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2017年の都道府県別森林生産力と2016年からの変更点

2019年秋、2017年のデータが発表になり、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017を作成した。1年の違いであることから、境となる値は同じにしている。

結果は表-4のようになった。それを集計すると表-5になった。

表ー4 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017

表ー4 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017


 

表ー5 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の集計

表ー5 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の集計

 変化したところを見てみると5県である。5県全て、生産量や生産額が増加して分類の評価が変わっている。北の方から紹介する。

1)関東地方の栃木県は、分類2-1から分類1-1へと変わった。それは、木材生産量が、49.2万㎥から、60.2万㎥へと22%増加している。

2)中部地方の福井県が、分類5から分類3へと変わった。木材生産量が、8.8万㎥から10.4万㎥へと18%増加している。

3)中部地方の富山県が、分類5から分類4へと変わっている。これは栽培きのこ類生産額が18.6億円から28.4億円に53%増加している。

4)近畿地方の和歌山県は、分類3から分類2へと変わった。木材生産量が、17.3万㎥から24.0万㎥へと39%増加している。

5)福岡県は、分類4から分類2-1へと変わっている。木材生産量が17.6万㎥から26.5万㎥へと51%増加している。

各県の森林の有効活用が進んでいることを示していると言える。

  • 2020.02.19
  • 田中

人工林と人工林面積の意義

日本は森林率が高い森林国

 日本は森林国である。国土面積の67%が森林である。温帯の森林が育つ環境に恵まれている。日本の47都道府県には森林が多いが、各都道府県の面積が様々なように森林面積も同様で、森林面積が最大の北海道は最小の香川県の42倍弱であり、簡単に比較できない。

 全国的に見ると、日本の国土面積は約3,730万ha、その67%が森林として分類され、森林面積は約2,505万ha、その森林面積の内の人工林面積は約1,020万haである。森林率と同じようによく人工林率と言われるが、それは人工林面積の森林面積に対する割合で、全国を対象にすると現在40.7%である。

人工林は歴史の結実

 日本は傾斜のある土地が多く、平地を利用して田畑として利用してきた。残った所が森林になってきたが、20世紀後半ブルドーザなどの機械により、傾斜の緩な土地も整地して利用可能になった。そして半世紀が経過し、利用できなかった所が現在も森林として残っている。また、山の高い所まで開墾し、田畑として使われた後、今では森林に戻っている所もある。

図ー3 日本の国土の割合

図ー3 日本の国土の割合

 日本全体を見ると、図-3のように、国土の33%は森林以外の用途に使われている。昔の農地は都市になり、工場用地になり、そして農業その他に利用されている土地である。その残りが森林である。先の森林率は森林面積を国土面積(県の面積)で除した値で、これは比較可能である。

 全国の森林率は先の67.16%であるが、都道府県別の値を見ると、最高の高知県は83.76%、最低の大阪府は30.03%であり、高い程森林の割合が多いことはわかる。各都道府県には色々な条件があり、一律に森林になっているわけではないのである。

 森林には天然林と人工林の区分がある。人が人為的に植林して育てた森林を人工林と言い、天然林あるいは天然生林は自然の力で成林した森林と言える。農業が産業の中心であった時代には、里山から柴や有機肥料などの材料を得ていた。科学肥料が出てくるまでは、農村は里山と密接な生活をしていた。また余力がある時に将来の出費や木材の必要時のために植林してきた。さらに規模を拡大した吉野林業のように育林業が発展した地域も多い。その歴史の長い地域では造林が進み人工林が増加している。人工林面積は短期間で高めることはできない数字と言える。図-3のように全国的に見ると、国土の27%が人工林になっている。この率は、先の人工林率とは異なるので注意が必要である。

人工林は先人の努力の賜物

 現在の人工林はどのようにして作られてきたのか。挙げてみよう。全国各地同じではない話である。

1)森林は大切な農業の資源を与えてくれる所であり、吉野林業のように先進的な地域では苗木を植え、人工林を増やし、育林業として木を育ててきた。その技術は日本全国に伝えられ見習った地域も多い。

2)農業のために植林を行った地域もある。地域で共同利用する入会林の中には伝統的に手入れを実施してきた所もある。

3)各地で、木を伐採した後、跡地が再生するようにと苗を植えた所もあると聞く。

4)商売で成功した資金を元手に山林を購入し、造林を積極的に行った山林家も各地に存在し、篤林家、指導林家として技術を地域に伝えている。

5)第2次世界大戦後、はげ山に植林したという話が各地で聴かれる。

6)戦後の復旧のために、人工林も天然林も含めて木材を伐り出して木材を活用し、その跡地に造林をしてきた。天然林の森林を伐り、造林を行うと、結果的に拡大造林になる。

7)日本では様々な樹種がある中、スギが北は北海道南部から南は九州屋久島まで自生している。多様な樹種がある中で、木材として扱い易かったことから、スギが好んで植えられてきた。また、スギよりヒノキの方が珍重されて高値で売れることから、ヒノキの適地にはヒノキが植えられた。寒さの厳しい地域や高地ではカラマツ、海岸ではアカマツ・クロマツなど針葉樹が好んで植えられた。針葉樹は真っすぐに成長し、日本の軸組工法の用途には適していたと考えられる。

8)広葉樹は薪炭林として長く活用されてきたが、電気、ガス、石油等の家庭での活用が始まり、下火になっている。雑木林として残っている所が多い。

9)その他、竹林も農業などの資材やタケノコ生産のために植えられ活用されていた。西日本に多いが、放置された竹林が拡大して問題になっている。

 人工林は将来の可能性を求めて、いろいろな経緯があっての人工林である。傾斜の急な山岳林の日本の森林では、先人たちは多くのエネルギーを投下して、拡大造林を行ってきた。その努力の結晶が現在の人工林と言える。この半世紀、拡大造林が進み、造林の可能性のある場所は大体し尽くされたのではないかと考えられる。あちこちで、よくぞここまで植えたな~と思う急傾斜地の成林した人工林を見て感動する人も多い。

 他方、高度経済成長期には、他用途に使える可能性のある土地の森林は既に転用されたとも考えられる。今ある人工林の立木は先人たちの試行錯誤の努力の結晶と大切にしたいが、現在は木材価格が低いため、長伐期化の理由をつけて伐り控え、計画した伐期を過ぎて山の中に残されている人工林は多い。

人工林以外の森林

 森林から人工林を除いたその他の森林は全国的に見て図-3の国土の40%である。多くは天然林である。人里離れた奥山や標高の高い森林は無理して植林できない等の理由でそのまま残されている。また、標高の高い所の人工林では、生育状況が悪い所が各地で見られる。

目的によって対象の森林を限定して考えよう

 森林は考える目的により対象を限定して計画した方が成功すると考えられる。森林に関する計画その他は森林面積を基に考えることが多かった。しかし、これまで述べてきたように人工林面積が森林地域の産業の発展を考える場合重要ではないかとの考えに至った。森林が多い地域はもちろん人工林も多い。半世紀前の木材価格の高かった時代は、期待を込めて森林全体を先人たちは扱っていたと考えられる。しかし21世紀の現在は木材やその他の生産に活用できる森林は各地の現在の人工林と見て良いと考えるのである。

 他方、都市も含めた地域の住民に対する環境としての森林は、広い意味での森林の効用である。また観光地では、森林の景観が重要であり、こちらも広い意味での森林が対象になる。

 人工林は人間が植えたからには立木の密度管理など人間の森林作業が必要であるが、天然林は治山等の管理を必要とするが、人工林に比べると必要とする森林作業は少ないと言える。これは一般的に言われていることで異なる場合ももちろんある。

 適地適木、方法については色々な意見があるが、地域に住む地元の方が成功、失敗も含めていろいろと知識が豊富である。地元の経験を大切に産業を推進するのが賢明である。そして、現在の人工林は現在も将来も森林生産力の基盤と考えられる。

全国の人工林の分布

 全国各都道府県の人工林面積は、1位が北海道の約148万haである。2位は岩手県が49万haで、20位までが20万ha以上である。さらに23位までが19万ha以上であった。

 地方別の人工林の分布を見ると、図-4のように北海道が全国の15%、東北地方が19%、中部地方が18%、九州地方が14%と続き、ここまでの4つの地方で66%を占めている。人工林には有用な樹種の木材が蓄積されていると考えられる。また適切な管理が行われれば今後も成長していくと期待できる。

図ー4 人工林の分布

図ー4 人工林の分布

林野庁の考え

 国(林野庁)は現在の約1,000万haの人工林の内、660万haの人工林を育成単層林の経済林としたいと考えているようであるが、これは全体でのお話である。人工林の残りは育成複層林としている。

 2019年森林環境税と森林環境贈与税が施行されるため、森林の管理を進めることができる可能性がある。地域の人が地域の条件に合わせて地域のために地域の計画を作り実行してもらいたいと願うところである。
(参考:林野庁:森林・林業。木材産業の現状と課題、平成29年2月)

森林を人工林とそれ以外に分けて考えると地域産業を考えやすい

 そこで、森林と人工林の話に戻るが、森林のあるところは、(約2500万haの日本の森林は)全てが木材生産を行える森林ではないのである。標高の高い地域の森林があり、国立公園や国定公園であったり、観光地であったり、水源林であったり、保護林であったりと様々な用途に使われているところがある。森林の機能は単一ではない。しかし、観光地は観光地の森林の管理方法があっても良いように、目的とするものが地域によって違い、森林に期待する機能が異なって良いのである。

 先の人工林の話では、現在の人工林は地域の先人たちの知恵の表れであり、これを考慮することは大切であると考えられる。

 さて、森林面積で地域を捉えると、経済林として不利な条件の面積まで含まれることになる。そこで、人工林面積を地域の数字として捉えることを考えたい。森林面積ではなく、人工林面積を基に各都道府県の経済活動を見て行くことにする。

 先に2016年の木材生産量を地方別に集計したが、北海道、九州地方、東北地方の生産量が全国の65%であるが、その地域の人工林面積は全国の47%である。長野県、岐阜県の位置する中部地方は陣国の人工林の18%を占め、これからの木材生産が期待されると考えられる。

  • 2020.01.31
  • 田中

今なぜ森林生産力を考えるのか

 森林地域と50年近く研究を通して関わってきたが、つくづく難しいと感じている。2019年は年号が令和となり、国内の森林関係では森林経営管理制度がスタートし、森林環境税や森林環境譲与税が開始されることになった。今回は、県の方に県の範囲の推進が求められている。
 各都道府県の担当者はその重要な担い手として自分の所では何を優先させたら良いのかと考えをめぐらしていると予想される。過去には流域単位での思考が進められた時期が続いたが状況が変化してきた。そこで筆者は県の方々の仕事の一助になるよう話を進め参考にしてもらいたいと考えている。
 冒頭に書いたように森林の問題は難しい。自然相手にオールマイティの方法など求めることは難しく、地域に合わせた地域の方々の尽力が必要と考えられる。1980年以降は森林にとって厳しい時代であったにもかかわらず各地での努力は行われてきた。それは残念なことに実っていない地域が多い。
 改革は国としての立場での考えである。地域によっては標準的ではない異なる方法がより良いことはある。そのようなことも考慮して今回の改革は地域の方法の推進を望んでいると考えられる。
 「地域の人が、地域の将来のために、地域の計画を立て、地域の人が協力し合って実行していくこと」の大切さを私は考えている。改めて各都道府県の地域の力を把握し、強みと弱みについて明示していきたい。どうぞお付き合いください。

  • 2020.01.17
  • 田中

3 現在の木材生産力の意味

 21世紀になっても木材価格は森林地域の期待通りには上がっていない状態である。日本では1980年を最高に下がった状態が続いている。2017年の林業産出額については既述の通りである。木材生産以外の栽培きのこ類生産、林野副産物採取、薪炭生産も森林の活用では大切であるが、ここでは木材生産に着目して話を進めていく。
 金額の話は重要である。しかし木材生産を考える場合、生産物の材積について考える必要がある。それは何十年も育てた後の木材価格は変わるからである。商品としての価値観の変化はこの50年の変化を見ても納得できるだろう。そこには営業の効果の影響があるが、ひとまず置いておく。
 また全国の森林の条件の違いから、出荷している木材の樹種は地域によって異なるため、ここでは材積の量を主に話を進める。

3-1 生産力は流通の力
 木材生産について林業産出額があるということは、産業として木材生産の生産力があると評価できる。森林をフィールドに生産物を育成・生産、収穫・採取、流通、加工して、消費者に届けて購入し使ってもらう道筋ができていると言える。また、産業にはヒト、モノ、カネ、情報が必要であるが、少なめに考えても現時点で最低限のものは揃っているから生産が継続できていると言える。時代と共に条件は変化し、消費行動も変わるが、現状では整っていると考えられる。
 林業産出額の統計に掲載されている木材生産以外の栽培きのこ類生産、林野副産物採取、薪炭生産についても、それぞれ生産、加工、流通、販売、消費の道筋が存在している。

3-2 道路網の整備
 この半世紀の間に森林を取り巻く経済的な環境の変化は大きい。まず、道路事情が変化している。道路網が開設改良されてきた。高速道路による物流は日本の全国そして都市の生活を支えている。大型物品である木材も大型のトラックで流通可能である。また、森林内では林道、作業道など多様な規格の道路の開設が進み機械を使った作業を行ったり生産物を運び出したりが可能になり、現地の条件は以前に比べ整ってきている。森林地域では何十年もコストダウンを目指し努力してきた。木材の輸送を河川の流送で行っていたのは約半世紀昔の話である。道路網の整備は機械化やICTの整備などの変化の一例である。

3-3 木材生産は森林の蓄積の一部の活用
 木材の生産量を素材生産量と呼ぶが、2018年森林・林業統計要覧によれば、2016年の日本国内の素材生産量は2,066万㎥である。
 現在日本の森林の木材蓄積量は多くなったが、これを全部木材として活用できるわけではない。その理由は様々である。木材価格が低い現状では伐出コストがそれよりかかる所での木材搬出は経営的に赤字になるため得策ではない。また、伐採跡地に植林して森林を育成できなければこれも問題である。これは再造林放棄地として問題になっている。森林資源は保続可能であり、それは計画的に伐って活用して、植えて育てる循環を行うことで継続して経営することが可能ということである。全てを収穫してしまうだけでは産業として継続できないため、森林経営には保続の原則がある。そして、その費用が出せる収入が必要である。経営として収支計算が成り立たねば継続できないのは他の産業と同じである。

3-4 産業としての規模
 既述のように、現在出材されている素材生産量は少なくとも地域の生産力を表していると考えることができる。地域としてはある程度の規模が欲しいところであるが、高品質の少量生産の産業ももちろんある訳である。
 2018年には10万㎥の年間素材消費量を上回る大規模国産製材工場が20工場を超えたとされている。今後も規模拡大が予想されている。これに対応するためには、地域の年間素材生産量は少なくとも10万㎥の規模で考えることが重要である。少量高品質の生産と一般材の生産と分けて考えることになるが、都道府県単位では一般材の産業を考えていくのがまず先決と考えられる。上記の大規模製材工場では合わせて200万㎥以上の国産材が必要になっている。先に述べたように大規模工場の増加が予想されている。
(山林誌2019年7月No.1622武田八郎氏「統計データからみた今日の国産材生産」p.12~20を参考にした。)

3-5 地方別の素材生産量
 図―2は2016年の素材生産量を地方別に集計した図である。これについて見て行こう。

2016年の地方別素材生産量の分布

図ー2 2016年地方別素材生産量

1)北海道
 北海道は素材生産量が1位の330.7万㎥である。これは全国の16%であり、北海道は立派な木材生産県と言える。北海道の面積は全国の21%、森林面積も全国の22%、人工林面積は全国の15%とかなりの面積を持ち、木材を生産している。大消費地から遠方であるからこそ、長年の経営努力の結果と見ることができる。樹種はすぎが少なく、からまつ、えぞまつ、とどまつ、広葉樹などである。生産される木材の樹種は他県と異なっている。木材生産については実力を伴う生産力があり、今後も継続されることが期待できる。

2)九州地方
 九州地方には既に紹介した全国2位の素材生産量の宮崎県がある。198.2万㎥は全国の9.6%である。その内、96%はすぎであり、すぎの生産量は平成3年から25年連続の全国1位である。生産された200万㎥近い木材は、地域の大規模製材工場に供給することで流通を支え、また近隣諸国への輸出をしている。宮崎県は北海道に次ぐ木材の生産県であり、日本を代表するすぎの木材生産をしている。
 九州地方では、素材生産量の全国5位の大分県、6位の熊本県、9位の鹿児島県が続いている。生産量は2016年の資料では、大分県97.3万㎥、熊本県95.6万㎥、鹿児島県67.1万㎥である。供給量から、現在は大規模製材工場を支える規模と考えられる。
 九州各県はそれぞれ森林の使い方が異なっている。栽培きのこ生産の盛んな県として、全国4位の福岡県、同7位の大分県、同8位の長崎県、同9位の宮崎県があり、森林を有効活用している。
 素材生産量の話に戻すと、九州地方の素材生産量は合計498万㎥で、全国の24%にあたり、北海道よりも多い。樹種はすぎが多く、ひのき、あかまつ・くろまつ、広葉樹である。すぎは全国シェア34.8%、ひのきは同22.9%である。
 素材生産量から考えると宮崎県が木材産業を牽引している。また、大分県、熊本県も生産量は半分であるが、十分に産業を作っていると考えられる。鹿児島県も少し規模は小さいが地域の他産業との関連を考慮して木材の流通を考えていける規模である。
 他方、福岡県、佐賀県、長崎県は素材生産量が少なく、10万㎥~20万㎥の間であり、県内だけで大規模の製材工場を維持していくことはかなりの難しさがある。隣県に着実に活動してる製材工場があり、これらと協力することで素材生産を盛り立てていく役割を担うのが良いではないかと考えられる。木材の移動が難しくコストが嵩んでいた時代にはできなかったことが、道路網の充実により協力関係の構築が容易になってきている。時代の変化を利用することで活路を見いだせるのではないだろうか。

3)東北地方
 東北地方の素材生産量は多い。全国3位の岩手県、同4位の秋田県、同7位の青森県、同8位の福島県、同10位の宮城県と続き、山形県は全国17位である。岩手県は147万㎥、秋田県は129万㎥、青森県は80万㎥、福島県は71万㎥、宮城県は59万㎥と続き、山形県は38万㎥である。大規模製材工場を支える生産力がある。東北地方の各県は県土面積が大きく、道路網が整備されているが大径木の移動にはコストが嵩むため、できるだけ移動は少なくしたいものである。
 東北地方の素材生産量の合計は523万㎥であり、全国の25%を生産している。これは九州地方の合計値よりも多い。樹種はすぎが多く、あかまつ・くろまつ、からまつ、広葉樹である。すぎは全国シェア30.9%、あかまつ・くろまつの全国シェアは64.6%と半分以上、広葉樹は同30.9%である。
 また栽培きのこ類の生産は青森県を除いて多く、森林を多角的に活用していると見ることができる。各県の森林と他産業との関係が異なり、それぞれの特徴を生かして経営していくことが重要であると考えられる。

 北海道、九州地方、東北地方を合わせると図ー2のように国内のシェアの65%と3分の2近くなっている。日本の現在の木材生産力はこの3地方が担い、推進していることがわかる。
 3分の1の木材生産はその他の地方から出材されていることは、今後変化する可能性は高い。樹種についてひのきの話はあまり出てこなかったが、その他の地域から主に出てきている。それも含めて今後考えていく。

  • 2020.01.13
  • 田中

森林生産力のある都道府県はどこか~5つの分類~No.2

 前回紹介した2016年の「MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016」を掲載する。前回の内容を見やすいように地方別に記述している。

MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

表-3 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016

 2020年となる次回からは、この表の意義を考えていく。

  • 2019.12.29
  • 田中

森林生産力のある都道府県はどこか~5つの分類~No.1

 我が国は森林率の高い「森林国」である。それ故に、47都道府県はどこも緑豊かで森林が多いと大多数の国民は思っている。日本列島の大部分が温帯湿潤気候にあることから、放っておいても何百年すると緑に覆われる気候に恵まれていることは事実である。

 21世紀の現在、森林生産力という観点から47都道府県を5つに分類した。もしも大々的な投資を行うなどの経済環境の変化や、地球の気候などの環境が激変すれば生産力は変わると考えられるが、近い将来の短期の木材やきのこ類の生産動向を予想する経営者や市町村などの現場の地域産業を考える立場では参考になるだろう。独自の県の範囲で頑張るのか、近県と協力するのかなどの選択の時に役立つと考えられる。森林地域は面積が広いことが生産力につながるが、それは距離と相反するものである。消費地との距離にもかかわっている。

 既述のように2016年の林業産出額は全国レベルでは木材生産と栽培きのこ類生産が多い。そこで、各都道府県の1年間の実績を使って、木材生産については生産量の材積から、そして栽培きのこ類生産については産出額で分類した。分類の理由については後で記述ことにする。

 5分類は次のように行った。参考のために2016年の木材生産量は全国で2,066万㎥である。

分類1)木材生産が盛んで生産量が多く、1年に50万㎥以上生産している。12道県が入る。
 北海道地方の北海道、九州地方の宮崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、東北地方の岩手県、秋田県、青森県、福島県、宮城県、四国地方の愛媛県、高知県の4地方12道県である。

分類2)木材生産量が分類1の県程多くないが、木材生産が盛んな県で、1年に20万㎥から50万㎥未満生産している5地方の14県である。
 東北地方の山形県、関東地方の栃木県、茨城県、群馬県、中部地方の長野県、岐阜県、静岡県、近畿地方の兵庫県、三重県、中国地方の島根県、岡山県、広島県、鳥取県、四国地方の徳島県である。

分類3)木材生産を行っているが、1年に10万㎥以上20万㎥未満と分類1,2に比べると少ない。また、栽培きのこ類生産についても20億円未満と少なく、2つの観点からは森林の活用度合は低いと言える。
 4地方の8府県がある。中部地方の山梨県、石川県、愛知県、近畿地方の和歌山県、京都府、奈良県、中国地方の山口県、そして九州地方の佐賀県である。これらの府県では森林関係の産業より他の産業が盛んと言える。

分類4)木材生産を行っているが、1年に20万㎥未満と分類1,2に比べると少ないが、栽培きのこ類生産は20億円以上の県を分類した。森林の活用という観点から考えると、木材生産こそ少ないが、栽培きのこ類生産の場としての活用を行っている。
 中部地方の新潟県、四国地方の香川県、九州地方の福岡県と長崎県がこれに分類される。特に香川県は木材生産量が10万㎥未満と少ない。

分類5)木材生産量は分類3の県よりも少ない1年に10万㎥未満で、栽培きのこ類生産も20億円未満の都府県を分類した。森林を生産の場としてよりも生活や観光産業の場の提供などの活用や、他産業の環境としての役割が大きくなっていると言える。
 分類5には、4地方の9都府県がある。関東地方の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、中部地方の富山県、福井県、近畿地方の大阪府、滋賀県、九州地方の沖縄県が入る。

 分類1と分類2についても、栽培きのこ類生産額によってサブ分類を行った。その集計結果は表-2のようになった。

表ー2

表ー2 「MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016」の集計

 分類については、「MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016」と名付けた。これが当たっていない場合があるかもしれないが、2016年の時点の統計資料を基にしている。なお、名前を付けたのは、責任の所在を明確にしたいためである。
 次回は、その内容を掲載する。

  • 2019.12.28
  • 田中

信州の「からまつ」とくらし展に行きました。

 2019年11月28日、長野県山形村のアイシティ21で行われた、「信州の『からまつ』とくらし展」を見学に行きました。

 長野県はカラマツの産地です。長野県の標高の高い所では寒冷でも育つカラマツを長年植林してきました。長野県の「針葉樹家具開発研究会」の主催でした。信州里山.net委員会も協力しています。

 カラマツの風景写真や、テーブル・イスをはじめとするカラマツの家具、ドアなどの造作の展示があり、見学者の興味を誘っていました。26団体の出展がありました。

信州のからまつとくらし展

信州のからまつとくらし展


北海林産のコーナーにて

北海林産のコーナーにて

 北海林産株式会社もそのひとつでした。カラマツの木材としての良さのお話をお聞きできました。信州のカラマツは木材としての品質が良く魅力があるとのことです。力をいただきました。

 カラマツで作成した額をいただきました。額の木目も美しいですが、ガラスの中のつき板の木目模様はきれいで気に入りました。

カラマツの額

カラマツの額

信州里山.net委員会のコーナーでは紅葉のカラマツの苗木を見ることができました。珍しいですね。

紅葉しているカラマツの苗木

紅葉しているカラマツの苗木

全体のアンケートでいただいたコースターや購入したペン立てもカラマツの良さを見せてくれています。

カラマツのコースターとペン立て

カラマツのコースターとペン立て

12月2日(月曜日)までで終わりましたが、来年も開催する予定とのことで、期待しています。

  • 2019.12.05
  • 田中

森林の活用において長野県はすごい!

【1】はじめに
森林の活用において長野県はすごい!ということを書いていこうと考えている。信州に通うようになって十数年が経ち改めてその力を認識した。

2019年は日本の森林に関わる法律が変わり、都道府県の力が発揮できる仕組みができたと同時に裏を返せば地元の力が試される時を迎えている。そこで、各都道府県の力を個人的に比較検討していた。そして、冒頭の「森林の活用において長野県はすごい!」とのひとつの結果を見出した。長野県の他には、北海道、岩手県、新潟県、宮崎県を挙げて話を進める。

【2】森林の活用
森林は人々の生活に様々な効用を与えてくれている。個人的に生産、観光、環境に分けてそれを捉えてきた。森林の効用は単独ではなく、地域に多様な効用をもたらし、人々は恩恵を受けている。今回は生産の部分に着目するが、観光には森林等の景色を欠かすことはできない。また国民の生活や活動の場の環境を支える面での森林の効用は人々が意識するしないに関わらず大きいものである。

今日の森林は、多くの人々の住む都市部から遠い存在になっている。しかし森林から生産される木材をはじめ、きのこや山菜そして炭など今日でも色々な物品や資源が生産され提供されている。

政府が提供している統計データとして、農林水産省は「平成29年林業産出額」の確報を平成31年4月26日に提示している。これを使って論を進める。このデータは木材生産、薪炭生産、栽培きのこ類生産及び林野副産物採取の4部門を推計して求めている。
URL: www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/ringyou_sansyutu/index.html#r

このデータは、各都道府県の森林についての報告でも引用されているが、今一度その意味について話を進める。2017年全国の合計は4,518億円、その内木材生産は2,231億円、栽培きのこ類生産は2,207億円、その他と図-1のようになっている。

2017年全国部門別林業産出額

図-1 2017年全国部門別林業産出額

林業産出額の4つの内訳のうち、は木材生産と栽培きのこ類生産は全国の総計値が同レベルであるのに対し、他の2つは少ない。木材生産は森林の生産物の収穫であり、栽培きのこ類生産は森林の有効活用であると考えられる。薪炭生産、林野副産物採取については、県によっては重要な産物である。

そこで、林業産出額が多いベスト5の道県について、部門別林業産出額の林業生産と栽培きのこ類生産について見て行こう。

【3】ベスト5の道県についての表
表―1は既述のデータについてベスト5の道県と全国総計についての表である。項目として、林業産出額、部門別の木材生産と栽培きのこ類生産について、生産額(単位:1,000万円)と全国での順位と全国総計に対する割合を示している。また都道府県毎に林業産出額の内容が異なるため、木材生産と栽培きのこ類生産の林業産出額に対する割合も示し、道県の生産品目の在り方も示している。

表ー1 2017年都道府県別林業産出額ベスト5

表ー1 2017年都道府県別林業産出額ベスト5

【4】ベスト5の道県~長野県、北海道、新潟県、宮崎県、岩手県
ベスト5の道県について紹介していこう。それぞれ特徴がある。

1)1位は長野県
2017年の林業産出額の第1位は590.4億円の長野県である。全国の13%と1割以上の林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国15位の47.4億円で全国の2%であるが、栽培きのこ類生産は全国1位の538.5億円で、全国の24%を占めている。木材生産は少ないのに対し栽培きのこ類生産が多いことがわかる。森林の活用という観点からは、最も有効活用している県と言える。その他、山岳の観光産業等他産業も盛んである。

2)2位は北海道
2017年の林業産出額の第2位は476.5億円の北海道である。全国の11%と1割以上の林業産出額を占めている。1位の長野県と合わせると24%である。部門別の項目を見ると、木材生産は全国1位の354.0億円で全国の16%であり、栽培きのこ類生産についても全国3位の112.2億円で、全国の5%を占めている。木材生産も栽培きのこ類生産も両方とも盛んであり、森林の活用という観点からは、理想的に有効活用していると言える。

3)3位は新潟県
2017年の林業産出額の第3位は414.3億円の新潟県である。全国の9%と1割近い林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国36位の11.1億円と少ない。他方、栽培きのこ類生産は全国2位の401.8億円で、全国の18%を占めている。1位の長野県と合わせると栽培きのこ類生産の43%である。木材生産は少ないが、森林の活用という観点からは、地域の特徴を生かし有効活用していると言える。

4)4位は宮崎県
2017年の林業産出額の第4位は282.4億円の宮崎県である。全国の6%の林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国2位の226.7億円で、全国の10%を占めている。スギの生産全国1位である。栽培きのこ類生産は全国9位の53.0億円で全国の2%である。木材生産も栽培きのこ類生産も行って、森林の活用という観点からは、理想的な有効活用をしている県と言える。

5)5位は岩手県
2017年の林業産出額の第5位は197.3億円の岩手県である。全国の4%の林業産出額を占めている。部門別の項目を見ると、木材生産は全国3位の147.1億円で全国の7%である。栽培きのこ類生産は全国14位の41.4億円で、全国の2%を占めている。森林の活用という観点からは、有効活用していると言える。

【5】都道府県の分類へ
このベスト5の道県の林業産出額に占める部門別の林業産出額の傾向を見ると、それぞれ特徴がある。1位の長野県と3位の新潟県は隣県であり、栽培きのこ類生産に重点を置いている。2位の北海道は栽培きのこ類生産も盛んであるが木材生産が多い。4位の宮崎県は木材生産額の林業産出額に占める割合がこの5道県の中では最も多い。5位の岩手県は北海道に近い構成になっている。各道県はそれぞれの特徴を活かして生産を行っている。

このように各都道府県は自分の特徴を把握してそれぞれの良い所を活かした産業を推進していくことが重要である。林業産出額6位以下は大分県、秋田県、熊本県と続いている。

次に、現時点での各都道府県の森林生産力の分類を行っていこうと考えている。

  • 2019.11.16
  • 田中

木の建築賞への応募と第2審査会参加の報告。

 信州里山.net委員会は、2019年7月「第15回木の建築賞」に「作品」ではなく「活動」として応募し、第一次選考を通過、第二次選考のための発表会に参加しました。残念ですが、第三次選考に進むことはできませんでした。第二次選考会のことを簡単に報告します。

 木材活用も含めた信州の森林地域のために信州里山.net委員会はボランティア活動していますが、木材の活用と木の建築は同じ目的に向かっています。そこで、
「「私、施主になりました!」は信州里山.netの活動から生まれました。」
との題で、応募しました。

 第15回は関東・甲信・静岡地区の作品が集まり、2019年11月2日静岡県の株式会社佐野製材様の製材工場内で、第一次審査を通過した19のプレゼンテーションが行われました。午前10時から午後6時までの長い1日でした。発表は公共交通機関の駅、会社の社屋、町の施設、学校や保育園、礼拝堂、そして個人住宅等の作品や活動のお話でした。

 建築家や大工の方々と審査員が木造にこだわる建築について熱く語り圧倒されました。地域木材が活用される建物が増えることを願いながら聞いていました。

 審査者から、いかに木造建築が選ばれたかという質問がしばしば出ていましたが、会社上層部の志向が大きい場合が多く、また建築家のご提案と努力が実ったものもあったとのことです。

 私たちの活動では、個人宅の施主のための教育に触れましたが、もう一つの活動の静岡県の方のご発表での建築家や大工の教育の話に大多数の参加の方々の興味が集まり、総括討論会での話題の中心になっていました。

 木の建築物の可能性に広さを見ることができました。木の美しさ、懐かしさ、自然との調和など、改めて発信していきたいと思います。

 今回は初めてのことでどのように動いて良いのかわかりませんでした。木の建築賞という新しい分野に挑戦し、興味を持つことができました。他方とても疲れました。個人的にはもう若くないと悟りました。施主の教育についてもみなさまと話がしたかったと後悔しています。

 仲間を代表して参加しましたが、結果が伴わず残念でした。これからも地道にみんなで考え、情報発信し、文集をまとめていこうと改めて思いました。みなさまどうぞよろしくお願いします。そして、木の建築に関わる方々のご活躍を願ってレポートを終わります。

 なお、木の建築賞の内容については、そちらのwwwをご覧ください。
 

木の建築賞第二次選考会風景

木の建築賞第二次選考会風景

  • 2019.11.04
  • 田中

信州花フェスタ2019へ行きました。

 2019年6月13日、信州里山委員会では「信州花フェスタ2019」を見学しました。
 メイン会場の松本平広域広場(信州スカイパーク)は、たくさんの花壇があり、自治体の出展など趣向を凝らした展示を楽しみました。
 作成はたいへんだったと思いますが、ほぼ2ヶ月の水やりなどどうしていたのかしらと感心してしまいます。
 やまびこドームでは大きなサボテンがゴロゴロという感じで並んでいました。よく見ると、普段見られない花盛りです。
 長野県の人々の植物を育てる能力の高さを感じます。「いわさきちひろ」の世界も素敵でした。
 入梅後でしたが、広々とした会場で気持ちの良い天気に恵まれ感謝しました。16日の終了は惜しいですね。

大きなサボテンがゴロゴロと。

大きなサボテンがゴロゴロと。

 
サボテンの花1。

サボテンの花1。


サボテンの花2。

サボテンの花2。


広々とした涼しげな会場。

広々とした涼しげな会場。

  • 2019.06.14
  • 田中
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