林を全てを知ることは難しい。研究で拝見している筆者は良い所ばかり見ていたと考えられるし、その比較など一研究者にできるわけはないと思っていた。

 国として林野庁は全国の森林に適用できることを提示するが、実際に運用するのは地元の方であり、今回は各都道府県の担当者をはじめ地元の方々の力を頼りにしている。自分の県の森林は全国と比べてどのような位置付けなのかおぼろげながらもイメージはある。しかし、実際どうなのだろうか。たとえば栽培きのこ類生産の生しいたけの生産はどうなのか、すぎの生産量はどうなのか、数字を答えることはできてもこれからいかにすべきか難しいと考えているのではないだろうか。そこで、試行錯誤の後、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016を考案した。この森林生産力の分類は、現在の「産業」の生産力を総合的に評価できると考えられる。

 各都道府県の特徴が見え、自分の位置づけが明確になれば、手の届く目標を作り、行動力を的確に目標に向けることができる。無駄な労力を払うことを回避できれば、成果につながると考えられる。明確になることでがっかりする人もあると考えられるが、現実を客観的に捉えることは大切である。そして、隣県の協力を得るアイディアが出てくることを期待している。

 分類1~5はおおまかに次のように考えたら良いであろう。

1)分類1:木材生産について十分に森林を活用しているので、さらに発展することを考える。産業の発展のために近隣の都道府県の状況を把握して協力し、一緒に目標を目指すことに森林生産力の分類を使える。栽培きのこ類生産についても同様である。

2)分類2:分類1の道県ほどの木材生産は短期間にはできないが、近隣県と協力して木材生産を発展させることを考えると良い。

3)分類3:森林の生産物の活用という点では評価は高くないが、現在の木材生産を基に他県と協力することが良いと考えられる。

4)分類4:木材生産は多くはないが、栽培きのこ類生産の盛んな県であり、十分に森林を活用している。日本の森林活用として重要な位置づけがある。木材生産については分類3と同様、隣県との協力が現実的である。

5)分類5:2017年のMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の分類5は7都府県であった。森林での生産に関わる産業としては他県へ譲り、環境としての機能発揮のための森林整備を主にすることにして、生産林としては他県と一緒に行うことで協力を求めるのが良いと考えられる。経営としては小さいサービスも重要ではある。また、消費者に近いことから、そのメリットを発揮することが望まれる。

 この半世紀、日本の道路事情は一変している。長大な重量物の木材をトラックなどで輸送することも現在は可能である。しかし、木材の長距離輸送はコストが嵩む。現在は隣県の工場や市場への移動は昔に比べ容易になっている。商品の量と質、そして商品の情報を加えることで、木材流通のシステムを考えてもらいたい。

 2016年のデータで作成したMTANAKA方式都道府県森林生産力分類であるが、既述のように2017年の生産量が順調に増加した県が多く、森林生産力の評価が変化している。各都道府県の特徴を考慮しての目標設定をするための拠り所にしてもらいたいと考えている。

 次回は森林面積と木材生産量について話を進める。

  • 2020.03.22
  • 田中

都道府県別木材生産量について3~条件が同じ都道府県は存在しない~

1)木材生産に関する都道府県別森林生産力について
 木材の生産が為されていることは木材を活用し消費する方法が存在することであり、たとえば年間50万㎥以上の生産県では木材の流通加工のシステムが存在し機能していることを意味している。一朝一夕にして作ることはなかなか難しい。たとえ森林があり、技術があっても資本を投入するだけでは簡単に産業は作れず、企画書通りに行かないことは産業として良くあることである。人材の育成、協力体制作りなどいろいろ難しい問題がある。

2)分類1
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類では、木材生産の力の評価を50万㎥以上の道県を分類1とした。表-3に示したように、2016年は12道県が入るが、木材生産額は各県44億円以上になっている。ここでMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016(表-3)を再度見てみよう。

表-3 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

表-3 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

 これまで説明してきたように濃い緑色の分類1の道県は北海道、東北地方、九州地方そして四国地方に分布している。前回見たように、この12県が現在日本の木材生産をリードしていると考えることができる。また、12道県のうち8道県(北海道、岩手県、秋田県、福島県、宮城県、宮崎県、熊本県、大分県)は栽培きのこ類生産額が多く、多角的に森林を活用している。分類1をさらに分類して分類1-1と呼ぶ。

 これに対し、4県(青森県、愛媛県、高知県、鹿児島県)は木材生産に特化して森林を活用していると言える。これを分類1-2と呼ぶことにする。

3)条件が同じ都道府県は存在しない
 12道県は条件がいろいろ異なっている。自然条件は最も重要と考えられる。それだけでなく都市との距離、歴史、農業などの他産業との関係等様々な面での条件があり、筆者が全都道府県の森林について調べた経験から、類似している都道府県は無いのではないかと考えている。そのような中で、各都道府県では先人たちも含め地元の方々が今日の産業を地域で育ててきたのである。生産量や生産額で順位をつけることが多いが、自分の地域の森林の活用という意味では今日の条件の中で分類1の道県は立派に森林を活用していると言える。

 「森林にとって条件が同じ都道府県は存在しない」と述べたが、ある一面が似ていることはもちろんある。その面については成功事例を参考にすることは理にかなっている。しかし、全く同じ方法での計画を実行するのではなく、地元地域の長所を考慮しての計画案を作成し実行することが成功への道と考えられる。

 筆者の経験したことであるが、12道県の中には人口の多い大都市から遠方のため、木材生産を頑張るしか考えられないと言う方がいらしたが、日本の森林を支える産業を担っていることは評価できる。この12道県の木材生産の経営そして産業をこれからも着実に進めてもらうことが日本の森林にとって重要であると考えている。

 2017年には、栃木県の木材生産量が50万㎥以上になっている。関東地方の県が木材生産力を大きく伸ばしたと評価できる。

4)分類2の府県
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類2は1年間の木材生産が20万㎥以上50万㎥未満の県を分類した。表ー3の2番目に濃い緑色の県である。地域として新たな大規模の製材工場を支える余力があるかという観点からは現在のところ力不足と思われるが、他県と協力したり、特に隣県や分類1の県との協力によって力を伸ばす可能性は大きいと考えられる。2016年の分類2には14県が入っている。

 分類2を栽培きのこ類生産額でさらに分類し、栽培きのこ類生産の盛んな分類2-1とそれ以外の分類2-2に分けた。2016年の分類2-1は9県、分類2-2は5県となっている。分類2-1の9県は多角的に森林を活用している。5県は木材生産に特化していると言える。

 表-3を見ると、分類2は関東地方から四国地方の県が多くなっている。分類1の道県に比べ人口の多い首都圏や関西圏に近くなり、農業はじめ他産業が盛んなために森林はとり残されている可能性も考えられる。

 分類2-1の9県のうち特に長野県は林業産出額が最も多い県であることを既に紹介したが、栽培きのこ類生産が盛んな特徴のある県と言える。

 一方、2017年に和歌山県の木材生産が20万㎥以上になり、分類3から分類2-2へ変更になった。また福岡県が、木材生産量を増加して、分類4から分類2-1へと評価が変わり、2つの県はそれぞれ森林の活用度が上がったと評価できる。

5)分類3
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類3は栽培きのこ類生産が少なく、1年間の木材生産が10万㎥以上20万㎥未満の県を分類した。地域として小規模に木材生産を行っていると言える。中には品質の高い木材の生産を行っていることもある。地域としては重要であり発展させてほしいが、都道府県単位としては、生産力の評価は小さい。森林の環境としての役割に重点が置かれている可能性が高い。

 表-3のうす緑色の分類3には中部地方、近畿地方、中国地方の6府県が入っている。特に近畿地方の京都府と奈良県は観光地の景観や環境としての森林の役割が大きいと考えられる。MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016では分類3は8府県、同2017でも8府県と同数であるが、県が入れ替わっている。中部地方の福井県が分類5から分類3へと変わり、近畿地方の和歌山県が分類3から分類2-2へと評価が変わった。2県とも木材生産量が増加しての変更であった。

 これまで述べてきたように分類3の府県が短時間で急に木材生産量を増加させることは難しいと考えられる。もちろん中長期には可能性があるが、無理せず隣県の木材生産が盛んな県の木材流通システムに加わり産業を育てることが良い方法と考えられるがいかがであろうか。

 先に述べたように条件が同じ県は存在しないと考えて、独自の長所を生かした方法の模索が重要であり、成功例はその一例である。しかし、そのまま真似ても上手く行くことは少なく、指導する人がいなくなると熱意もさめてしまったと考えられる。
 
6)境界の生産量について
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類1から分類3について説明したが、その境界線の生産量は時代によって変わるものである。現在の大規模製材工場が増える時代を考えて、50万㎥に境界線を引いたが、時代が変われば求められる生産性が変化すると予想される。品質との関係も無視できないところである。

 2016年2017年について森林生産力の評価について話を進めてきたが、次回からは今後の森林とこの評価法の使い方や可能性について話を進めて行こうと考えている。

  • 2020.03.19
  • 田中

都道府県別木材生産量について2

[3] 2016年各都道府県の木材生産量(材積と産出額)
 これまで樹種別の各都道府県の木材生産量について取り上げてきた。各都道府県の特徴が見えてきたが、ここで2016年の木材生産量について話を進める。前掲の森林・林業統計要覧2018のデータを紹介する。グラフから紹介するが、木材生産量の多い県のデータ(表-7)は後の方で掲載する。
(参考:林野庁:森林・林業統計要覧2018)

3-1)全国の木材生産量について
 2016年の木材生産量の全国合計は2,066万㎥であった。図-16は都道府県別に多い都道府県から、50万㎥以上の生産道県、そしてその他20万㎥以上50万㎥未満の都道府県の合計、10万㎥以上20万㎥未満の合計、10万㎥未満の合計の割合を図示している。

図-16 2016年木材生産量ベスト12の割合

図-16 2016年木材生産量ベスト12の割合

 全国1位は北海道の330.7万㎥で、全国16.0%のシェアである。全国2位は宮崎県の198.2万㎥で、9.6%を占める。北海道と宮崎県で全国の4分の1が生産されている。全国3位は岩手県147.4万㎥、4位は秋田県の128.9万㎥で、以上の4道県が100万㎥以上を生産している。5位以下は、大分県、熊本県、青森県、福島県、鹿児島県、宮城県、愛媛県、高知県と続き、ここまでで12道県である。12道県が日本の66.9%の木材生産を行っている。そのうち北海道から青森県までの7道県が50%以上となっている。

3-2)全国の木材の生産額について
 材積と同様に、2016年の木材の産出額について図示したものが、図-17である。

 全国1位は北海道の345.9億円で、全国14.6%のシェアである。全国2位は宮崎県の212.7億円で、9.0%を占める。北海道と宮崎県で全国の23.6%と4分の1近くになっている。全国3位は岩手県142.0億円であった。4位以下は熊本県、大分県、秋田県の順で100億円以上になっている。7位以下は、青森県、鹿児島県と続き、8道県で全国の木材生産額の50%以上になっている。13位までは50億円以上の生産額となっている。

図-17 2016年木材生産額ベスト13と割合

図-17 2016年木材生産額ベスト13と割合

 木材生産の多い道県について見てきたが、2016年に20万㎥以上木材生産のあった道県の表を掲載する。木材生産量の多い順に木材生産量と全国シェア、木材産出額とその順位と全国シェアを示している。

表-7 2016年の木材生産量ベスト26と木材生産額(材積の多い順)

表-7 2016年の木材生産量ベスト26と木材生産額(材積の多い順)

3-3)木材産出額と木材生産量の関係について
 次に図-18を見てみよう。木材生産量の多いベスト26の道県について、木材生産額と木材生産量を無理に図示したものである。2016年の全国の木材の平均価格は木材生産額を木材生産量で除して求められる。2370億円/2066万㎥=11,471円/㎥である。生産量よりも生産額は平均的には15%ほど大きい値になっているはずである。

図-18 2016年木材生産量ベスト26の生産量と生産額

図-18 2016年木材生産量ベスト26の生産量と生産額

 図-18のように木材生産額と生産量は同じ傾向があるが、生産額が比較的多い県が見て取れる。木材の材積が多ければ収入も増えるが、樹種により、材質により木材価格の単価に差異があるのは当然のことである。

 既に紹介したようにひのきはすぎよりも値段がかなり高い時代が続いた。最近ではひのきの単価が下がり生産県では問題になっているが現状でもひのきの方が高価である。先に紹介したひのきの産地の木材生産額が高くなっている傾向は図-18でも見えている。

 他方、間伐などの適正な育林作業が行われてきた森林の木材や、節が出ないようにと枝打ち作業が行われた木材は同じ丸太であっても製材すると製品の品質が異なり、値段として当然評価して欲しい項目である。その場合どこの県のどこの地域の山から出材された木なのかは重要な情報になる。

 次回は分類1、分類2、分類3について話を進める。

  • 2020.03.13
  • 田中

都道府県別木材生産量について1

 前回は分類4と栽培きのこ類生産について紹介してきた。今回は木材生産について話を進める。

 MTANAKA方式都道府県別森林生産力分類2016とMTANAKA方式都道府県森林2017を以前に示したが、木材生産については1年間の木材生産量が50万㎥以上の県を分類1とした。2016年には分類1には12道県、2017年には13道県となった。そこでまず21世紀の日本の木材生産の現状を知るために、2016年の木材生産量について森林・林業統計要覧2018のデータを見てみよう。
(参考:林野庁:森林・林業統計要覧2018、農林水産省統計部「木材需給報告書」より)

[1] 2016年樹種別生産量(材積)
 2016年の全国の木材生産量は2,066万㎥である。統計データでは樹種として針葉樹のすぎ、ひのき、あかまつ・くろまつ、からまつ、えぞまつ・とどまつ、その他の針葉樹、そして広葉樹に分類されている。2016年の樹種別の材積量割合は図-9のようになっている。2015年のデータから割合での増減は1%程度であった。

図-9 2016年樹種別木材生産量の材積割合

図-9 2016年樹種別木材生産量の材積割合

 図-9のように1番目のすぎは1,185万㎥で全体の57%である。2番目はひのきの246万㎥で12%、3番目はからまつの231万㎥である。3つの樹種が80%近くを占めている。4番目は広葉樹で219万㎥の11%となっている。広葉樹は樹種別ではなく集計になっている。地域で樹種が異なっていると予想される。5番目はえぞまつ・とどまつ、6番目はあかまつ・くろまつである。

 次に、樹種別の観点から生産している都道府県を見てみる。

[2] 樹種毎の生産県
1) すぎ
 すぎは日本の木材生産の57%であることを紹介したが、その内15.7%は九州地方の宮崎県が生産している。宮崎県は1991年からすぎの素材生産(丸太生産)量日本1を26年間続けている。

 2位は秋田県で全国の9.5%、3位は大分県で7.0%、4位は熊本県で6.2%、5位は岩手県で5.6%を生産している。図-10は2016年すぎ都道府県別生産量の割合を示したものである。すぎは沖縄県を除いて、46都道府県で生産が行われている。

 図-11は地方別にすぎ生産量を図示したものである。九州地方は、1位の宮崎県、3位の大分県、4位の熊本県の3県を合計すると、28.9%のシェアであり、8位の鹿児島県他も含む九州の8県のシェアは35%である。

 東北地方は秋田県が2位で10%近いシェアであるが、5位の岩手県の5.6%の後、6位は青森県の4.9%、7位は福島県の4.3%、9位は宮城県の4.0%とすぎを生産している。13位の山形県を合わせた東北地方の6県で、全国の31%のすぎ材を生産している。2016年のすぎの生産は九州地方と東北地方が支えていると言える。

図-10 2016年すぎ都道府県別生産量ベスト19の割合

図-10 2016年すぎ都道府県別生産量ベスト19の割合

図-11 2016年すぎ生産量の地方別割合

図-11 2016年すぎ生産量の地方別割合

2) ひのき
 ひのき材は生産量ではすぎ材の約5分の1であるが、生産県についてもすぎと異なっている。ひのきの2016年の全国1位の生産県は岡山県で、全国の9.3%のシェアである。北は青森県から南は鹿児島県まで生産されている。

 1位の岡山県が22.9万㎥、2位は愛媛県の21.5万㎥(全国の8.7%)、3位は熊本県の19.2万㎥(同7.8%)、4位は高知県の18.0万㎥(同7.3%)、5位は静岡県の16.2万㎥(同6.6%)、6位岐阜県の13.9万㎥(同5.7%)、7位大分県13.4万㎥(同5.46%)で、7位までが全国シェア5%以上の県である。

 8位以降の2016年の順位は図-12のようになっている。ひのきはすぎと異なる割合になっていると言える。

図-12 2016年ひのき都道府県別生産量ベスト22の割合

図-12 2016年ひのき都道府県別生産量ベスト22の割合

図-13 2016年ひのき生産量の地方別割合

図-13 2016年ひのき生産量の地方別割合

 図-13はひのきの地方別生産量を図示したものである。主に北は関東地方から南は九州地方まで出材していることがわかる。ひのき材はすぎ材に比べて珍重されてきたことから、単価も高く適地には好んで植えられてきた歴史がある。近年ひのきの価格も下がり育てている森林地域では残念に思っている。

 森林の生産力を比較するにあたり、産出額を採用しなかったのは将来の木材価格の要素を除外したかったのである。消費者の考えを営業力で変えることができれば評価も変わってくるのである。

3)からまつ
 からまつは3番目に多く生産されている樹種である。寒さの厳しい高地や寒冷地に植えられてきた。図-14に示すように生産量は北海道が69%と多く、2番目は岩手県の12%、3番目が長野県の10%、その他が9%である。植林されたからまつが高齢になってきたことから活用されるようになってきている。

図-14 2016年からまつ生産量ベスト3の割合

図-14 2016年からまつ生産量ベスト3の割合

 からまつの生産のその他の県は、青森県、山梨県、群馬県、福島県、秋田県、岐阜県であった。

4)広葉樹
 広葉樹の生産量は全体では少ないが、全国で生産されている。図-15はその割合である。

 北海道が1番多く28%のシェアを占め、2番目は岩手県14%、秋田県、広島県、鹿児島県、福島県と続いている。多くの県は大量生産ではなく、必要に応じての生産になっている。

 20世紀半ばに薪炭材生産の盛んな時代があったが、今後栽培きのこ類生産のために広葉樹の用途が広がると期待される。

図-15 2016年広葉樹生産量ベスト6の割合

図-15 2016年広葉樹生産量ベスト6の割合

5) えぞまつ・とどまつ
 えぞまつ・とどまつの生産については北海道が100%である。そして1年の生産量は101万㎥と多い。

6) あかまつ・くろまつ
 あかまつ・くろまつの生産量は少ない。岩手県、青森県、長野県、宮城県、福島県等である。小さな産業としては考えられるが、マツクイムシのこともあり都道府県レベルの永続性は疑問である。他方、まつたけ生産は重要な産物であり、生産地ではまかまつ林を大切にしたいと考えている。

7) その他の針葉樹
 その他の針葉樹は量が少ない。山梨県、北海道、岩手県、大分県、長野県、石川県、愛知県、秋田県での生産量がある。希少価値のあるものは地域にとっては重要である。しかし都道府県レベルの産業を考える場合には対象として難しいと考えられる。

 樹種別の生産量を見ると、都道府県により事情が異なっていることが見えてくる。歴史、気候、地位、地理、技術、資源の蓄積など、色々な条件から現在の生産量が実現されている。現在の経営を維持し、将来の持続可能な経営となる産業作りを地域で発展させることを願いMTANAKA方式都道府県森林生産力分類を考案した。次は木材生産量全体について話を続ける。

  • 2020.03.10
  • 田中

栽培きのこ類生産と分類4について

[1] 分類4の4県
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016の分類4は1年の木材生産量が20万㎥以下と少ないが、栽培きのこ類生産額が20億円以上の県を分類している。

 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016では、中部地方の新潟県、四国地方の香川県、九州地方の福岡県と長崎県が分類された。それに対し、2017年のMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017では変化があった。中部地方では富山県が分類5より加わり新潟県と2県になった。四国地方では、香川県が変わらない。九州地方は、福岡県の木材生産量が増え、分類2-1へ変更になり、長崎県だけになった。

 4県という数は変わらないが、富山県が加わり、福岡県が出て行くという結果であった。次に栽培きのこ類生産について話を進める。

[2] 栽培きのこ類生産について
 日本全体では、近年栽培きのこ類生産額と木材生産額は同程度であることを既に紹介した。そこで栽培きのこ類生産の生産地を見ると、木材の樹種が地域により異なるように、きのこ類の種類は県によって異なっている。

 個人的にはしいたけなどの生産の歴史のある大分県などが生産量も多く上位に位置すると予想したが、全く異なる様相である。後で、きのこの種類については紹介する。

 産出額での比較をすると、2016年と2017年のベスト10の都道府県は表-6のようになっている。
(参考文献:林野庁:森林・林業統計要覧)

表ー6 栽培きのこ類生産額ベスト10(単位:1,000万円)

表ー6 栽培きのこ類生産額ベスト10(単位:1,000万円)

 長野県、新潟県、北海道、福岡県、徳島県、静岡県、大分県、長崎県の順に1位から8位までは両年共変わっていない。そして、年ごとに全国の生産量の分布を図示したものが図-7と図-8である。

図ー7 2016年栽培きのこ類生産額のベスト10と分布

図ー7 2016年栽培きのこ類生産額のベスト10と分布

図ー8 2017年栽培きのこ類生産額のベスト10と分布

図ー8 2017年栽培きのこ類生産額のベスト10と分布

 1位の長野県は2年とも24%台のシェアで全国の約4分の1を産出している。2位の新潟県は同じく18%台であり、1位2位の2県の合計は2か年共全国の42.6%の生産をしている。3位の北海道は5%前後、4位の福岡県は約4.5%、5位の徳島県は3.7%、6位の静岡県は3.5%と変わらず、上位6道県の産出額は全国の6割近くになっている。さらに上位10道県の産出額は7割程度になっている。

 7位以下の2ヶ年を比較すると、7位大分県、8位長崎県は順位に変化はなかったが、9位以降は宮崎県、山形県、秋田県、群馬県、広島県、岩手県、香川県の7県が1年間に40億円以上の産出額を記録して競い合っている状態である。

[3] 栽培きのこ類の技術動向と種類
 栽培きのこ生産は様変わりしている。これからも生産技術は変わっていくと考えられる。原木しいたけの味に勝るものはないとの考えが根強くあるが、おが粉を利用した製品の品質向上も目覚ましいものがある。各県では毎年きのこ類の品評会が行われ、農林水産大臣賞等の輝く賞を受賞されている。一方、生産者の高齢化に伴い重労働の回避も重要になってきている。

 森林林業統計要覧では現在栽培きのこの種類が8種類出ている。生産額の多い順に紹介する。一年を通して出荷できる種類の方が流通に有利なことがきのこ類でも言えるようである。各きのこ生産について2017年の生産額が多い都道府県も紹介する。

1)生しいたけ
 しいたけは生と乾燥があるが、生しいたけは栽培きのこ類生産額の28%を占めている。生しいたけは、北は北海道から南は沖縄県まで全都道府県で生産されている。全国1位は徳島県で全国の生しいたけ生産の13.0%のシェアである。2位は北海道の7.5%、3位は秋田県の7.0%、岩手県、群馬県、長崎県、栃木県と続いている。
 
2)ぶなしめじ
 しめじの類は呼び名の変遷があったが、栽培されている物は現在「ぶなしめじ」と呼ばれている。 ぶなしめじは栽培きのこ類生産額の22.9%を占めている。1位の生のしいたけと合わせると50%を超える生産額を得ている。
 ぶなしめじは、生産している県としていない県があり、北海道、青森県などは生産量が無い。全国1位は長野県で全国の41.0%のシェアである。2位は新潟県の15.8%で、長野新潟の両県で全国の56.8%と半分以上である。3位は福岡県の8.7%、4位は香川県の5.7%である。

3)まいたけ
 まいたけは全国の栽培きのこ類生産額の13.6%である。新潟県が57.9%のまいたけ生産を行っている。2位は静岡県の12.5%、3位は福岡県の8.7%、4位は長野県の6.6%、5位は北海道で5.6%である。この5道県を合わせると91.4%、また中部地方の3県を合わせると77.0%のシェアであった。

4)えのきだけ
 えのきだけはまいたけより少し少ない13.0%の生産額である。1位の長野県がえのきだけの63.0%、2位の新潟県が11.7%のシェアあり、生産県は偏っている。3位4位は福岡県と北海道である。生産県は全国にあるが、作っていない県も多い。

5)エリンギ
エリンギは全国の栽培きのこ類生産額の9.6%である。1位の長野県は全国のエリンギの43.0%、2位の新潟県が同28.7%を生産し、両県で71.7%である。3位は広島県が8.0%と続いている。

6)乾燥しいたけ
 乾燥した椎茸は全国の栽培きのこ類生産額の5.0%である。全国各地で生産されているが、生産額は九州地方と四国地方に多い。全国1位の大分県は41.8%を占めている。2位は宮崎県の15.5%、3位は熊本県の7.7%であり、1~3位までの近隣3県で、全国の3分の2近くを生産している。4位は四国地方の愛媛県の5.8%である。

7)なめこ
 なめこは全国の栽培きのこ類生産額の4.3%で、生産が多い道県は北に偏っている。2017年のなめこの生産は、1位が山形県の全国シェア23.1%、2位は長野県の18.1%、3位は新潟県の17.4%であった。この3県の生産量と順位は年により競い合っている。4位は福島県、5位は北海道と続いている。

8)ひらたけとまつたけ
 ひらたけとまつたけの生産額は小さい。
 2017年のひらたけは新潟県が47.8%、長野県が22.1%を生産し、福岡県が9.6%の生産額となっている。

 栽培きのこ類生産に加えて、森林から採取する副産物であるまつたけの生産も紹介する。生産額の1位は岩手県で全国35.4%のシェアであったが、次点は長野県34.1%と同程度であった。3位は京都府と和歌山県が共に全国シェア7.3%となっている。

[4] 表-6の各道県の産物
 表-6の各道県の方から産物を見てみる。

1位の長野県はぶなしめじ、えのきだけ、エリンギが特に多いが全ての栽培きのこ類生産を行っている。

2位の新潟県はまいたけの生産が特に多く、ぶなしめじ、エリンギの産出額が多い。

3位の北海道は生しいたけ、まいたけ、えのきだけ、そしてなめこが多い。

4位の福岡県はぶなしめじ、まいたけ、エリンギ、えのきだけとなっている。

5位の徳島県は生しいたけの生産が多い。

6位以降では、静岡県はまいたけが多く、大分県は乾燥しいたけ、長崎県は生しいたけが多い特徴がある。

[5] 栽培きのこと森林の活用
 栽培きのこ類生産は森林内や森林近くの場所を確保し、ほだ木、おが粉、種菌などの材料を必要とし、生育のための技術が重要である。いくつかの生産現場を見学すると、気候的な適地や方位、風向き、立地など条件があるとのことで、機械の導入などの工夫が為され、6次産業化を図っているところもある。また、きのこの種類によっては収穫期に次々と成長するきのこに追われる作業とのことである。

 また、消費地との流通システムができていないと、需要供給のマッチングや製品をタイムリーに流すことができない。安定した生産量がある各都道府県は、すでに生産、加工、流通システムができていることを意味している。

 きのこの種類によって技術が異なり、地域によって森林の利用の仕方は異なる。生産量の多い県は様々な工夫をして現在の技術を修得し、産業として成り立っていると考えられる。森林からは、ほだ木や培養地となるおが粉の材料となる主に広葉樹の木材を伐り出し、きのこの生育場所を森林内に設定し、自然の恵みを利用したり、人工的な管理をしたりと工夫している。長い場合は数年の生育期間の生産を行っている。生産物であるきのこは、食品として新鮮さを必要とすることから、産業として流通経路の確保は重要である。

 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類4の4県は木材生産としては出材量は少ないが、栽培きのこ類生産を行い、今日的な森林の活用をしていると考えられる。特に、ほだ木等の材料であるクヌギ、コナラ等の広葉樹の利用は今後の森林経営や木材活用にも新たなアイデアが出されると期待される。他方、しいたけの生育場所としてスギ林などの森林は各地で利用されている。

[6] その他:コラム
 きのこ類は日本人の食卓に欠かせない食材である。東京に育った筆者はしいたけ、えのき、しめじ(ぶなしめじ)などを食べて育ち生活してきた。しかし全国には様々な美味しいきのこが存在するし生産されている。難しいのは、天然には毒キノコが存在することで、森林の中で珍しいきのこを見つけても怖がりの筆者は手が出せない物が多い。スーパーの店先で売られている物に新しい物があったりするとどこの県の物か気になる。しかしおいしい食べ方がわからず無難な生しいたけを買うことも多い。各地で美味しく食べている物を東京などの都市へ出荷すると美味しく食べていると出荷した方々は思うかもしれないが、買い物客はスーパーマーケットにたくさん並ぶ商品から選ぶため、なかなか選んでもらうのは難しい。消費者は忙しいため情報提供しないと新しい食材に挑戦してもらうことはかなり難しいことと思う。

 他方、消費者としては良い物を見る目を養い美味しいきのこを料理して食したいものである。良いきのこ、美味しいきのこはだんだんと解かるようになっていくように思う。また多くの消費者の見る目が高まれば生産者の励みになるというものである。

  • 2020.02.28
  • 田中

MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016と2017の分類5の都府県について

 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016と2017の分類5は、1年間の木材生産量が10万㎥未満と少なく、栽培きのこ類生産額についても1年の産出額が20億円未満の都府県である。MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016の分類5には9都府県が分類されたが、そのうち、7都府県がMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の分類5に引き続き残っている。それは北から、関東地方の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、近畿地方の大阪府と滋賀県、九州地方の沖縄県である。

 これらの都府県は森林の活用について、生産を主に求めるよりも、住環境や自然環境を重視した森林の管理が重要と言える。人工林面積は9都府県共に85,000ha未満と少なく、都道府県の規模の産業を考えた場合、木材生産等を目的とするよりそれ以外の機能を現在は森林に求めていると考える方が重要ではないだろうか。その中で、量は少ないが高品質の生産物を作ったり、隣県と協力しての産業の継続を図るのが賢明ではないかと考えられる。

 他方、沖縄県は温帯ではなく亜熱帯のため樹種が異なり、歴史を踏まえた産業作りを模索することが他地域と同じ方向を目指すより重要ではないかと見ることができる。

  • 2020.02.21
  • 田中

2017年の都道府県別森林生産力と2016年からの変更点

2019年秋、2017年のデータが発表になり、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017を作成した。1年の違いであることから、境となる値は同じにしている。

結果は表-4のようになった。それを集計すると表-5になった。

表ー4 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017

表ー4 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017


 

表ー5 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の集計

表ー5 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の集計

 変化したところを見てみると5県である。5県全て、生産量や生産額が増加して分類の評価が変わっている。北の方から紹介する。

1)関東地方の栃木県は、分類2-1から分類1-1へと変わった。それは、木材生産量が、49.2万㎥から、60.2万㎥へと22%増加している。

2)中部地方の福井県が、分類5から分類3へと変わった。木材生産量が、8.8万㎥から10.4万㎥へと18%増加している。

3)中部地方の富山県が、分類5から分類4へと変わっている。これは栽培きのこ類生産額が18.6億円から28.4億円に53%増加している。

4)近畿地方の和歌山県は、分類3から分類2へと変わった。木材生産量が、17.3万㎥から24.0万㎥へと39%増加している。

5)福岡県は、分類4から分類2-1へと変わっている。木材生産量が17.6万㎥から26.5万㎥へと51%増加している。

各県の森林の有効活用が進んでいることを示していると言える。

  • 2020.02.19
  • 田中

人工林と人工林面積の意義

日本は森林率が高い森林国

 日本は森林国である。国土面積の67%が森林である。温帯の森林が育つ環境に恵まれている。日本の47都道府県には森林が多いが、各都道府県の面積が様々なように森林面積も同様で、森林面積が最大の北海道は最小の香川県の42倍弱であり、簡単に比較できない。

 全国的に見ると、日本の国土面積は約3,730万ha、その67%が森林として分類され、森林面積は約2,505万ha、その森林面積の内の人工林面積は約1,020万haである。森林率と同じようによく人工林率と言われるが、それは人工林面積の森林面積に対する割合で、全国を対象にすると現在40.7%である。

人工林は歴史の結実

 日本は傾斜のある土地が多く、平地を利用して田畑として利用してきた。残った所が森林になってきたが、20世紀後半ブルドーザなどの機械により、傾斜の緩な土地も整地して利用可能になった。そして半世紀が経過し、利用できなかった所が現在も森林として残っている。また、山の高い所まで開墾し、田畑として使われた後、今では森林に戻っている所もある。

図ー3 日本の国土の割合

図ー3 日本の国土の割合

 日本全体を見ると、図-3のように、国土の33%は森林以外の用途に使われている。昔の農地は都市になり、工場用地になり、そして農業その他に利用されている土地である。その残りが森林である。先の森林率は森林面積を国土面積(県の面積)で除した値で、これは比較可能である。

 全国の森林率は先の67.16%であるが、都道府県別の値を見ると、最高の高知県は83.76%、最低の大阪府は30.03%であり、高い程森林の割合が多いことはわかる。各都道府県には色々な条件があり、一律に森林になっているわけではないのである。

 森林には天然林と人工林の区分がある。人が人為的に植林して育てた森林を人工林と言い、天然林あるいは天然生林は自然の力で成林した森林と言える。農業が産業の中心であった時代には、里山から柴や有機肥料などの材料を得ていた。科学肥料が出てくるまでは、農村は里山と密接な生活をしていた。また余力がある時に将来の出費や木材の必要時のために植林してきた。さらに規模を拡大した吉野林業のように育林業が発展した地域も多い。その歴史の長い地域では造林が進み人工林が増加している。人工林面積は短期間で高めることはできない数字と言える。図-3のように全国的に見ると、国土の27%が人工林になっている。この率は、先の人工林率とは異なるので注意が必要である。

人工林は先人の努力の賜物

 現在の人工林はどのようにして作られてきたのか。挙げてみよう。全国各地同じではない話である。

1)森林は大切な農業の資源を与えてくれる所であり、吉野林業のように先進的な地域では苗木を植え、人工林を増やし、育林業として木を育ててきた。その技術は日本全国に伝えられ見習った地域も多い。

2)農業のために植林を行った地域もある。地域で共同利用する入会林の中には伝統的に手入れを実施してきた所もある。

3)各地で、木を伐採した後、跡地が再生するようにと苗を植えた所もあると聞く。

4)商売で成功した資金を元手に山林を購入し、造林を積極的に行った山林家も各地に存在し、篤林家、指導林家として技術を地域に伝えている。

5)第2次世界大戦後、はげ山に植林したという話が各地で聴かれる。

6)戦後の復旧のために、人工林も天然林も含めて木材を伐り出して木材を活用し、その跡地に造林をしてきた。天然林の森林を伐り、造林を行うと、結果的に拡大造林になる。

7)日本では様々な樹種がある中、スギが北は北海道南部から南は九州屋久島まで自生している。多様な樹種がある中で、木材として扱い易かったことから、スギが好んで植えられてきた。また、スギよりヒノキの方が珍重されて高値で売れることから、ヒノキの適地にはヒノキが植えられた。寒さの厳しい地域や高地ではカラマツ、海岸ではアカマツ・クロマツなど針葉樹が好んで植えられた。針葉樹は真っすぐに成長し、日本の軸組工法の用途には適していたと考えられる。

8)広葉樹は薪炭林として長く活用されてきたが、電気、ガス、石油等の家庭での活用が始まり、下火になっている。雑木林として残っている所が多い。

9)その他、竹林も農業などの資材やタケノコ生産のために植えられ活用されていた。西日本に多いが、放置された竹林が拡大して問題になっている。

 人工林は将来の可能性を求めて、いろいろな経緯があっての人工林である。傾斜の急な山岳林の日本の森林では、先人たちは多くのエネルギーを投下して、拡大造林を行ってきた。その努力の結晶が現在の人工林と言える。この半世紀、拡大造林が進み、造林の可能性のある場所は大体し尽くされたのではないかと考えられる。あちこちで、よくぞここまで植えたな~と思う急傾斜地の成林した人工林を見て感動する人も多い。

 他方、高度経済成長期には、他用途に使える可能性のある土地の森林は既に転用されたとも考えられる。今ある人工林の立木は先人たちの試行錯誤の努力の結晶と大切にしたいが、現在は木材価格が低いため、長伐期化の理由をつけて伐り控え、計画した伐期を過ぎて山の中に残されている人工林は多い。

人工林以外の森林

 森林から人工林を除いたその他の森林は全国的に見て図-3の国土の40%である。多くは天然林である。人里離れた奥山や標高の高い森林は無理して植林できない等の理由でそのまま残されている。また、標高の高い所の人工林では、生育状況が悪い所が各地で見られる。

目的によって対象の森林を限定して考えよう

 森林は考える目的により対象を限定して計画した方が成功すると考えられる。森林に関する計画その他は森林面積を基に考えることが多かった。しかし、これまで述べてきたように人工林面積が森林地域の産業の発展を考える場合重要ではないかとの考えに至った。森林が多い地域はもちろん人工林も多い。半世紀前の木材価格の高かった時代は、期待を込めて森林全体を先人たちは扱っていたと考えられる。しかし21世紀の現在は木材やその他の生産に活用できる森林は各地の現在の人工林と見て良いと考えるのである。

 他方、都市も含めた地域の住民に対する環境としての森林は、広い意味での森林の効用である。また観光地では、森林の景観が重要であり、こちらも広い意味での森林が対象になる。

 人工林は人間が植えたからには立木の密度管理など人間の森林作業が必要であるが、天然林は治山等の管理を必要とするが、人工林に比べると必要とする森林作業は少ないと言える。これは一般的に言われていることで異なる場合ももちろんある。

 適地適木、方法については色々な意見があるが、地域に住む地元の方が成功、失敗も含めていろいろと知識が豊富である。地元の経験を大切に産業を推進するのが賢明である。そして、現在の人工林は現在も将来も森林生産力の基盤と考えられる。

全国の人工林の分布

 全国各都道府県の人工林面積は、1位が北海道の約148万haである。2位は岩手県が49万haで、20位までが20万ha以上である。さらに23位までが19万ha以上であった。

 地方別の人工林の分布を見ると、図-4のように北海道が全国の15%、東北地方が19%、中部地方が18%、九州地方が14%と続き、ここまでの4つの地方で66%を占めている。人工林には有用な樹種の木材が蓄積されていると考えられる。また適切な管理が行われれば今後も成長していくと期待できる。

図ー4 人工林の分布

図ー4 人工林の分布

林野庁の考え

 国(林野庁)は現在の約1,000万haの人工林の内、660万haの人工林を育成単層林の経済林としたいと考えているようであるが、これは全体でのお話である。人工林の残りは育成複層林としている。

 2019年森林環境税と森林環境贈与税が施行されるため、森林の管理を進めることができる可能性がある。地域の人が地域の条件に合わせて地域のために地域の計画を作り実行してもらいたいと願うところである。
(参考:林野庁:森林・林業。木材産業の現状と課題、平成29年2月)

森林を人工林とそれ以外に分けて考えると地域産業を考えやすい

 そこで、森林と人工林の話に戻るが、森林のあるところは、(約2500万haの日本の森林は)全てが木材生産を行える森林ではないのである。標高の高い地域の森林があり、国立公園や国定公園であったり、観光地であったり、水源林であったり、保護林であったりと様々な用途に使われているところがある。森林の機能は単一ではない。しかし、観光地は観光地の森林の管理方法があっても良いように、目的とするものが地域によって違い、森林に期待する機能が異なって良いのである。

 先の人工林の話では、現在の人工林は地域の先人たちの知恵の表れであり、これを考慮することは大切であると考えられる。

 さて、森林面積で地域を捉えると、経済林として不利な条件の面積まで含まれることになる。そこで、人工林面積を地域の数字として捉えることを考えたい。森林面積ではなく、人工林面積を基に各都道府県の経済活動を見て行くことにする。

 先に2016年の木材生産量を地方別に集計したが、北海道、九州地方、東北地方の生産量が全国の65%であるが、その地域の人工林面積は全国の47%である。長野県、岐阜県の位置する中部地方は陣国の人工林の18%を占め、これからの木材生産が期待されると考えられる。

  • 2020.01.31
  • 田中

今なぜ森林生産力を考えるのか

 森林地域と50年近く研究を通して関わってきたが、つくづく難しいと感じている。2019年は年号が令和となり、国内の森林関係では森林経営管理制度がスタートし、森林環境税や森林環境譲与税が開始されることになった。今回は、県の方に県の範囲の推進が求められている。
 各都道府県の担当者はその重要な担い手として自分の所では何を優先させたら良いのかと考えをめぐらしていると予想される。過去には流域単位での思考が進められた時期が続いたが状況が変化してきた。そこで筆者は県の方々の仕事の一助になるよう話を進め参考にしてもらいたいと考えている。
 冒頭に書いたように森林の問題は難しい。自然相手にオールマイティの方法など求めることは難しく、地域に合わせた地域の方々の尽力が必要と考えられる。1980年以降は森林にとって厳しい時代であったにもかかわらず各地での努力は行われてきた。それは残念なことに実っていない地域が多い。
 改革は国としての立場での考えである。地域によっては標準的ではない異なる方法がより良いことはある。そのようなことも考慮して今回の改革は地域の方法の推進を望んでいると考えられる。
 「地域の人が、地域の将来のために、地域の計画を立て、地域の人が協力し合って実行していくこと」の大切さを私は考えている。改めて各都道府県の地域の力を把握し、強みと弱みについて明示していきたい。どうぞお付き合いください。

  • 2020.01.17
  • 田中
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