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各都道府県の森林生産力~改めて各県の森林生産力を見て行こう 2

中部地方の県別森林生産力

 表3-1は中部地方の9県の2017年の森林生産力に関する数字である。これはMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017を作成するために使っている。2016年についても同様に表を作成できるが、その内容については説明の中で触れていく。表3-1では、人工林面積、林業産出額、木材生産額、栽培きのこ類生産額、木材の素材生産量のそれぞれのデータと全国順位、そしてMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の分類を掲載している。表3-1の右の列のように、中部地方の9県の内、分類2-1が3県、分類3が4県、分類4が2県である。
表3-1 2017年中部地方の県別森林生産力データ

表3-1 2017年中部地方の県別森林生産力データ

表3-1 2017年中部地方の県別森林生産力データ

参考文献:林野庁:森林林業統計要覧2018、2019.

3-1-2 岐阜県
[1] 岐阜県の森林は大きい

 岐阜県の森林面積は大きい。全国5位の86.2万haである。森林率は全国2位の81.2%と高い。

 そして岐阜県の人工林面積は全国6位の38.5万haと多く、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国23位の44.6%である。造林が可能でない条件の標高の高い場所や寒冷地の割合が多いと予想される。長野県と比べると人工林率は4%程度高い。岐阜県の面積、森林面積、人工林面積のどれも長野県に比べて少し小さいが、絶対値としては森林面積そして人工林面積の大きい森林県である。

[2]岐阜県の林業産出額は木材生産の割合が大きい
 岐阜県の林業産出額は2016年2017年共全国15位であった。全国の約2%を占め、2016年は87億円、2017年は91億円であった。隣県の長野県との違いは、林業産出額に対し木材生産の占める割合が2016年65%、2017年63%と多い。

 栽培きのこ類生産は2016年2017年共全国19位の30億、31億円であった。中部地方には栽培きのこ類生産額が上位の長野県、新潟県、静岡県があるが、岐阜県と富山県(全国20位)も栽培きのこ類生産が盛んと言える。岐阜県の栽培きのこ類生産は生産額の多い隣県に比べると少ないが、地域の産業としては重要である。岐阜県は大消費地に近く、交通網の整備が進んでいる今日は、隣県に協力することでさらに発展の可能性は高いと言える。

 木材生産量については次に紹介するが、1年の生産量が50万㎥未満で、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016も同2017も分類2-1に入っている。

[3]岐阜県の木材生産
 岐阜県の木材生産の特徴はすぎとひのきの素材を主に生産している。木材生産の産出額は2016年56.5億円(全国12位)、2017年57.4億円(全国13位)で、木材生産量は2016年38.9万㎥(全国16位)、2017年41.8万㎥(全国16位)であった。産出額は長野県よりも大きいが、材積では長野県よりも小さくなっている。それは生産している樹種が異なることからと考えられる。ひのきの生産量は2016年13.9万㎥、2017年15.3万㎥であるが、2017年は全国6位で全国の5.6%を出材している。長野県はからまつが多いことと対照的である。

 2017年に岐阜県で生産された樹種別材積を紹介すると、すぎ22.4万㎥、既述のひのき15.3万㎥、からまつ1.6万㎥、広葉樹1.2万㎥、その他1.3万㎥であり、ひのきが多いことは特徴であるが、県内ではすぎの生産量の方が多くなっている。

 人工林面積は全国6位と広いが、2017年の人工林面積当たりの生産量は1.09㎥/haである。これは既述のように材積成長量との関係を見ることができる。岐阜県のこの数字は、全国平均0.85㎥/haよりは大きいが、まだ十分に余力のある状態と言える。森林資源調査を行い、それに基づく計画を立てたいところである。岐阜県の気候からは計画的に森林経営を行えば、更なる発展が望めると考えられる。しかし現状では人材その他の要素が他の産業に行っていると言える。

 岐阜県の強みとして岐阜県立森林文化アガデミーが有名である。森林をフィールドとする専門学校で人材を育てるしっかりした教育機関となっている。人材育成と共に、ICT技術活用の研究も盛んに行われている。岐阜県各地には篤林家である指導林家が大勢いることから、協力を得ての研究も盛んである。さらに森林組合はじめ多くの組織が活発に活動している。

 人工林が多いことは林業の歴史が長く、先人の努力の賜物である。すぎ、ひのきを中心に今後も地域の方が中心になって有効活用することが地域の森林の活用つながると考えられる。

 年間の素材生産量が50万㎥未満で分類2となったが、現在は広い県内外に道路網が開設されたことから、隣県との協力も可能となっている。人材その他の条件を大きく増やすことは現状では難しいが、分類2の長野県、静岡県や他県と協力することで、さらに発展し分類1-1になる可能性がある。

  • 2020.06.21
  • 田中

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