信州里山.com

信州里山.net トップ > 里山便り

RSS FEED

都道府県別木材生産量について1

 前回は分類4と栽培きのこ類生産について紹介してきた。今回は木材生産について話を進める。

 MTANAKA方式都道府県別森林生産力分類2016とMTANAKA方式都道府県森林2017を以前に示したが、木材生産については1年間の木材生産量が50万㎥以上の県を分類1とした。2016年には分類1には12道県、2017年には13道県となった。そこでまず21世紀の日本の木材生産の現状を知るために、2016年の木材生産量について森林・林業統計要覧2018のデータを見てみよう。
(参考:林野庁:森林・林業統計要覧2018、農林水産省統計部「木材需給報告書」より)

[1] 2016年樹種別生産量(材積)
 2016年の全国の木材生産量は2,066万㎥である。統計データでは樹種として針葉樹のすぎ、ひのき、あかまつ・くろまつ、からまつ、えぞまつ・とどまつ、その他の針葉樹、そして広葉樹に分類されている。2016年の樹種別の材積量割合は図-9のようになっている。2015年のデータから割合での増減は1%程度であった。

図-9 2016年樹種別木材生産量の材積割合

図-9 2016年樹種別木材生産量の材積割合

 図-9のように1番目のすぎは1,185万㎥で全体の57%である。2番目はひのきの246万㎥で12%、3番目はからまつの231万㎥である。3つの樹種が80%近くを占めている。4番目は広葉樹で219万㎥の11%となっている。広葉樹は樹種別ではなく集計になっている。地域で樹種が異なっていると予想される。5番目はえぞまつ・とどまつ、6番目はあかまつ・くろまつである。

 次に、樹種別の観点から生産している都道府県を見てみる。

[2] 樹種毎の生産県
1) すぎ
 すぎは日本の木材生産の57%であることを紹介したが、その内15.7%は九州地方の宮崎県が生産している。宮崎県は1991年からすぎの素材生産(丸太生産)量日本1を26年間続けている。

 2位は秋田県で全国の9.5%、3位は大分県で7.0%、4位は熊本県で6.2%、5位は岩手県で5.6%を生産している。図-10は2016年すぎ都道府県別生産量の割合を示したものである。すぎは沖縄県を除いて、46都道府県で生産が行われている。

 図-11は地方別にすぎ生産量を図示したものである。九州地方は、1位の宮崎県、3位の大分県、4位の熊本県の3県を合計すると、28.9%のシェアであり、8位の鹿児島県他も含む九州の8県のシェアは35%である。

 東北地方は秋田県が2位で10%近いシェアであるが、5位の岩手県の5.6%の後、6位は青森県の4.9%、7位は福島県の4.3%、9位は宮城県の4.0%とすぎを生産している。13位の山形県を合わせた東北地方の6県で、全国の31%のすぎ材を生産している。2016年のすぎの生産は九州地方と東北地方が支えていると言える。

図-10 2016年すぎ都道府県別生産量ベスト19の割合

図-10 2016年すぎ都道府県別生産量ベスト19の割合

図-11 2016年すぎ生産量の地方別割合

図-11 2016年すぎ生産量の地方別割合

2) ひのき
 ひのき材は生産量ではすぎ材の約5分の1であるが、生産県についてもすぎと異なっている。ひのきの2016年の全国1位の生産県は岡山県で、全国の9.3%のシェアである。北は青森県から南は鹿児島県まで生産されている。

 1位の岡山県が22.9万㎥、2位は愛媛県の21.5万㎥(全国の8.7%)、3位は熊本県の19.2万㎥(同7.8%)、4位は高知県の18.0万㎥(同7.3%)、5位は静岡県の16.2万㎥(同6.6%)、6位岐阜県の13.9万㎥(同5.7%)、7位大分県13.4万㎥(同5.46%)で、7位までが全国シェア5%以上の県である。

 8位以降の2016年の順位は図-12のようになっている。ひのきはすぎと異なる割合になっていると言える。

図-12 2016年ひのき都道府県別生産量ベスト22の割合

図-12 2016年ひのき都道府県別生産量ベスト22の割合

図-13 2016年ひのき生産量の地方別割合

図-13 2016年ひのき生産量の地方別割合

 図-13はひのきの地方別生産量を図示したものである。主に北は関東地方から南は九州地方まで出材していることがわかる。ひのき材はすぎ材に比べて珍重されてきたことから、単価も高く適地には好んで植えられてきた歴史がある。近年ひのきの価格も下がり育てている森林地域では残念に思っている。

 森林の生産力を比較するにあたり、産出額を採用しなかったのは将来の木材価格の要素を除外したかったのである。消費者の考えを営業力で変えることができれば評価も変わってくるのである。

3)からまつ
 からまつは3番目に多く生産されている樹種である。寒さの厳しい高地や寒冷地に植えられてきた。図-14に示すように生産量は北海道が69%と多く、2番目は岩手県の12%、3番目が長野県の10%、その他が9%である。植林されたからまつが高齢になってきたことから活用されるようになってきている。

図-14 2016年からまつ生産量ベスト3の割合

図-14 2016年からまつ生産量ベスト3の割合

 からまつの生産のその他の県は、青森県、山梨県、群馬県、福島県、秋田県、岐阜県であった。

4)広葉樹
 広葉樹の生産量は全体では少ないが、全国で生産されている。図-15はその割合である。

 北海道が1番多く28%のシェアを占め、2番目は岩手県14%、秋田県、広島県、鹿児島県、福島県と続いている。多くの県は大量生産ではなく、必要に応じての生産になっている。

 20世紀半ばに薪炭材生産の盛んな時代があったが、今後栽培きのこ類生産のために広葉樹の用途が広がると期待される。

図-15 2016年広葉樹生産量ベスト6の割合

図-15 2016年広葉樹生産量ベスト6の割合

5) えぞまつ・とどまつ
 えぞまつ・とどまつの生産については北海道が100%である。そして1年の生産量は101万㎥と多い。

6) あかまつ・くろまつ
 あかまつ・くろまつの生産量は少ない。岩手県、青森県、長野県、宮城県、福島県等である。小さな産業としては考えられるが、マツクイムシのこともあり都道府県レベルの永続性は疑問である。他方、まつたけ生産は重要な産物であり、生産地ではまかまつ林を大切にしたいと考えている。

7) その他の針葉樹
 その他の針葉樹は量が少ない。山梨県、北海道、岩手県、大分県、長野県、石川県、愛知県、秋田県での生産量がある。希少価値のあるものは地域にとっては重要である。しかし都道府県レベルの産業を考える場合には対象として難しいと考えられる。

 樹種別の生産量を見ると、都道府県により事情が異なっていることが見えてくる。歴史、気候、地位、地理、技術、資源の蓄積など、色々な条件から現在の生産量が実現されている。現在の経営を維持し、将来の持続可能な経営となる産業作りを地域で発展させることを願いMTANAKA方式都道府県森林生産力分類を考案した。次は木材生産量全体について話を続ける。

  • 2020.03.10
  • 田中

上へ戻る

最近の記事

以前の記事