大径材活用のための製材の新しいアイディア 「丸太の断面の形を丸から角へ」
1)はじめに
大径材の活用について新しい使い道を十年以上考えて来ましたが、私はその解答を得られずにいます。2018年10月宮崎県南部で宮崎県森連の素材市場や3か所の製材工場を見学した後に新しいアイディアが浮かんできました。実践していないため、その真価はわからないところです。信州里山.netの木材森林コラムに載せることで多くの方に考えていただけたら幸いと考えています。製材関係の方に話をしましたら、特に否定的な意見は出ませんでした。
2)アイディア
加工する木材の断面図の図1を見ていただきたい。
⓵樹皮を剥いだ後、例えば、末口径40cmの大径材を自動製材の製材機の大きさに合わせた30cm程度の厚さにシングルソーでカットします。(挽きます)
⓶次に大きい方の木材を⓵と同様にカットします。(挽きます)
結果、1本の大径材が、
従来の製材機で挽ける木材(図1の左上部分)1本、
断面の形が三日月型の材(図1の下部分)1本と、
三日月の少し切れた材(図1の右部分)1本
の計3つの部分に分けられます。それらを既存の自動の製材ラインへのせるという考えです。

図1 「丸太の断面の形を丸から角へ」のアイディア
3)作業工程
従来の一般材の製材システムの前に前工程を入れる考えです。近年効率化を図った製材工場が増えてきました。今回のアイディアをそのシステムに入れることを考えてみました。
前提としては、大径材でも使用可能な皮むき機、シングルソーの製材機、フォークリフト(挽いた後の運搬用)の3つが必要です。どれも使用できる製材工場が多いのではないでしょうか。その他場所の空間は必要です。
今回の案は、大径材を挽ける製材機の無い所でも大径材を挽く方法を考えています。
製材工場は規模が大きくなっています。1本ずつ丸太の形状をスキャンして自動で木取りを決め、ツインソーを使って効率的にカットし、挽いた材をベルトコンベヤーで流し、製品を種類別に集め、おが粉なども工場内に集めています。そのようなシステムに組み込むために次のようなフロー図を考えてみました。

図2 「丸太の断面の形を丸から角へ」のシステム案
4)製材工場にとってのメリット
新しいことにはメリットもデメリットもあります。また分業の進んでいる木材産業では、色々な立場があります。まず製材工場にとってのメリットを考えてみました。
丸太の素材市場や森林での木材を買い付ける場合の丸太の太さの制限がなくなります。過去扱えなかった太い材も自分の工場で扱う木材として購入を検討できます。素材市場には季節によって出材量の変動がありますが、対象とできる径級が多くなれば柔軟に購入を考えることができます。
また、今まで扱っていなかった樹種についても製材できる可能性が出てきます。
今まで扱っていなかった大径材の乾燥については乾燥スケジュール(乾燥方法に関わること)などを工夫する必要はあるでしょう。
このように考えてくると、今までは扱っていなかった樹種や大径材に関わる違いに対処する必要はあります。
「丸太の断面の形を丸から角へ」と挽くことにより、可能性が広がります。コストについては今後調査していきたいと考えています。
5)他のメリット
大径材活用が活発に行われるようになれば、丸太の素材市場にとって需要者が増え、木材の回転が順調になります。大径材の売れ残りについては各地でため息が聞こえていましたが、解消されるでしょう。
丸太を供給する森林経営者にとっては木材が売れることで励みになります。多少大きくなっても需要があれば安心して伐り出せます。大径材を買い渋られる現状は森林経営者のやる気をなくさせています。育てた木を大切に使ってくれることを心ある森林経営者は願っています。
一般消費者にとっては、地域の色々な木材が出て来て使えるようになります。また山の木が健全に管理されることによって間接的に地域の環境が良くなります。
6)「丸太の断面の形を丸から角へ」とインターネット
大径材が使えるようになれば新たな発見が予想されます。森林から伐り出される木材は地域により樹種により異なります。「スギ」と言っても日本全国色々な品種があります。「丸太の断面の形を丸から角へ」の試みは上手くいく地域とそうはいかない地域があると予想します。
今までの研究方法では、自分のアイディアを実行し、上手く行ったものを発表するという手順で進めました。インターネット時代(ICT時代)はアイディアを皆で共有し、知恵を出し合い良い物に改良していくことが可能です。そこで今回「丸太の断面の形を丸から角へ」のアイディアを掲載することにしました。丸太は丸い物という先入観が私の場合強かったように思います。
森林に関わる技術はローカル性が高いため地域によって評価が異なります。今後「ダメだった」という情報も含めて収集し報告していきます。それを信州里山.netで扱ってみたいと考えています。
- 2018.11.15
- 田中
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