信州里山.net

信州里山.net トップ > 木材森林コラム

里山便り

RSS FEED

今なぜ森林生産力を考えるのか

 森林地域と50年近く研究を通して関わってきたが、つくづく難しいと感じている。2019年は年号が令和となり、国内の森林関係では森林経営管理制度がスタートし、森林環境税や森林環境譲与税が開始されることになった。今回は、県の方に県の範囲の推進が求められている。
 各都道府県の担当者はその重要な担い手として自分の所では何を優先させたら良いのかと考えをめぐらしていると予想される。過去には流域単位での思考が進められた時期が続いたが状況が変化してきた。そこで筆者は県の方々の仕事の一助になるよう話を進め参考にしてもらいたいと考えている。
 冒頭に書いたように森林の問題は難しい。自然相手にオールマイティの方法など求めることは難しく、地域に合わせた地域の方々の尽力が必要と考えられる。1980年以降は森林にとって厳しい時代であったにもかかわらず各地での努力は行われてきた。それは残念なことに実っていない地域が多い。
 改革は国としての立場での考えである。地域によっては標準的ではない異なる方法がより良いことはある。そのようなことも考慮して今回の改革は地域の方法の推進を望んでいると考えられる。
 「地域の人が、地域の将来のために、地域の計画を立て、地域の人が協力し合って実行していくこと」の大切さを私は考えている。改めて各都道府県の地域の力を把握し、強みと弱みについて明示していきたい。どうぞお付き合いください。

  • 2020.01.17
  • 田中

3 現在の木材生産力の意味

 21世紀になっても木材価格は森林地域の期待通りには上がっていない状態である。日本では1980年を最高に下がった状態が続いている。2017年の林業産出額については既述の通りである。木材生産以外の栽培きのこ類生産、林野副産物採取、薪炭生産も森林の活用では大切であるが、ここでは木材生産に着目して話を進めていく。
 金額の話は重要である。しかし木材生産を考える場合、生産物の材積について考える必要がある。それは何十年も育てた後の木材価格は変わるからである。商品としての価値観の変化はこの50年の変化を見ても納得できるだろう。そこには営業の効果の影響があるが、ひとまず置いておく。
 また全国の森林の条件の違いから、出荷している木材の樹種は地域によって異なるため、ここでは材積の量を主に話を進める。

3-1 生産力は流通の力
 木材生産について林業産出額があるということは、産業として木材生産の生産力があると評価できる。森林をフィールドに生産物を育成・生産、収穫・採取、流通、加工して、消費者に届けて購入し使ってもらう道筋ができていると言える。また、産業にはヒト、モノ、カネ、情報が必要であるが、少なめに考えても現時点で最低限のものは揃っているから生産が継続できていると言える。時代と共に条件は変化し、消費行動も変わるが、現状では整っていると考えられる。
 林業産出額の統計に掲載されている木材生産以外の栽培きのこ類生産、林野副産物採取、薪炭生産についても、それぞれ生産、加工、流通、販売、消費の道筋が存在している。

3-2 道路網の整備
 この半世紀の間に森林を取り巻く経済的な環境の変化は大きい。まず、道路事情が変化している。道路網が開設改良されてきた。高速道路による物流は日本の全国そして都市の生活を支えている。大型物品である木材も大型のトラックで流通可能である。また、森林内では林道、作業道など多様な規格の道路の開設が進み機械を使った作業を行ったり生産物を運び出したりが可能になり、現地の条件は以前に比べ整ってきている。森林地域では何十年もコストダウンを目指し努力してきた。木材の輸送を河川の流送で行っていたのは約半世紀昔の話である。道路網の整備は機械化やICTの整備などの変化の一例である。

3-3 木材生産は森林の蓄積の一部の活用
 木材の生産量を素材生産量と呼ぶが、2018年森林・林業統計要覧によれば、2016年の日本国内の素材生産量は2,066万㎥である。
 現在日本の森林の木材蓄積量は多くなったが、これを全部木材として活用できるわけではない。その理由は様々である。木材価格が低い現状では伐出コストがそれよりかかる所での木材搬出は経営的に赤字になるため得策ではない。また、伐採跡地に植林して森林を育成できなければこれも問題である。これは再造林放棄地として問題になっている。森林資源は保続可能であり、それは計画的に伐って活用して、植えて育てる循環を行うことで継続して経営することが可能ということである。全てを収穫してしまうだけでは産業として継続できないため、森林経営には保続の原則がある。そして、その費用が出せる収入が必要である。経営として収支計算が成り立たねば継続できないのは他の産業と同じである。

3-4 産業としての規模
 既述のように、現在出材されている素材生産量は少なくとも地域の生産力を表していると考えることができる。地域としてはある程度の規模が欲しいところであるが、高品質の少量生産の産業ももちろんある訳である。
 2018年には10万㎥の年間素材消費量を上回る大規模国産製材工場が20工場を超えたとされている。今後も規模拡大が予想されている。これに対応するためには、地域の年間素材生産量は少なくとも10万㎥の規模で考えることが重要である。少量高品質の生産と一般材の生産と分けて考えることになるが、都道府県単位では一般材の産業を考えていくのがまず先決と考えられる。上記の大規模製材工場では合わせて200万㎥以上の国産材が必要になっている。先に述べたように大規模工場の増加が予想されている。
(山林誌2019年7月No.1622武田八郎氏「統計データからみた今日の国産材生産」p.12~20を参考にした。)

3-5 地方別の素材生産量
 図―2は2016年の素材生産量を地方別に集計した図である。これについて見て行こう。

2016年の地方別素材生産量の分布

図ー2 2016年地方別素材生産量

1)北海道
 北海道は素材生産量が1位の330.7万㎥である。これは全国の16%であり、北海道は立派な木材生産県と言える。北海道の面積は全国の21%、森林面積も全国の22%、人工林面積は全国の15%とかなりの面積を持ち、木材を生産している。大消費地から遠方であるからこそ、長年の経営努力の結果と見ることができる。樹種はすぎが少なく、からまつ、えぞまつ、とどまつ、広葉樹などである。生産される木材の樹種は他県と異なっている。木材生産については実力を伴う生産力があり、今後も継続されることが期待できる。

2)九州地方
 九州地方には既に紹介した全国2位の素材生産量の宮崎県がある。198.2万㎥は全国の9.6%である。その内、96%はすぎであり、すぎの生産量は平成3年から25年連続の全国1位である。生産された200万㎥近い木材は、地域の大規模製材工場に供給することで流通を支え、また近隣諸国への輸出をしている。宮崎県は北海道に次ぐ木材の生産県であり、日本を代表するすぎの木材生産をしている。
 九州地方では、素材生産量の全国5位の大分県、6位の熊本県、9位の鹿児島県が続いている。生産量は2016年の資料では、大分県97.3万㎥、熊本県95.6万㎥、鹿児島県67.1万㎥である。供給量から、現在は大規模製材工場を支える規模と考えられる。
 九州各県はそれぞれ森林の使い方が異なっている。栽培きのこ生産の盛んな県として、全国4位の福岡県、同7位の大分県、同8位の長崎県、同9位の宮崎県があり、森林を有効活用している。
 素材生産量の話に戻すと、九州地方の素材生産量は合計498万㎥で、全国の24%にあたり、北海道よりも多い。樹種はすぎが多く、ひのき、あかまつ・くろまつ、広葉樹である。すぎは全国シェア34.8%、ひのきは同22.9%である。
 素材生産量から考えると宮崎県が木材産業を牽引している。また、大分県、熊本県も生産量は半分であるが、十分に産業を作っていると考えられる。鹿児島県も少し規模は小さいが地域の他産業との関連を考慮して木材の流通を考えていける規模である。
 他方、福岡県、佐賀県、長崎県は素材生産量が少なく、10万㎥~20万㎥の間であり、県内だけで大規模の製材工場を維持していくことはかなりの難しさがある。隣県に着実に活動してる製材工場があり、これらと協力することで素材生産を盛り立てていく役割を担うのが良いではないかと考えられる。木材の移動が難しくコストが嵩んでいた時代にはできなかったことが、道路網の充実により協力関係の構築が容易になってきている。時代の変化を利用することで活路を見いだせるのではないだろうか。

3)東北地方
 東北地方の素材生産量は多い。全国3位の岩手県、同4位の秋田県、同7位の青森県、同8位の福島県、同10位の宮城県と続き、山形県は全国17位である。岩手県は147万㎥、秋田県は129万㎥、青森県は80万㎥、福島県は71万㎥、宮城県は59万㎥と続き、山形県は38万㎥である。大規模製材工場を支える生産力がある。東北地方の各県は県土面積が大きく、道路網が整備されているが大径木の移動にはコストが嵩むため、できるだけ移動は少なくしたいものである。
 東北地方の素材生産量の合計は523万㎥であり、全国の25%を生産している。これは九州地方の合計値よりも多い。樹種はすぎが多く、あかまつ・くろまつ、からまつ、広葉樹である。すぎは全国シェア30.9%、あかまつ・くろまつの全国シェアは64.6%と半分以上、広葉樹は同30.9%である。
 また栽培きのこ類の生産は青森県を除いて多く、森林を多角的に活用していると見ることができる。各県の森林と他産業との関係が異なり、それぞれの特徴を生かして経営していくことが重要であると考えられる。

 北海道、九州地方、東北地方を合わせると図ー2のように国内のシェアの65%と3分の2近くなっている。日本の現在の木材生産力はこの3地方が担い、推進していることがわかる。
 3分の1の木材生産はその他の地方から出材されていることは、今後変化する可能性は高い。樹種についてひのきの話はあまり出てこなかったが、その他の地域から主に出てきている。それも含めて今後考えていく。

  • 2020.01.13
  • 田中

森林生産力のある都道府県はどこか~5つの分類~No.2

 前回紹介した2016年の「MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016」を掲載する。前回の内容を見やすいように地方別に記述している。

MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

表-3 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

 2020年となる次回からは、この表の意義を考えていく。

  • 2019.12.29
  • 田中

森林生産力のある都道府県はどこか~5つの分類~No.1

 我が国は森林率の高い「森林国」である。それ故に、47都道府県はどこも緑豊かで森林が多いと大多数の国民は思っている。日本列島の大部分が温帯湿潤気候にあることから、放っておいても何百年すると緑に覆われる気候に恵まれていることは事実である。

 21世紀の現在、森林生産力という観点から47都道府県を5つに分類した。もしも大々的な投資を行うなどの経済環境の変化や、地球の気候などの環境が激変すれば生産力は変わると考えられるが、近い将来の短期の木材やきのこ類の生産動向を予想する経営者や市町村などの現場の地域産業を考える立場では参考になるだろう。独自の県の範囲で頑張るのか、近県と協力するのかなどの選択の時に役立つと考えられる。森林地域は面積が広いことが生産力につながるが、それは距離と相反するものである。消費地との距離にもかかわっている。

 既述のように2016年の林業産出額は全国レベルでは木材生産と栽培きのこ類生産が多い。そこで、各都道府県の1年間の実績を使って、木材生産については生産量の材積から、そして栽培きのこ類生産については産出額で分類した。分類の理由については後で記述ことにする。

 5分類は次のように行った。参考のために2016年の木材生産量は全国で2,066万㎥である。

分類1)木材生産が盛んで生産量が多く、1年に50万㎥以上生産している。12道県が入る。
 北海道地方の北海道、九州地方の宮崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、東北地方の岩手県、秋田県、青森県、福島県、宮城県、四国地方の愛媛県、高知県の4地方12道県である。

分類2)木材生産量が分類1の県程多くないが、木材生産が盛んな県で、1年に20万㎥から50万㎥未満生産している5地方の14県である。
 東北地方の山形県、関東地方の栃木県、茨城県、群馬県、中部地方の長野県、岐阜県、静岡県、近畿地方の兵庫県、三重県、中国地方の島根県、岡山県、広島県、鳥取県、四国地方の徳島県である。

分類3)木材生産を行っているが、1年に10万㎥以上20万㎥未満と分類1,2に比べると少ない。また、栽培きのこ類生産についても20億円未満と少なく、2つの観点からは森林の活用度合は低いと言える。
 4地方の8府県がある。中部地方の山梨県、石川県、愛知県、近畿地方の和歌山県、京都府、奈良県、中国地方の山口県、そして九州地方の佐賀県である。これらの府県では森林関係の産業より他の産業が盛んと言える。

分類4)木材生産を行っているが、1年に20万㎥未満と分類1,2に比べると少ないが、栽培きのこ類生産は20億円以上の県を分類した。森林の活用という観点から考えると、木材生産こそ少ないが、栽培きのこ類生産の場としての活用を行っている。
 中部地方の新潟県、四国地方の香川県、九州地方の福岡県と長崎県がこれに分類される。特に香川県は木材生産量が10万㎥未満と少ない。

分類5)木材生産量は分類3の県よりも少ない1年に10万㎥未満で、栽培きのこ類生産も20億円未満の都府県を分類した。森林を生産の場としてよりも生活や観光産業の場の提供などの活用や、他産業の環境としての役割が大きくなっていると言える。
 分類5には、4地方の9都府県がある。関東地方の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、中部地方の富山県、福井県、近畿地方の大阪府、滋賀県、九州地方の沖縄県が入る。

 分類1と分類2についても、栽培きのこ類生産額によってサブ分類を行った。その集計結果は表-2のようになった。

表ー2

表ー2 「MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016」の集計

 分類については、「MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016」と名付けた。これが当たっていない場合があるかもしれないが、2016年の時点の統計資料を基にしている。なお、名前を付けたのは、責任の所在を明確にしたいためである。
 次回は、その内容を掲載する。

  • 2019.12.28
  • 田中

信州の「からまつ」とくらし展に行きました。

 2019年11月28日、長野県山形村のアイシティ21で行われた、「信州の『からまつ』とくらし展」を見学に行きました。

 長野県はカラマツの産地です。長野県の標高の高い所では寒冷でも育つカラマツを長年植林してきました。長野県の「針葉樹家具開発研究会」の主催でした。信州里山.net委員会も協力しています。

 カラマツの風景写真や、テーブル・イスをはじめとするカラマツの家具、ドアなどの造作の展示があり、見学者の興味を誘っていました。26団体の出展がありました。

信州のからまつとくらし展

信州のからまつとくらし展


北海林産のコーナーにて

北海林産のコーナーにて

 北海林産株式会社もそのひとつでした。カラマツの木材としての良さのお話をお聞きできました。信州のカラマツは木材としての品質が良く魅力があるとのことです。力をいただきました。

 カラマツで作成した額をいただきました。額の木目も美しいですが、ガラスの中のつき板の木目模様はきれいで気に入りました。

カラマツの額

カラマツの額

信州里山.net委員会のコーナーでは紅葉のカラマツの苗木を見ることができました。珍しいですね。

紅葉しているカラマツの苗木

紅葉しているカラマツの苗木

全体のアンケートでいただいたコースターや購入したペン立てもカラマツの良さを見せてくれています。

カラマツのコースターとペン立て

カラマツのコースターとペン立て

12月2日(月曜日)までで終わりましたが、来年も開催する予定とのことで、期待しています。

  • 2019.12.05
  • 田中

森林の活用において長野県はすごい!

【1】はじめに
森林の活用において長野県はすごい!ということを書いていこうと考えている。信州に通うようになって十数年が経ち改めてその力を認識した。

2019年は日本の森林に関わる法律が変わり、都道府県の力が発揮できる仕組みができたと同時に裏を返せば地元の力が試される時を迎えている。そこで、各都道府県の力を個人的に比較検討していた。そして、冒頭の「森林の活用において長野県はすごい!」とのひとつの結果を見出した。長野県の他には、北海道、岩手県、新潟県、宮崎県を挙げて話を進める。

【2】森林の活用
森林は人々の生活に様々な効用を与えてくれている。個人的に生産、観光、環境に分けてそれを捉えてきた。森林の効用は単独ではなく、地域に多様な効用をもたらし、人々は恩恵を受けている。今回は生産の部分に着目するが、観光には森林等の景色を欠かすことはできない。また国民の生活や活動の場の環境を支える面での森林の効用は人々が意識するしないに関わらず大きいものである。

今日の森林は、多くの人々の住む都市部から遠い存在になっている。しかし森林から生産される木材をはじめ、きのこや山菜そして炭など今日でも色々な物品や資源が生産され提供されている。

政府が提供している統計データとして、農林水産省は「平成29年林業産出額」の確報を平成31年4月26日に提示している。これを使って論を進める。このデータは木材生産、薪炭生産、栽培きのこ類生産及び林野副産物採取の4部門を推計して求めている。
URL: www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/ringyou_sansyutu/index.html#r

このデータは、各都道府県の森林についての報告でも引用されているが、今一度その意味について話を進める。2017年全国の合計は4,518億円、その内木材生産は2,231億円、栽培きのこ類生産は2,207億円、その他と図-1のようになっている。

2017年全国部門別林業産出額

図-1 2017年全国部門別林業産出額

林業産出額の4つの内訳のうち、は木材生産と栽培きのこ類生産は全国の総計値が同レベルであるのに対し、他の2つは少ない。木材生産は森林の生産物の収穫であり、栽培きのこ類生産は森林の有効活用であると考えられる。薪炭生産、林野副産物採取については、県によっては重要な産物である。

そこで、林業産出額が多いベスト5の道県について、部門別林業産出額の林業生産と栽培きのこ類生産について見て行こう。

【3】ベスト5の道県についての表
表―1は既述のデータについてベスト5の道県と全国総計についての表である。項目として、林業産出額、部門別の木材生産と栽培きのこ類生産について、生産額(単位:1,000万円)と全国での順位と全国総計に対する割合を示している。また都道府県毎に林業産出額の内容が異なるため、木材生産と栽培きのこ類生産の林業産出額に対する割合も示し、道県の生産品目の在り方も示している。

表ー1 2017年都道府県別林業産出額ベスト5

表ー1 2017年都道府県別林業産出額ベスト5

【4】ベスト5の道県~長野県、北海道、新潟県、宮崎県、岩手県
ベスト5の道県について紹介していこう。それぞれ特徴がある。

1)1位は長野県
2017年の林業産出額の第1位は590.4億円の長野県である。全国の13%と1割以上の林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国15位の47.4億円で全国の2%であるが、栽培きのこ類生産は全国1位の538.5億円で、全国の24%を占めている。木材生産は少ないのに対し栽培きのこ類生産が多いことがわかる。森林の活用という観点からは、最も有効活用している県と言える。その他、山岳の観光産業等他産業も盛んである。

2)2位は北海道
2017年の林業産出額の第2位は476.5億円の北海道である。全国の11%と1割以上の林業産出額を占めている。1位の長野県と合わせると24%である。部門別の項目を見ると、木材生産は全国1位の354.0億円で全国の16%であり、栽培きのこ類生産についても全国3位の112.2億円で、全国の5%を占めている。木材生産も栽培きのこ類生産も両方とも盛んであり、森林の活用という観点からは、理想的に有効活用していると言える。

3)3位は新潟県
2017年の林業産出額の第3位は414.3億円の新潟県である。全国の9%と1割近い林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国36位の11.1億円と少ない。他方、栽培きのこ類生産は全国2位の401.8億円で、全国の18%を占めている。1位の長野県と合わせると栽培きのこ類生産の43%である。木材生産は少ないが、森林の活用という観点からは、地域の特徴を生かし有効活用していると言える。

4)4位は宮崎県
2017年の林業産出額の第4位は282.4億円の宮崎県である。全国の6%の林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国2位の226.7億円で、全国の10%を占めている。スギの生産全国1位である。栽培きのこ類生産は全国9位の53.0億円で全国の2%である。木材生産も栽培きのこ類生産も行って、森林の活用という観点からは、理想的な有効活用をしている県と言える。

5)5位は岩手県
2017年の林業産出額の第5位は197.3億円の岩手県である。全国の4%の林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国3位の147.1億円で全国の7%である。栽培きのこ類生産は全国14位の41.4億円で、全国の2%を占めている。森林の活用という観点からは、有効活用していると言える。

【5】都道府県の分類へ
このベスト5の道県の林業産出額に占める部門別の林業産出額の傾向を見ると、それぞれ特徴がある。1位の長野県と3位の新潟県は隣県であり、栽培きのこ類生産に重点を置いている。2位の北海道は栽培きのこ類生産も盛んであるが木材生産が多い。4位の宮崎県は木材生産額の林業産出額に占める割合がこの5道県の中では最も多い。5位の岩手県は北海道に近い構成になっている。各道県はそれぞれの特徴を活かして生産を行っている。

このように各都道府県は自分の特徴を把握してそれぞれの良い所を活かした産業を推進していくことが重要である。林業産出額6位以下は大分県、秋田県、熊本県と続いている。

次に、現時点での各都道府県の森林生産力の分類を行っていこうと考えている。

  • 2019.11.16
  • 田中

木の建築賞への応募と第2審査会参加の報告。

 信州里山.net委員会は、2019年7月「第15回木の建築賞」に「作品」ではなく「活動」として応募し、第一次選考を通過、第二次選考のための発表会に参加しました。残念ですが、第三次選考に進むことはできませんでした。第二次選考会のことを簡単に報告します。

 木材活用も含めた信州の森林地域のために信州里山.net委員会はボランティア活動していますが、木材の活用と木の建築は同じ目的に向かっています。そこで、
「「私、施主になりました!」は信州里山.netの活動から生まれました。」
との題で、応募しました。

 第15回は関東・甲信・静岡地区の作品が集まり、2019年11月2日静岡県の株式会社佐野製材様の製材工場内で、第一次審査を通過した19のプレゼンテーションが行われました。午前10時から午後6時までの長い1日でした。発表は公共交通機関の駅、会社の社屋、町の施設、学校や保育園、礼拝堂、そして個人住宅等の作品や活動のお話でした。

 建築家や大工の方々と審査員が木造にこだわる建築について熱く語り圧倒されました。地域木材が活用される建物が増えることを願いながら聞いていました。

 審査者から、いかに木造建築が選ばれたかという質問がしばしば出ていましたが、会社上層部の志向が大きい場合が多く、また建築家のご提案と努力が実ったものもあったとのことです。

 私たちの活動では、個人宅の施主のための教育に触れましたが、もう一つの活動の静岡県の方のご発表での建築家や大工の教育の話に大多数の参加の方々の興味が集まり、総括討論会での話題の中心になっていました。

 木の建築物の可能性に広さを見ることができました。木の美しさ、懐かしさ、自然との調和など、改めて発信していきたいと思います。

 今回は初めてのことでどのように動いて良いのかわかりませんでした。木の建築賞という新しい分野に挑戦し、興味を持つことができました。他方とても疲れました。個人的にはもう若くないと悟りました。施主の教育についてもみなさまと話がしたかったと後悔しています。

 仲間を代表して参加しましたが、結果が伴わず残念でした。これからも地道にみんなで考え、情報発信し、文集をまとめていこうと改めて思いました。みなさまどうぞよろしくお願いします。そして、木の建築に関わる方々のご活躍を願ってレポートを終わります。

 なお、木の建築賞の内容については、そちらのwwwをご覧ください。
 

木の建築賞第二次選考会風景

木の建築賞第二次選考会風景

  • 2019.11.04
  • 田中

信州花フェスタ2019へ行きました。

 2019年6月13日、信州里山委員会では「信州花フェスタ2019」を見学しました。
 メイン会場の松本平広域広場(信州スカイパーク)は、たくさんの花壇があり、自治体の出展など趣向を凝らした展示を楽しみました。
 作成はたいへんだったと思いますが、ほぼ2ヶ月の水やりなどどうしていたのかしらと感心してしまいます。
 やまびこドームでは大きなサボテンがゴロゴロという感じで並んでいました。よく見ると、普段見られない花盛りです。
 長野県の人々の植物を育てる能力の高さを感じます。「いわさきちひろ」の世界も素敵でした。
 入梅後でしたが、広々とした会場で気持ちの良い天気に恵まれ感謝しました。16日の終了は惜しいですね。

大きなサボテンがゴロゴロと。

大きなサボテンがゴロゴロと。

 
サボテンの花1。

サボテンの花1。


サボテンの花2。

サボテンの花2。


広々とした涼しげな会場。

広々とした涼しげな会場。

  • 2019.06.14
  • 田中

大径材活用のための製材の新しいアイディア 「丸太の断面の形を丸から角へ」

1)はじめに
 大径材の活用について新しい使い道を十年以上考えて来ましたが、私はその解答を得られずにいます。2018年10月宮崎県南部で宮崎県森連の素材市場や3か所の製材工場を見学した後に新しいアイディアが浮かんできました。実践していないため、その真価はわからないところです。信州里山.netの木材森林コラムに載せることで多くの方に考えていただけたら幸いと考えています。製材関係の方に話をしましたら、特に否定的な意見は出ませんでした。

2)アイディア
 加工する木材の断面図の図1を見ていただきたい。
⓵樹皮を剥いだ後、例えば、末口径40cmの大径材を自動製材の製材機の大きさに合わせた30cm程度の厚さにシングルソーでカットします。(挽きます)
⓶次に大きい方の木材を⓵と同様にカットします。(挽きます)
 結果、1本の大径材が、
従来の製材機で挽ける木材(図1の左上部分)1本、
断面の形が三日月型の材(図1の下部分)1本と、
三日月の少し切れた材(図1の右部分)1本
の計3つの部分に分けられます。それらを既存の自動の製材ラインへのせるという考えです。

図1 「丸太の断面の形を丸から角へ」のアイディア

図1 「丸太の断面の形を丸から角へ」のアイディア

3)作業工程
 従来の一般材の製材システムの前に前工程を入れる考えです。近年効率化を図った製材工場が増えてきました。今回のアイディアをそのシステムに入れることを考えてみました。
 前提としては、大径材でも使用可能な皮むき機、シングルソーの製材機、フォークリフト(挽いた後の運搬用)の3つが必要です。どれも使用できる製材工場が多いのではないでしょうか。その他場所の空間は必要です。
 今回の案は、大径材を挽ける製材機の無い所でも大径材を挽く方法を考えています。
 製材工場は規模が大きくなっています。1本ずつ丸太の形状をスキャンして自動で木取りを決め、ツインソーを使って効率的にカットし、挽いた材をベルトコンベヤーで流し、製品を種類別に集め、おが粉なども工場内に集めています。そのようなシステムに組み込むために次のようなフロー図を考えてみました。

図2 「丸太の断面の形を丸から角へ」のシステム案

図2 「丸太の断面の形を丸から角へ」のシステム案

4)製材工場にとってのメリット
 新しいことにはメリットもデメリットもあります。また分業の進んでいる木材産業では、色々な立場があります。まず製材工場にとってのメリットを考えてみました。
 丸太の素材市場や森林での木材を買い付ける場合の丸太の太さの制限がなくなります。過去扱えなかった太い材も自分の工場で扱う木材として購入を検討できます。素材市場には季節によって出材量の変動がありますが、対象とできる径級が多くなれば柔軟に購入を考えることができます。
 また、今まで扱っていなかった樹種についても製材できる可能性が出てきます。
 今まで扱っていなかった大径材の乾燥については乾燥スケジュール(乾燥方法に関わること)などを工夫する必要はあるでしょう。
 このように考えてくると、今までは扱っていなかった樹種や大径材に関わる違いに対処する必要はあります。
 「丸太の断面の形を丸から角へ」と挽くことにより、可能性が広がります。コストについては今後調査していきたいと考えています。

5)他のメリット
 大径材活用が活発に行われるようになれば、丸太の素材市場にとって需要者が増え、木材の回転が順調になります。大径材の売れ残りについては各地でため息が聞こえていましたが、解消されるでしょう。
 丸太を供給する森林経営者にとっては木材が売れることで励みになります。多少大きくなっても需要があれば安心して伐り出せます。大径材を買い渋られる現状は森林経営者のやる気をなくさせています。育てた木を大切に使ってくれることを心ある森林経営者は願っています。
 一般消費者にとっては、地域の色々な木材が出て来て使えるようになります。また山の木が健全に管理されることによって間接的に地域の環境が良くなります。

6)「丸太の断面の形を丸から角へ」とインターネット
 大径材が使えるようになれば新たな発見が予想されます。森林から伐り出される木材は地域により樹種により異なります。「スギ」と言っても日本全国色々な品種があります。「丸太の断面の形を丸から角へ」の試みは上手くいく地域とそうはいかない地域があると予想します。
 今までの研究方法では、自分のアイディアを実行し、上手く行ったものを発表するという手順で進めました。インターネット時代(ICT時代)はアイディアを皆で共有し、知恵を出し合い良い物に改良していくことが可能です。そこで今回「丸太の断面の形を丸から角へ」のアイディアを掲載することにしました。丸太は丸い物という先入観が私の場合強かったように思います。
 森林に関わる技術はローカル性が高いため地域によって評価が異なります。今後「ダメだった」という情報も含めて収集し報告していきます。それを信州里山.netで扱ってみたいと考えています。

  • 2018.11.15
  • 田中

信州はそろそろ紅葉の季節です。

 2018年10月12日朝8時松本市内のホテルから野麦峠を自動車で目指しました。そろそろ紅葉が始まるとのことで、信州里山.net委員会の機会に行きました。
 あいにく小雨の残る中の出発で、峠では霧の中での見学でした。写真は上手く撮れませんでしたが、長野県と岐阜県の県境にあるお助け小屋は開いていました。霧の中は久しぶりの寒さで早々に車の中に退散しました。写真1,2は峠近くで撮影しました。

写真1 霧の中で紅葉は始まっていた

写真1 霧の中で紅葉は始まっていた


写真2 途中の展望台で停車して見学

写真2 途中の展望台で停車して見学

 峠近くの「野麦峠ぶなの森」に寄りました。20年ほど前にカラマツ林の下にブナの苗を植林し、ブナ林を育てる活動を続けているそうです。全国から協力者が手入れの活動に参加しているとのことです。今は高木のカラマツの下にブナが元気に育ち、見事な二段林になっています。二段林は複層林とも言われます。百年後に残るブナ林にしていくとのこと、成長が楽しみです。

写真3 野麦峠ぶなの森の看板

写真3 野麦峠ぶなの森の看板


写真4 カラマツの下にブナが元気に育っている

写真4 カラマツの下にブナが元気に育っている

 これから信州は紅葉の季節になり多くの方が楽しまれることでしょう。

 松本市奈川地区では秋の新そばまつりが開催されていました。時間が早かったため食べられなかったのはとても心残りです。今回はあきらめましたが、次回はきっと食べようと心に決めて帰途につきました。

  • 2018.10.13
  • 田中
1 2 3 4 7