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MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016の考案のきっかけとその使い道

 2019年、森林経営管理制度や森林環境譲与税の法律の施行がせまり、日本の森林地域では思案し困っていることを見聞きしていた。もし自分が県の担当者であったら、あるいは仕事で直接関係していたら、他の業務も持ちながらの新しい仕事はたいへんと同情していた。それとは別に森林についてかねがね解りやすい指標の提示が大切と思っていた。筆者は、森林情報学を専門にしているが、現場では細かいことではなく、担当者がわかりやすく確信が持てる指標の提示の必要性を感じていた。

 森林資源を正確に調査した上での計画立案や実施が望ましいことは確かである。しかし森林地域の住民が少なくなり、半世紀前とは労働力も比べられないくらい少なくなっている。現在ICTを使ってお金をかければ森林の資源や微地形の測定を、地上調査と共に空からも技術的に可能になっている。ICTを活用できる良い時代が来ている。しかし、森林は年々成長し調査時から時間が経てば資源量は増加することが多い。ありがたいことだがデータは変化して精度は落ちてしまう。また、自然災害に見舞われることもある。現在の森林は適切な管理を20年以上放置したところも多く、適切な森林管理を急がねばならないところである。

 どこの地域に行っても森林に関する説明は頼もしい。しかし全国2,500万haもある森林を全てを知ることは難しい。研究で拝見している筆者は良い所ばかり見ていたと考えられるし、その比較など一研究者にできるわけはないと思っていた。

 国として林野庁は全国の森林に適用できることを提示するが、実際に運用するのは地元の方であり、今回は各都道府県の担当者をはじめ地元の方々の力を頼りにしている。自分の県の森林は全国と比べてどのような位置付けなのかおぼろげながらもイメージはある。しかし、実際どうなのだろうか。たとえば栽培きのこ類生産の生しいたけの生産はどうなのか、すぎの生産量はどうなのか、数字を答えることはできてもこれからいかにすべきか難しいと考えているのではないだろうか。そこで、試行錯誤の後、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016を考案した。この森林生産力の分類は、現在の「産業」の生産力を総合的に評価できると考えられる。

 各都道府県の特徴が見え、自分の位置づけが明確になれば、手の届く目標を作り、行動力を的確に目標に向けることができる。無駄な労力を払うことを回避できれば、成果につながると考えられる。明確になることでがっかりする人もあると考えられるが、現実を客観的に捉えることは大切である。そして、隣県の協力を得るアイディアが出てくることを期待している。

 分類1~5はおおまかに次のように考えたら良いであろう。

1)分類1:木材生産について十分に森林を活用しているので、さらに発展することを考える。産業の発展のために近隣の都道府県の状況を把握して協力し、一緒に目標を目指すことに森林生産力の分類を使える。栽培きのこ類生産についても同様である。

2)分類2:分類1の道県ほどの木材生産は短期間にはできないが、近隣県と協力して木材生産を発展させることを考えると良い。

3)分類3:森林の生産物の活用という点では評価は高くないが、現在の木材生産を基に他県と協力することが良いと考えられる。

4)分類4:木材生産は多くはないが、栽培きのこ類生産の盛んな県であり、十分に森林を活用している。日本の森林活用として重要な位置づけがある。木材生産については分類3と同様、隣県との協力が現実的である。

5)分類5:2017年のMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の分類5は7都府県であった。森林での生産に関わる産業としては他県へ譲り、環境としての機能発揮のための森林整備を主にすることにして、生産林としては他県と一緒に行うことで協力を求めるのが良いと考えられる。経営としては小さいサービスも重要ではある。また、消費者に近いことから、そのメリットを発揮することが望まれる。

 この半世紀、日本の道路事情は一変している。長大な重量物の木材をトラックなどで輸送することも現在は可能である。しかし、木材の長距離輸送はコストが嵩む。現在は隣県の工場や市場への移動は昔に比べ容易になっている。商品の量と質、そして商品の情報を加えることで、木材流通のシステムを考えてもらいたい。

 2016年のデータで作成したMTANAKA方式都道府県森林生産力分類であるが、既述のように2017年の生産量が順調に増加した県が多く、森林生産力の評価が変化している。各都道府県の特徴を考慮しての目標設定をするための拠り所にしてもらいたいと考えている。

 次回は森林面積と木材生産量について話を進める。

  • 2020.03.22
  • 田中

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