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私、施主になりました!(8-1完)

8 おわりに~「じっと黙って待つこと」

 家の建築は「じっと黙って待つこと」と理解できた。そうするときっと自分に合わせた良い家と巡り会えると悟った。そのためには信頼できる建築士と出会い、そしてライフスタイルについて時間をかけて聞き出してもらうことが重要であると思う。

 初めて家を建築するとわからないことばかりであった。また他人の家の建築では1棟の家をずっと見ていることはあまりやらないしできることではない。余程の暇人なら別と思うが。他人の家の建築はたまに通った時に今日は何々をしていたなどとチェックをするがすぐ忘れることだろう。

 家の建築期間は長い。私の場合、2016年11月建築会社と契約、2016年暮までに地盤改良から基礎工事まで、2017年1月下旬棟上げ、2017年6月入居と7か月かかった。その間写真を撮影し、それを見ることで思い出すことができるが、遠い思い出のように大方わからなくなっている。

 建築の素人の話を読んでいただいた方に感謝申し上げたい。「ありがとうございました。」素人の私が勝手なことを書いてきたが、プロの方々に素人の施主はいかに解っていないのかを知ってもらいたいとお話することにした。私だけが理解していないのかと自問するが、そうでもないだろうと思う。

 施主の話はあまり耳にしない。私が知ろうとしないだけだと思うが、短い話や宣伝には良い事ばかりである。建築の関係者に施主とのコミュニケーションの難しさをもっと知ってもらいたい。施主にとっては、それまで知らなかった住環境の情報が一度にどっと押し寄せ、選択を迫られるという状況に置かれる。どうしても情報未消化の状態でいる。日本各地で色々な条件が異なるが、宣伝に迷うことも多い。気候をはじめ人の多い所と少ない所、住まい方の違いなど・・・。間違った選択をしないよう指導することは重要と思う。特に知ったかぶりをする施主の扱いはさぞ大変なことだろう。

 専門家の方に、施主のニーズを聞き出してもらいたい。そしてそれに合わせた家造りをお願いしたい。施主の知らないことがあまりにも多く話しても理解できないかもしれないが、施主にとっては簡単に買い換えられない長く付き合う大きな買い物である。施主や家族に合った住環境を提供していただきたい。そして住む人を幸せにして欲しいと思う。

 建築士のお仕事、そして家の建築に関わる大勢の皆様の仕事は世の中のために役立っている。それに加え、将来に渡って住む人に良い住環境を提供する難しくとも夢のある仕事と思う。
(完)

  • 2018.04.03
  • 田中

私、施主になりました!(7-1)

7意匠~外見と外構

7-1外見

 建築物には「意匠」(いしょう)という言葉がある。素人の筆者にはよく理解できないが、建物のデザインを言うようだ。私は何でもなるべく目立たず華美でなくシンプルで機能性を重視したいと思っていた。そのため今まで家の外見に興味を持たずに生活してきた。住宅展示場やカタログを見ても選びようがない状態であった。実家の建替えを考えるようになってから急に周りの家を見たり、道を歩く時に家々を見るようになった。そして世田谷区では駅の周辺の家が大部分3階建てになっていると気づいた。前にも述べたが、それまで建て替えが進んでいるのにも気づかなかった。

 機能を考えると地震に強く、雨漏りせず、長持ちする家がいい。またあまり重くない家が良いなどと素人として勝手な考えが浮かんだ。しかし何にも確たる理由がないので全て建築士にお任せした。

 サイディングではなく飽きの来ないモルタル作りとなった。隣家のある側は防火のためにモルタルにするが、道路側には木を貼ることができるとのことで、一部木を貼ったデザインになった。歩いていると同様の道路側に木を貼ったデザインの家を数多く見かける。知らない時には気付かないものである。

 モルタルの色は周囲の家に合わせ、溶け込むようにベージュである。色を選ぶ時は2,3種のサンプルを作ってもらい現場でそれを見て選んだが、選ぶのに同席し選ぶ理由を聞きながら「なるほど」と感心しているだけであった。何にもできない素人はプロにお任せした方が良いのではないかと私は思う。

 完成した家はとても気に入っている。全て任せられた方はさぞ大変だったと思うが、施主そして家族としては大満足の家である。模型を見ても実物の家は予想できなかったが、今模型を見ても同様に感覚的に理解できない。ということは、建築士の仕事は作る過程を施主と一緒に過ごして素人の施主の反応を見ながら家を作る作業なのかもしれない。

 家の建築は時間とエネルギーが必要な大仕事であるが、満足できる家のプレゼントに感謝するばかりである。

7-2外構工事

 家の建築の最後は外構工事であった。大げさのようだが家の印象が一瞬で変わるし、家全体の建築に比べ期間が短いのにも驚いた。終わると周囲の街並みに溶け込み、工事現場ではなくなってしまった。

 玄関への階段等のコンクリートのできたてはきれいだ。庭は狭いため防草シートを敷きその上に砂利を敷いた部分が多い。工事は手際が良かった。それまで外構工事のことを全く知らなかった。

 家族は元々家にあった庭石等を組み合わせ小さな石庭造りを楽しんだ。小さいがとても気に入った庭ができた。作ることにしてから石庭で有名な京都の大徳寺大仙院へ見学に行き色々構想を練ったのが良かったと思う。また砂利の材料はインターネットとDIYで購入できた。10kg、20kg、・・・と全部で60kgを購入し、それも面白かった。

 昔は塀があった。今は塀の無い家も多い。マンションから一戸建てに移ると感覚的に要らないのかもしれない。これは数年前東京都八王子市で造成地の家々を見て思ったことであった。都市での事情かもしれないと思う。塀があれば簡単に敷地内に入ることができないが、余程高い塀でなければ人が入ることを防ぐことはできない。塀の有無は慣れてしまえばどちらでも良いのかもしれない。

 今の家は塀がない構造で玄関へ上がる階段の手すりが塀の役割を果たしてくれている。そう考えて周りの家々を見ると同様の家が多い。また道から家までにミニ花壇のある家が新築の家や建売住宅にたくさん見られる。我が家も道と家との間に土の部分を残し花壇の空間を作ってもらった。これから2~3年をかけて低木や花を育てて行きたい。

(続く)

  • 2018.03.31
  • 田中

私、施主になりました!(6-5)

6-5窓について

 窓は大きい方が明るくて良いとずっと思っていた。中学生の時から近視だったためかもしれない。今回の家は小さめの窓がたくさんついている。そして陽射しが部屋の中に入っている。最近建築した家には小さい窓が連続して並べてある家があるが、大きな窓同様に周りの景色が見えていると思う。

 マンションでは開口部に広い窓が開いていることが多い。団地住まいの時は部屋の奥行きがあまりなく吹き抜ける風が気持ち良かった。2015年築のマンションは間取りが変わり広さは約1.5倍になったが、奥行きが長くなった。奥行きの深さを感じさせない部屋の配置と広々としたリビングダイニング+キッチンが設計されていた。躯体には構造用の柱がありそれをよけた大きな窓が取り付けられ、柱を感じさせないようにできていた。LIXSL製の窓であった。家族が「LIXSL様」と呼んでいる大きな窓である。ペアガラス(複層ガラス)で、断熱、防音機能に優れ、外が嵐でもあまり気にならない。様々な外部環境を伝えず、快適な人工空間を作っているものであった。冬寒かった八王子の住まいに比べると隔世の感があった。

 一戸建ての窓についても30年ほど前は大きな窓が流行っていたと思う。阪神大震災後地震対策のためには壁の配置が大事であると言われ、窓が小さくなったようだ。東京の場合建蔽率や容積率が大きく、建蔽率が60%、80%などの場合、平均すると土地の一辺の77%、90%の大きさとなり建て込んでいる。周りの家との関係も悩ましいところである。(0.77×0.77=0.5929≒0.6、0.9×0.9=0.81≒0.8である。)

 今回の建築では周囲の家の窓の位置やスペース等を考慮しての設計となっているように思う。窓の位置や大きさ、仕様については建築士と大工さんにお任せであった。素人の施主は本当にわからないし、説明を聞いても「そうなのか」程度の反応しかできなかった。実際完成してから、こういうことを説明していたのかとか、部屋の4方向の図面はこれを表現していたのかと理解した次第であった。もっと積極的に見聞きすればわかったのかと自問するが、無理であったと現在も思う。もう次回はないと思うが、次回も理解できる自信はない。なぜならその時の建築の技術がわからないし、的確に理解できると思えないからである。住宅展示場に行っても窓ひとつひとつを丹念に観察することなど多くの人はしないと思う。間取りなど他に目が行ってしまうのではないか。

 完成した家の窓を見て、小さくても上手に窓を配置すれば大きな窓同様に明るい通風の良い部屋ができると感心した。窓の数が多く、戸締りにはなかなか慣れることができないでいる。

 さて、窓の性能は「LIXSL様」によって良くできているが、それと共に窓の周囲や内側の造作が50年前の家と全く違っていた。団地の鉄やアルミのサッシは、サッシの枠を感じて使っていたが、21世紀の家は木の造作でそれを囲いまるで木製サッシの様である。

 20年程前から建材展で木製サッシの作成を手掛ける企業のブースを見かけては、住み心地が良さそうと思ったが、現在の窓の施工はその上を行っていたのだと合点した。家の外壁が厚くなったことも一因かもしれない。「地震対策による小さな窓を上手に配置すること」と、「窓の造作の改良」は進んでいる。
 

階段の窓です。木製サッシのようです。

階段の窓です。木製サッシのようです。


部屋の窓です。

部屋の窓です。


楽しい出窓です。

楽しい出窓です。

 義妹の勧めで出窓を作ってもらったが、楽しい空間になっている。カーテンを手作りできたのも良かった。土地の狭い地域では家造りにもいろいろとノウハウがあるのだろう。窓の数が増え、外出時や就寝時の戸締りチェックは大変であるが、防犯のためには頑張ろうと思う。

(続く)

  • 2018.03.30
  • 田中

私、施主になりました!(6-4)

6-4壁

 室内の壁には色々な思い出がある。子育て中はよく汚れた。また時間の経過で変色する。そのためか「10年に1度は内装の新調を」という話を聞いたことがあったが、「まだ使えるなら」そして「まだ我慢できるなら10年に一度は贅沢ではないか」と思っていた。忙しい時の逃げ口上だったかもしれぬ。しかし今は快適な住空間での生活を手に入れることを考えるとその投資も価値あることと思う。

 中古の団地で20年程生活をしていた時、ちょこちょこ改修はしていたが、もっと積極的に考えても良かったかもしれない。どのようなことをやってきたか並べてみる。工事に伴い壁もきれいにしている。
1)キッチンセットの交換(団地の大改修時に)
2)ウォシュレット付きのトイレへの交換(団地の大改修時に)
3)洗面所の交換
4)ピアノをおいてある部屋の弱音化
5)北側の部屋の壁紙交換(カビのために交換)
これらは記憶に残っている。団地の大改修時の提案に合わせて行動したが、その他は最低限の消極策であった。子育て中、仕事をしながらだと余程のきっかけが無いと行動できなかった。現在は、子供の成長期を大事にしたかったと反省するが、私の性格を考えると当時はそれで精一杯だったように思う。

 昔から壁紙は市販され素人でも張り替えることができた。しかし専門家にお願いした方が上手にできることは間違いないだろう。接着剤の改良が進み臭いも少なくなっている。2015年築のマンションは白い壁紙がスタンダード版として貼ってあった。選んだのではなく建設会社が決めた物だ。とても明るくて気に入っていた。

 子供の頃部屋の壁は漆喰壁があったように思う。傷や汚れが付いて壁紙を張ったりしたように記憶している。そして漆喰は少なくなったのだろうと思っていた。今回の家の壁は漆喰のような仕上げになっている。これは建築士が気に入って勧めてくれた物であった。どのような雰囲気になるのかと楽しみにしていたが壁が前面に出ている現在の部屋に似合った良い雰囲気を作ってくれている。空気の洗浄効果もあると聞く。(写真)色も模様も変化がつけられるそうだ。

壁の模様1

壁の模様1


壁の模様2

壁の模様2


壁の模様3と戸棚の扉

壁の模様3と戸棚の扉

 私は木が好きなので、壁に木材を張っても良いと思っていたが、床も壁も木であると重い感じになるのではと案じて言わないでいた。新しい家は私たちの性格を理解した上で選んでくれたと思う。とても明るく質感があり模様も面白い。漆喰の壁は言葉を聞くと古く感じるかもしれないが、色も豊富で模様の自由度が高く多くの人に紹介したい。空気もとても良い。

 他方、階段とトイレ、サニタリーは壁紙になっている。壁紙にはたくさんの候補があり選ぶ作業は大変だったと思う。コーディネータの義妹に選んでもらった。サンプルを見た時にも良いと思ったが、出来上がりは予想外の良さであった。素人には予測がつかずわからないものである。私の美的感覚がにぶいのかと思うが、色々な人がいるのも事実だろう。失敗している人もいるのではないだろうか。生活しながら家のあちこちを感心して眺めている。

 遠い昔を思い出すと、小学生の頃ふすまの模様を選んで大失敗したことがあった。そのころから林間が好きだった私は全面竹模様の絵柄にした。部屋の大きさは6畳だったと思うが、狭い空間が模様によってなおさら狭く感じられ大失敗だったと思った。もちろんそのまま我慢して何年も過ごした。

 逆に、青空の模様を子供が選んで押入れも天袋もふすま全面に張り成功したことがあった。4畳半の狭い部屋であったが、すがすがしい良い選択だったと今も思っている。素人には思い通りに行かないものと私は観念している。

(続く)

  • 2018.03.27
  • 田中

私、施主になりました!(6-3)

6-3天井の材質について

 日常の生活の中で天井のことは気にしないで生活している。「ご自宅のお部屋の天井はどのような物か知っていますか。そして気に入っていますか。」と質問してみたい。

 1966年に両親が購入した建売住宅は和室が多くどの部屋にもツキ板の天井板が貼ってあった。木目模様がきれいでそれが揃っていて私は気に入っていた。年月が経ちいろいろなことがあり、色は飴色に一層濃くなっていった。

 建て直すに当たり、残してもらってまた活用できないかしらと考えたが、建築士の気持ちを考え言い出すのを諦めた。新しい家は白色のクロス張りと思うが、接着剤の臭いも無くとても明るい雰囲気で気に入っている。

 家の中は窓をどんなに大きくしても照明無しに部屋の中で仕事や勉強などの作業はできない。自宅で仕事や作業をする人や、勉強する世代がいる家庭では明るい方が合理的と思う。雰囲気を大切にする方はまた別の考えがあると思うが、中学生の頃から近視だった私は明るい方を好んでいる。

新しい天井は白色である。

新しい天井は白色である。

 別の話になるが、天井と言えば、長野県信濃大町に住む友人のログハウスの家の天窓から眺めた星空は美しいものであった。
(続く)

  • 2018.03.26
  • 田中

私、施主になりました!(6-2)

6-2天井高考

 人間にとって快適な天井の高さはどのくらいなのか。自分の家や部屋の天井の高さを意識しているか。いかがでしょうか。高い天井は人気があるが、メリットばかりなのかと気になる。そこで家の建築の機会に考えてみた。素人の感想と思ってお読みいただきたい。

 人間が立てなければ不便である。背の高い方やスポーツ選手が電車に乗る時に苦労しているのを見かけたり聞いたりする。もし自宅の天井が、頭がつかえる高さだったら何かの拍子にぶつかって頭痛や怪我の原因になる。また、背の高さギリギリでも開放感は得られない。個人の好みもあると思うが、居室の天井はやはりある程度高くないと困ると思う。しかし、色々な事情でそうそう高くはできないものである。

 天井が高いと開放感がある。ホテルのロビーやホールは大空間である。非日常的である。そして個人宅でも吹き抜けのリビングは人気があるという噂を耳にする。そういえば、50年ほど前、高校や大学の宿泊施設の天井がとても高かったのを思い出す。今でも豪農などの古民家では見かける。

 個人の住宅に話を戻そう。集合住宅では建設会社が決めて建築する。その高いことが謳い文句になることもある。そこで天井の高さの機能面から次のようなことを考えてみた。

1)部屋に物を置く場合
 天井が低いと書棚や物入等の背の高い家具が入らない場合がある。他方家具の耐震対策として天井と突っ張らせるタイプの倒れ止めの金具があるが、天井が高いと使えない場合がある。耐震のためには他の方法を用いることになる。

2)日常の作業や掃除
 掃除やカーテンの設置や置物を飾る時には天井が低い方が作業しやすい。天井が高い場合、踏台では間に合わず脚立や梯子にお世話になることがある。

3)実際の経験
 1990年頃建てられたマンションは天井高が234cmであった。その住み心地に特に不満は無かった経験から、現在の家の居間は約234cmになっている。前述の家で間仕切りにカーテンを吊ったが、上を向いての作業は素人には大変であった。

 2015年築のマンションは室内の高さがさらに高く260cmくらいあった。天井の照明器具の取り付けには脚立を利用した。入居者には高齢者もいたので電気屋さんに頼むしかなかったと想像する。高齢者が自分で脚立に登り落ちでもしたらそれこそ大変。天井が高いのは考え物とその時気付いた。

 子育ての現役時代、床面積が50~60m2の団地に住んでいたが、子供にベッドを与えても親は空間が柔軟に使えるふとんを敷いて寝ていた。子供が巣立ち4LDKの家に引っ越したが、家が広くなるとベッドかふとんかに関わらず、寝ている部屋の用途は寝ることと物の収納場所になった。するとそこでは起きて行動しない訳で天井は低くても一向に構わないことになる。その延長にカプセルホテルの発想が出てくるのかもしれない。寝ることだけを考えれば船や列車の2段ベッドはリーズナブルである。

 現在の寝室の天井高は建物の高さ制限など諸般の事情により215cm程度と低くなっている。ベッドを入れたが、寝るためには全く支障はない。小さい元気な子供がいる場合は天井が低いとふざけて跳ね天井に頭をぶつけるかもしれないが、その心配は今のところない。実際の部屋はほんの少し吹き抜けの部分があり、寝ながらの楽しい眺めになっている。

 個人的には、個人の家の天井高は、235cm前後が日本人にとって適当な高さなのかもしれないと思う。背の高い方はそれより高い方が良いのかもしれない。

(続く)

  • 2018.03.26
  • 田中

私、施主になりました!(6-1)

6.居室について(内装)

 森林地域の産業の研究の過程で、部屋の表面の3割程度木材を使うと人間は精神的に落ち着くと聞いたことがある。確かに木材に囲まれていると落ち着くと思う人も多いだろう。私もその一人だ。しかし全面木材では古臭い感じがするという意見があり、その間で日本の家の内装材が変化してきたと考えられるのではないかと思う。和室が少なくなっていると言われている。そこで内装材についての私の経験と私見を述べたい。

6-1床

 床はフローリングが流行している。2015年築の私の住んでいた桜上水ガーデンズは予め6種類の間取りが用意されていた。畳の部屋のある間取りはひとつだけであった。我が家として畳のある物を選んだが珍しかったようだ。和室のある家が少なくなったと言われて久しいが、このようにして新しく建てられるマンションから和室が消えていたのだと思った。東京は特に和室が少ないのかもしれない。

 洋間の床はフローリングとなるが、マンションの場合には大理石の床!などという思いがけない物もあった。スリッパをはく生活では有りなのかもしれない。しかしフローリング材として木質の物が一般的のようであった。

 研究活動の関係で知ったスギの厚さ3cmの無垢の板を特別にお願いして敷いてもらった。静岡県浜松市の天竜林業では天然乾燥のフローリングの板を作っている。マンションの建築会社に無理を言ってお願いしたのだった。そのため床暖房は止めにしてもらった。その結果とても空気の良い住環境が出来上がった。家の扉を開けると、「思わず深呼吸したくなる家」、私の理想の住空間となった。

 無垢のスギ板の2番目のメリットとして材質の軟らかさを挙げることができる。小さな子供が転んでも怪我は軽くて済むだろう。私はノートパソコン(PC)を落としてしまいヒャッとしたが、PCは無事であった。マウスのコネクタが曲がり買い換えた程度の損傷ですんだ。逆に床の方は被害があった。深さは5mm程度長さが約2cm彫れてしまった。濡れ雑巾を置いておくと良いと聞いていたので熱湯を沸かし窪んだ部分に注ぎタオルで覆い養生をして待った。だいぶ凹みが小さくなったが現在でも凹みの穴はわかってしまう。無傷で家と付き合うのは難しいのだろう。だから表面を強くするためのコーティングが施されたフローリングの材料がたくさん出回ってきたのだと思う。手放した木の良さもある。どちらを取るかは難しい問題である。

 表面を加工された木も元のままの木も見た目は区別がつかない。2種類並べて見たり触ったりすると全く異質である。コーティングを施すと冷たい感触になり木の香りが出なくなる。その代わり汚れにくくなり傷つきにくくなり、手入れが簡単になる。消費者は専門家に勧められると楽な方へ安易な方へ行ってしまうと私は感じる。ひとつひとつ吟味するほど現代人は時間に余裕が無いと言える。小さなお子様がいる家庭は無垢の木のフローリングが良いと思う。2年近く住んだがエアコンの影響で木が反ってくることもなくとても良かったと思っている。

 マンション住まいでは点検のために色々な業者が来訪するが、木の香りの良さを言ってくださってうれしかった。プロは他の家も知っていて比較してくれるのであった。問題は良い事しか言ってくれないことと思うが。

 マンションの話が長くなったが、新しい家の一部にもスギの厚さ3cmの床板を張ってもらった。今の住宅は床暖房が主流のようで、建築した家は建築士のお勧めで1,2階は床暖房を設置し一般的なフローリング材にした。3階は床暖房を入れず前述の天竜材天然乾燥のスギのフローリングにした。この部屋の香りの良さは特別であり、他の部屋との比較でスギの香りの良さを改めて認識できた。

 マンションでは値段を考え節(ふし)のあるスギ板を楽しめるフローリングにしたが、今度の家では「上小節」(じょうこぶし)という一段上等の物にした。部屋の床の美しさは見とれてしまう程である。寝室にしておくのがもったいないのでベッドを寄せて作業できる空間を建築士に内緒で確保している。何と思うかちょっと心配である。

3階の天竜材天然乾燥のスギのフローリング。

3階の天竜材天然乾燥のスギのフローリング。


床暖房のためのフローリング1

床暖房のためのフローリング1


床暖房のためのフローリング2

床暖房のためのフローリング2

 他のフローリング材は2種類選択した。外国の木材を2mm位のつき板(薄い板)にして1.5cmくらいの板の表面に張り付けたものであった。1階は少し明るめのメープル、2階は木目模様の物を選んだ。私たちの20年後のことを考え、床暖房を設置したので仕方ないが、3階のスギの無垢板の方がやわらかく心地よい。床に寝そべる時はつい3階に行くが、ひとつの家の中にいろいろあり楽しみは多い。もちろん1,2階のフローリングは椅子に座る生活では充分満足している。

 床板は人間の生活にとって最も身近な存在である。特に小さな子供には体に近い物である。良い物を吟味して楽しく使うことが得策と思う。スギ、ヒノキ、カラマツ等の日本の針葉樹もある。外材の樹種もたくさんある。日本の広葉樹も然りである。2015年築のマンションではフローリングの候補材が3種類用意されていた。スギの無垢材などもっと選択肢があれば良いと思う。他方、選択肢がたくさんあると素人には選ぶのが難しいし、その対応が大変なものになると予想できる。また、800戸超のマンションの建設では種類を絞り大量に発注できることで建築会社にとってメリットがあったと考えられるがいかがであろうか。

 一戸建ての設計の場合、マンションのような建築会社のメリットがないため、建築士の指導の下施主は選択することになる。私の場合自分たちに合わせて選択してもらい決定したのであった。

 部屋の用途、住民の趣味によって膨大な選択肢が存在する。その中で何を選ぶかは難問である。しかし建築された家は誰かが選んで作られている。マンションの建設会社、建売の会社、建築士、戸建ての建設会社など、素人のマンション購入者や施主は知らないうちに選択の指導をお願いしている。

 逆に、資材を供給する側にとっては、たくさんの中から自社の製品を選択してもらうことは難問だと気が付いた。
(続く)

  • 2018.03.24
  • 田中

私、施主になりました!(5-2)

5-2 家具と建具

 家具は生活の友である。この60年の間日本人のライフスタイルは変化した。第2次世界大戦の終戦からしばらくたった60年前庶民は畳の部屋で丸いお膳を使って食事をしていた。その後、私の成長期の家にもいろいろな家具や家電製品が入ってきて壁は家具に埋め尽くされた。

 信州里山.netで家具の研究者の家具の歴史についての記事を拝読した。各地に江戸時代からの家具の歴史があるが、庶民の暮らしに家具が普及するようになったのは第2次世界大戦後のことで、大まかに言うと20世紀後半のようだ。それ以前庶民の家では棚が中心だったようである。だとすると私の人生の間ではないかと気が付いた。木材と触れているとリラックスできるが、住環境に木材を取り入れるには家具が最も手っ取り早いと私は考えている。

 一方、日本人のライフスタイルが変化していることも考慮する必要がある。日本の家の面積が広くなっているが、広くなるにつれて和室の生活からイスの生活へと変化し、寝具が布団からベッドへと変わってきた。高齢化社会では、レストランでも椅子席、ホテルも布団よりベッドの方が高齢者に快適であり、一緒にいる人も楽ということになる。

 もうひとつの問題は災害対策である。家の設計をプロの建築士に依頼すると、家具を置くより作り付け家具の方を勧められ、安全性の考え方に気づかされた。地震の時に動かない家具、倒れない家具の方が住民は安全である。

 そこで、機能を重視すると将来どのような家具が残っていくのかを私なりに考えてみた。デザインや雰囲気作りなどを考慮すると違う考えになることをお断わりしておく。機能派の私は次のように考えた。 
① テーブル&イス:イスに座る生活には欠かせない。作り付けになるかもしれない。 
② ベッド:家が広くなり寝室ができたことと、高齢者が過ごしやすいように1人1台必要になる。
③ ソファー:私は個人的には好まないが、リラックスするためには多いようだ。
④ 書棚、サイドボード、OA収納など:住民の趣味や趣向で必要になる。
⑤ 子供用学習机、ベッド、物入れ:子育て中は必要となる。子供1人に対して15~20年と期間が短いことが特徴。
⑥ 書斎の机:仕事の仕方によっては必須。私個人には必要である。
⑦ タンス類:WIC(ウォークインクローゼット)に変わっている。
⑧ 食器棚:作り付けの棚には地震で扉が開かない器具が付いているものがある。
⑨ 鏡台・ドレッサー:洗面所へと代わっている。
 これから確実に残るものは①から⑤、あるいは⑥ではないだろうか。個人の家ではなく、病院の調度品を考えても同じ物に行き当たった。

 家具を作成する側の立場では、メーカーの競争に追われていると思うが、実はそれより広い業界間での競争が起きているのではないだろうか。家の建設会社や集合住宅のデベロッパーも競争相手であり、消費者のために良い家具を提供する協力者でもあると考えることができるのではないだろうか。デザインさえ良ければ良いのではなく、ライフスタイルに合った機能をしっかり提供するものでないと、流行が去ると飽きられてしまうと思う。

 東京では昔あった家具屋は姿を消し、現在私の気付く家具屋として大規模のニトリ、イケアなどがあり、安く手ごろな家具が若い人の人気を集めている。一方高級家具のお店も頑張っている。いろいろな人がいるので自分に合った住環境のための家具が入手できる世の中であってほしいと思う。

 特にストレスの多い現代人ためにストレスを減らせる住環境作りとして木製家具を提供し、それを消費者が入手し使って欲しいものである。木材を使いリーズナブルな値段で活用できる家具を家具メーカーが提供してくれることを願っている。

 次回は居室の内装の話に入ろう。

(続く)

  • 2018.03.21
  • 田中

私、施主になりました!(5-1)

5.収納、ロフト、家具

5-1 収納の考え方は変化している

 新聞と一緒に配られる不動産のチラシを見るとWIC(ウォークインクローゼット)をたくさん見かける。2015年築のマンションにも広めのWIC、大きめの物入れ、約1間分(幅約180cm)の押入れと約半間分の物入れがあった。その他に大きなシューズケース、廊下の書類等を入れるキャビネット様の物入れと収納が多く付いていた。家のひとつの機能に物の収納機能があることを認識できる。

 私たちは段ボール箱40個等かなりの荷物を持っていた。「終活しよう」と称して少しずつであるが荷物を減らす努力はしていた。しかし壊した家にあった処分できない物や家具は否応なしに私たちの荷物を多くした。荷物が多いことから建築士は3階の上にロフトを作ってプレゼントしてくれたのだった。

 ところで、50年前建売だった家には増築して2畳程度の中2階があった。2階から床の蓋を開け置いてある脚立で降りるという方法で入ったため、ここ十年以上は年に一度入れば良い方であった。物の整理はエネルギーを要するため、家人が歳を取るとなおさら入れなくなる。それを私は恐れたが、我らが建築士は階段のあるロフトを設計してくれたのであった。

ロフトへの細めの階段。

ロフトへの細めの階段。

 引っ越しの時、あまり使わない物の入った段ボールをロフトに入れてもらった。それを家族は区分けに精を出し、整理はどんどん進められた。ロフトは「何がどこに入っているのかがわかること」が重要だ。見えない、出せないでは物を持っていないのと同様である。自分が歳を重ねると見えない物をどんどん忘れるのではないだろうかと恐ろしい。

 さて日頃使わない物やここ2年位使わなかった物をロフトに収納することで驚いたことがあった。それは、他の部屋の荷物が少なくなったのだった。居住空間が広々と確保されたのだ。物にあふれていたのは何だったのか。「物入れの空間」と「整理」と「物を減らすこと」で快適な空間が生まれ、それを手に入れることができるようだ。

 ロフトそのものは高さ140cmと大人が立って作業することはできないが、建物の空間を有効活用できるのだった。

 現代の収納にも工夫がある。WICにはハンガーのかかる横棒がついているが、それだけでなくタンスをすっぽり入れることができた。大きめのタンスは処分して2つだけ残しWICに入れたため、古い物は見えなくなった。下着など日常使う衣類は小さめのベビーダンスに入れてリビングに置いておくことにした。建築士の先生の反応は心配であるが、便利さは譲れそうもない。

大きなWICの扉。

大きなWICの扉。

 今回の経験で知ったことであるが、収納はできるだけ作り付けの物入れにする方が地震対策になるとのことで、棚の高さが変えられる収納をいくつも作ってもらった。夏場に使わない掛布団等を入れるために昔ながらの押入れも1間分くらいはある。

 その他の押入れのひとつは奥から中ほどまで棚を5段ほど作り、その前の扉の内側に掃除機を収納している。物の入れ方にもいろいろ進化があると感心した。長く生きていても知らないことは多い。しかも長く住んでいると慣れてしまってそれほど困っていなければそのままの方法で使い続けてしまうのが人間なのかもしれない。

 引っ越しして半年以上経ったが、まだ全ての収納を使いこなしているとは言い難い。これから四季を2回くらい経る間に上手に収納できるようになりたいし、工夫したい。

(続く)

  • 2018.03.20
  • 田中

私、施主になりました!(4-3)

4-3屋根について

 屋根は家にとって最も重要な物のひとつだ。風雨から家を守るだけでなく紫外線などの陽射しからも家を護っている。元の家が築40年位の頃、母は瓦屋根にあこがれていたためスレート瓦をトタン屋根の上に載せてしまった。家が傾くのを助長させたとも私は考えているが、傾くいくつかの要因のひとつであっただろう。

 今回は前述の経験から屋根には初めからこだわらない方針にしていた。それより家の土台その他とのバランスをとることの方が大切ではないかと考え、今多く使われているスレート瓦になった。

 住宅展示場のカタログを見ると屋根は良く見えるが、東京の家並みでは道から屋根その物が見えることはあまりないことに気付いた。お屋敷街では屋根は庭木に隠れて屋根全体は見えていないことが多い。3階建ての街並みではなおさらである。道から屋根の切妻の形状は見えることはあるが、外壁や窓は見えていても屋根の面が見えることは少ない。これは東京の特殊事情かもしれないが。

 子供の頃家の絵を描くと一軒家で屋根を描いたものだが、現実に屋根は空からしか見えず太陽に見せるために作るのかもしれない。インターネット時代はGoogle地図等で空から見た家の姿を見られるので21世紀の新たなニーズが生まれているのかもしれないと思う。

やっと3階から屋根を見たところ。

やっと3階から屋根を見たところ。


道から見えないスレート瓦。

道から見えないスレート瓦。

(続く)

  • 2018.03.19
  • 田中
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