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都道府県別木材生産量について3~条件が同じ都道府県は存在しない~

1)木材生産に関する都道府県別森林生産力について
 木材の生産が為されていることは木材を活用し消費する方法が存在することであり、たとえば年間50万㎥以上の生産県では木材の流通加工のシステムが存在し機能していることを意味している。一朝一夕にして作ることはなかなか難しい。たとえ森林があり、技術があっても資本を投入するだけでは簡単に産業は作れず、企画書通りに行かないことは産業として良くあることである。人材の育成、協力体制作りなどいろいろ難しい問題がある。

2)分類1
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類では、木材生産の力の評価を50万㎥以上の道県を分類1とした。表-3に示したように、2016年は12道県が入るが、木材生産額は各県44億円以上になっている。ここでMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016(表-3)を再度見てみよう。

表-3 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

表-3 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

 これまで説明してきたように濃い緑色の分類1の道県は北海道、東北地方、九州地方そして四国地方に分布している。前回見たように、この12県が現在日本の木材生産をリードしていると考えることができる。また、12道県のうち8道県(北海道、岩手県、秋田県、福島県、宮城県、宮崎県、熊本県、大分県)は栽培きのこ類生産額が多く、多角的に森林を活用している。分類1をさらに分類して分類1-1と呼ぶ。

 これに対し、4県(青森県、愛媛県、高知県、鹿児島県)は木材生産に特化して森林を活用していると言える。これを分類1-2と呼ぶことにする。

3)条件が同じ都道府県は存在しない
 12道県は条件がいろいろ異なっている。自然条件は最も重要と考えられる。それだけでなく都市との距離、歴史、農業などの他産業との関係等様々な面での条件があり、筆者が全都道府県の森林について調べた経験から、類似している都道府県は無いのではないかと考えている。そのような中で、各都道府県では先人たちも含め地元の方々が今日の産業を地域で育ててきたのである。生産量や生産額で順位をつけることが多いが、自分の地域の森林の活用という意味では今日の条件の中で分類1の道県は立派に森林を活用していると言える。

 「森林にとって条件が同じ都道府県は存在しない」と述べたが、ある一面が似ていることはもちろんある。その面については成功事例を参考にすることは理にかなっている。しかし、全く同じ方法での計画を実行するのではなく、地元地域の長所を考慮しての計画案を作成し実行することが成功への道と考えられる。

 筆者の経験したことであるが、12道県の中には人口の多い大都市から遠方のため、木材生産を頑張るしか考えられないと言う方がいらしたが、日本の森林を支える産業を担っていることは評価できる。この12道県の木材生産の経営そして産業をこれからも着実に進めてもらうことが日本の森林にとって重要であると考えている。

 2017年には、栃木県の木材生産量が50万㎥以上になっている。関東地方の県が木材生産力を大きく伸ばしたと評価できる。

4)分類2の府県
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類2は1年間の木材生産が20万㎥以上50万㎥未満の県を分類した。表ー3の2番目に濃い緑色の県である。地域として新たな大規模の製材工場を支える余力があるかという観点からは現在のところ力不足と思われるが、他県と協力したり、特に隣県や分類1の県との協力によって力を伸ばす可能性は大きいと考えられる。2016年の分類2には14県が入っている。

 分類2を栽培きのこ類生産額でさらに分類し、栽培きのこ類生産の盛んな分類2-1とそれ以外の分類2-2に分けた。2016年の分類2-1は9県、分類2-2は5県となっている。分類2-1の9県は多角的に森林を活用している。5県は木材生産に特化していると言える。

 表-3を見ると、分類2は関東地方から四国地方の県が多くなっている。分類1の道県に比べ人口の多い首都圏や関西圏に近くなり、農業はじめ他産業が盛んなために森林はとり残されている可能性も考えられる。

 分類2-1の9県のうち特に長野県は林業産出額が最も多い県であることを既に紹介したが、栽培きのこ類生産が盛んな特徴のある県と言える。

 一方、2017年に和歌山県の木材生産が20万㎥以上になり、分類3から分類2-2へ変更になった。また福岡県が、木材生産量を増加して、分類4から分類2-1へと評価が変わり、2つの県はそれぞれ森林の活用度が上がったと評価できる。

5)分類3
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類3は栽培きのこ類生産が少なく、1年間の木材生産が10万㎥以上20万㎥未満の県を分類した。地域として小規模に木材生産を行っていると言える。中には品質の高い木材の生産を行っていることもある。地域としては重要であり発展させてほしいが、都道府県単位としては、生産力の評価は小さい。森林の環境としての役割に重点が置かれている可能性が高い。

 表-3のうす緑色の分類3には中部地方、近畿地方、中国地方の6府県が入っている。特に近畿地方の京都府と奈良県は観光地の景観や環境としての森林の役割が大きいと考えられる。MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016では分類3は8府県、同2017でも8府県と同数であるが、県が入れ替わっている。中部地方の福井県が分類5から分類3へと変わり、近畿地方の和歌山県が分類3から分類2-2へと評価が変わった。2県とも木材生産量が増加しての変更であった。

 これまで述べてきたように分類3の府県が短時間で急に木材生産量を増加させることは難しいと考えられる。もちろん中長期には可能性があるが、無理せず隣県の木材生産が盛んな県の木材流通システムに加わり産業を育てることが良い方法と考えられるがいかがであろうか。

 先に述べたように条件が同じ県は存在しないと考えて、独自の長所を生かした方法の模索が重要であり、成功例はその一例である。しかし、そのまま真似ても上手く行くことは少なく、指導する人がいなくなると熱意もさめてしまったと考えられる。
 
6)境界の生産量について
 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類の分類1から分類3について説明したが、その境界線の生産量は時代によって変わるものである。現在の大規模製材工場が増える時代を考えて、50万㎥に境界線を引いたが、時代が変われば求められる生産性が変化すると予想される。品質との関係も無視できないところである。

 2016年2017年について森林生産力の評価について話を進めてきたが、次回からは今後の森林とこの評価法の使い方や可能性について話を進めて行こうと考えている。

  • 2020.03.19
  • 田中

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