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四国地方各県の森林生産力を見て行こう35

3-5-3 徳島県

[1] 徳島県の森林
 徳島県の森林面積は全国29位の31.5万haであるが、森林率は全国9位の75.9%と高い森林県である。そして徳島県の人工林面積は全国23位の19.0万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国10位の60.2%と高い。

 徳島県は美林あり、篤林家あり、というのが筆者の印象である。

[2]徳島県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 徳島県の林業産出額は2016年108.6億円(全国11位)、2017年111.3億円(全国11位)であった。全国の2.3%、2.5%である。

 また徳島県の栽培きのこ類生産額は2016年82.2億円(全国5位)、2017年81.1億円(全国5位)である。徳島県の生しいたけ生産は全国1位である。

 徳島県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は栽培きのこ類生産の方が多い。栽培きのこ類生産は2016年75.7%、2017年72.9%であった。

[3]徳島県の木材生産
 徳島県の木材生産産出額は2016年26.2億円(全国23位)、2017年29.2億円(全国24位)で、木材生産量は2016年29.7万㎥(全国22位)、2017年30.2万㎥(全国23位)と増加している。

 2017年の素材生産の樹種を紹介すると、すぎ24.6万㎥、ひのき3.5万㎥、広葉樹1.8万㎥、あかまつくろまつである。

 徳島県の人工林面積は全国23位の19.0万haと紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は1.59㎥/haである。全国平均0.85㎥/haより大きい。すぎの生産に加え、ひのきの生産も行っていることから、地道に経営を続けていると捉えられる。資源的には今後も成長が可能と言える。

 徳島県はMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017では分類2-1に入っている。人工林率が高く、先人の努力の結果が現在に残されている。

(続く)

  • 2020.09.08
  • 田中

四国地方各県の森林生産力を見て行こう34

3-5-2 高知県

[1]高知県の森林
 高知県の森林面積は全国11位の59.5万haである。森林率は全国1位の83.8%で森林県である。高知県の人工林面積は全国5位の38.8万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国2位の65.2%と高く、歴史の長さと先人の努力の結果である。

[2]高知県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 高知県の林業産出額は2016年84.3億円(全国16位)、2017年91.8億円(全国14位)であった。それぞれ全国の1.8%と2.0%である。

 また高知県の栽培きのこ類生産額は2016年14.5億円(全国27位)、2017年11.8億円(全国32位)であり、20億円と比べると少ない。

 そして、高知県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は木材生産の方が多く、その割合は木材生産産出額が2016年75.9%、2017年77.5%であった。

 高知県は和歌山県と同様に特用林産物の炭の生産が多い県である。土佐備長炭の生産製造流通が確立されており、品質を保ち流通させていくことが得策であると考えられる。

[3]高知県の木材生産
 高知県の木材生産の特徴はすぎとひのきを主に生産していることである。高知県の木材生産の産出額は2016年64.0億円(全国9位)、2017年71.1億円(全国7位)であった。そして高知県の木材生産量は2016年53.3万㎥(全国12位)、2017年56.1万㎥(全国13位)である。2017年の素材生産の樹種を紹介すると、すぎが29.7万㎥、ひのき21.4万㎥、広葉樹2.5万㎥、その他針葉樹1.9万㎥、あかまつくろまつであった。隣県の愛媛県との差は少ない。

 高知県の人工林面積は全国5位の38.8万haであることを紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は1.45㎥/haで、全国平均0.85㎥/haより大きい。材積成長量との関係と考えると、高知県は十分に余力がある状態と考えられる。

 高知県はMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017では分類1-2に入っている。高知県は地元の方が一丸となって森林を育て、森林内の車道網も積極的に入れている県である。個人的には千本山の魚梁瀬杉に圧倒された経験は貴重な思い出である。
(続く)

  • 2020.09.07
  • 田中

四国地方各県の森林生産力を見て行こう 33

 四国地方の4県の内、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の分類は次の様である。分類1-2には愛媛県と高知県の2県、分類2-1には徳島県、そして分類4には香川県が分類されている。分類1-2の県は栽培きのこ類生産が少ないが、木材産出量が多く、年間50万㎥以上の県である。分類2-1の県は栽培きのこ類生産が多く、木材産出量が20万㎥以上50万㎥未満の県ある。分類4は栽培きのこ類生産額が多く、木材産出量が10万㎥未満の県である。

 四国地方は歴史のある林業地が多い。2017年の木材生産量の多い順にそれぞれの県の特徴を紹介していく。

 なお、表3-5に2017年の四国地方各県の森林生産力に関するデータを掲載している。

表3-5 2017年四国地方森林生産力データ

表3-5 2017年四国地方森林生産力データ

参考文献:林野庁「森林統計要覧2019」

3-5-1 愛媛県

[1] 愛媛県の森林
 愛媛県の森林面積は全国23位の40.1万haである。森林率は全国19位の70.7%で森林率は日本全体の森林率より大きい森林県である。そして愛媛県の人工林面積は全国13位の24.5万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国6位の61.0%と高くなっている。

[2]愛媛県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 愛媛県の林業産出額は2016年77.3億円(全国19位)、2017年81.6億円(全国18位)であった。全国の1.8%程度である。

 次に愛媛県の栽培きのこ類生産額は2016年15.5億円(全国26位)、2017年14.3億円(全国26位)である。愛媛県は栽培きのこ類生産を行っているが、あまり多いとは言えない。地元を中心に周辺地域で消費している状態と考えられる。

 そして、愛媛県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は木材生産の方が多く、木材生産産出額が2016年79.7%、2017年81.3%と多くなっている。

[3]愛媛県の木材生産
 愛媛県の木材生産の特徴はすぎとひのきの生産が多いことである。愛媛県の木材生産の産出額は2016年61.6億円(全国10位)、2017年66.3億円(全国10位)で、木材生産量は2016年54.1万㎥(全国11位)、2017年60.6万㎥(全国10位)であった。2017年の素材生産の樹種を紹介すると、すぎが34.6万㎥、ひのきが24.0万㎥、あかまつくろまつ1.9万㎥、その他針葉樹と広葉樹が少しと続いている。

 愛媛県の人工林面積は全国13位の24.5万haと多いことを紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は2.48㎥/haである。全国平均0.85㎥/haより大きくしっかりと木材生産を行っていることがわかる。育林業が盛んな歴史があり、森林の成長が良いことから今後の増産の可能性も大きい。

 愛媛県はMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017では分類1-2に入っている。愛媛県の森林はしっかりと手入れをされている所が多いという印象がある。また木材を活用した公共施設建設にも積極的に取り組んできた。森林の材積成長量との関係と考えると、愛媛県は資源をさらに有効に活用することが期待されている。

(続く)

  • 2020.09.06
  • 田中

中国地方の森林生産力を見て行こう32

3-4-6 中国地方各県の森林生産力
 ここまで中国地方の5県の森林生産力を見てきたが、それぞれに歴史があり、中国山地の標高の高い所に森林はあり、森林率は高い。人工林については先人の努力により今があることが推測できる。現状を把握した上で、将来について考え前進する参考にしていただきたい。

1)中国地方の栽培きのこ類生産
 中国地方の栽培きのこ類生産が盛んな県は広島県である。その他の県も生産はしている。中国地方の特徴はエリンギの生産である。地域の生活に合わせた生産と考えられる。その他のきのこは小規模に行っていると推察できる。それについても日本文化の継承のために生産の継続を望むところである。

2)木材生産について
 中国地方各県はすぎだけでなく、どの県もひのきと広葉樹の生産が多いことが特徴である。それに加えあかまつくろまつの生産も行っている。

 ひのきの生産量は岡山県が多く、ひのきの恩恵を受けている県と言える。次いで広島県もひのきの生産量は多いがすぎと広葉樹の方が主に生産されている。日本海側の島根県、鳥取県、そして山口県はひのきが少ない。

 2017年の木材の生産量は表3-4の素材生産量の項に見るように、多い方から島根県、広島県、岡山県、鳥取県、山口県と続き、その生産量は19.3万㎥~41.5万㎥である。前年の2016年は、岡山県と広島県の順位が逆であった。

 中国地方の各県の人工林面積当たりの木材生産量は分類2の4県では1.63から2.02㎥/haになっている。また分類3の山口県も0.99㎥/haになっている。生産量の多い県少ない県があるが、それぞれの県が地道に生産を続けている。これからも産業としての継続を期待したい。

3)すぎについて
 中国地方の鳥取県、島根県、山口県はすぎと広葉樹の生産量が多い。中国地方は東西に長いが、現在は高速道路はじめ道路網ができて、時間距離が短くなり、近くなっている。互いに生産量の少ない点は協力することで規模を大きくすることが可能である。人を増やすことはできなくても機械やICTの活用によって効率的な経営を模索すると良いと考えられる。

 ひのきだけでなく、すぎや広葉樹の評価が高まり、価格が上がることが望ましいが、この40年の木材業界のことを打破するために協力する方向を目指してほしいと筆者は考えている。

 歴史があり、技術がある地域の人が協力することで新たな日本の森林の在り方が地域の人々から考え出されて来ることを願っている。

(続く)

  • 2020.09.05
  • 田中

中国地方各県の森林生産力を見て行こう31

3-4-5 山口県

[1]山口県の森林
 山口県の森林面積は全国20位の43.7万haである。そして森林率は全国17位の71.5%と高い森林県である。山口県の人工林面積は全国22位の19.5万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国22位の44.6%と高くなっている。

[2]山口県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 山口県の林業産出額は2016年25.2億円(全国35位)、2017年26.9億円(全国36位)と少ない。全国の0.5%、0.6%である。

 また山口県の栽培きのこ類生産額は2016年3.7億円(全国42位)、2017年4.1億円(全国40位)と少ない。

 山口県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は木材生産の方が多く、木材生産産出額が2016年84.9%、2017年82.5%であった。

[3]山口県の木材生産
 山口県の木材生産の産出額は2016年21.4億円(全国25位)、2017年22.2億円(全国26位)で、木材生産量は2016年19.1万㎥(全国27位)、2017年19.3万㎥(全国29位)である。2017年の素材生産の樹種を紹介すると、すぎ11.6万㎥、ひのき4.0万㎥、広葉樹3.5万㎥、あかまつくろまつであった。

 山口県の人工林面積は全国22位の19.5万haと紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は0.99㎥/haである。全国平均0.85㎥/haより多いが、中国地方の中では特に少なくなっている。木材の蓄積量が増加している状況と推測され、増産の可能性はあると考えられる。

 山口県の森林生産力は分類3に入っている。もう少しで分類2-2に入れるところである。

(続く)

  • 2020.09.04
  • 田中

中国地方各県の森林生産力を見て行こう30

3-4-4 鳥取県

[1]鳥取県の森林
 鳥取県の森林面積は全国34位の25.9万haである。そして森林率は全国13位の73.8%と高い森林県である。鳥取県の人工林面積は全国31位の14.0万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国14位の54.1%と高くなっている。

 鳥取県は智頭林業が有名である。

[2]鳥取県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 鳥取県の林業産出額は2016年29.0億円(全国32位)、2017年31.0億円(全国32位)であった。全国の0.6%、0.7%と現在は少ない。

 また鳥取県の栽培きのこ類生産額は2016年9.2億円(全国35位)、2017年10.4億円(全国33位)と少ない。エリンギ、生しいたけなどを生産している。

 鳥取県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は木材生産の方が多く、木材生産産出額が2016年68.3%、2017年63.2%であった。

[3]鳥取県の木材生産
 鳥取県の木材生産の産出額は2016年19.8億円(全国28位)、2017年19.6億円(全国30位)で、木材生産量は2016年22.3万㎥(全国25位)、2017年22.8万㎥(全国27位)である。2017年の素材生産の樹種を紹介すると、すぎ15.1万㎥、ひのき3.7万㎥、広葉樹2.7万㎥、あかまつくろまつ、その他針葉樹であった。

 鳥取県の人工林面積は全国31位の14.0万haと紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は1.63㎥/haである。全国平均0.85㎥/haよりかなり多い。

 鳥取県の森林生産力は分類2-2に入っている。日本海側に位置し冬季は雪が多いため、通年での経営は工夫して行っている。

(続く)

  • 2020.09.03
  • 田中

中国地方各県の森林生産力を見て行こう29

3-4-3 島根県

[1]島根県の森林
 島根県の森林面積は全国15位の52.4万haであり、森林率は全国4位の78.2%と高い。島根県は森林県である。そして島根県の人工林面積は全国19位の20.5万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国35位の39.2%と少し低くなっている。

[2]島根県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 島根県の林業産出額は2016年53.6億円(全国26位)、2017年58.2億円(全国26位)であった。全国の1%強である。

 また島根県の栽培きのこ類生産額は2016年16.8億円(全国24位)、2017年16.9億円(全国24位)である。島根県の栽培きのこ類生産はあまり多くはないが観光地などでの消費を担っていると考えられる。

 島根県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は木材生産の方が多い。木材生産産出額は2016年66.6%、2017年67.2%である。

[3]島根県の木材生産
 島根県の木材生産産出額は2016年35.7億円(全国19位)、2017年39.1億円(全国18位)で、木材生産量は2016年36.6万㎥(全国18位)、2017年41.5万㎥(全国17位)と増加している。この増加は数年続いている。(島根県のwwwより)
2017年の素材生産の樹種を紹介すると、すぎ23.4万㎥、広葉樹9.8万㎥、ひのき5.3万㎥、あかまつくろまつ2.7万㎥である。

 島根県の人工林面積は全国19位の20.5万haと紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は2.02㎥/haである。全国平均0.85㎥/haよりはるかに大きい。地道に経営を続けていると捉えられる。2016年から2017年に木材生産量が増加しているが、資源的には今後も増産が可能と言える。

 島根県の森林は立派によく手入れされている印象がある。しっかりと木材生産が行われ今後も産業として継続してほしいものである。

 島根県の森林生産力は分類2-2に入っている。

  • 2020.09.02
  • 田中

中国地方各県の森林生産力を見て行こう28

3-4-2 岡山県

[1] 岡山県の森林
 岡山県の森林面積は全国17位の48.3万haである。森林率は全国24位の67.9%で全国の67.2%より多い。森林の多い森林県である。岡山県の人工林面積は全国18位の20.5万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国29位の42.5%である。歴史の長さが感じられる。

[2]岡山県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 岡山県の林業産出額は2016年62.1億円(全国25位)、2017年64.2億円(全国25位)であった。全国の1.4%程度である。

 また岡山県の栽培きのこ類生産額は2016年11.7億円(全国31位)、2017年12.2億円(全国31位)と少ない。岡山県は栽培きのこ類生産と共にまつたけの採取を行っている。

 岡山県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は木材生産の方が多く、その割合は木材生産産出額が2016年80.4%、2017年79.0%であった。

[3]岡山県の木材生産
 岡山県の木材生産の特徴はすぎとひのきを主に生産しているが、ひのきの方が多いことである。岡山県の木材生産の産出額は2016年49.9億円(全国14位)、2017年50.7億円(全国14位)であった。そして岡山県の木材生産量は2016年36.4万㎥(全国19位)、2017年37.1万㎥(全国19位)である。2017年の素材生産の樹種を紹介すると、ひのき23.0万㎥、すぎが11.3万㎥、広葉樹2.2万㎥、あかまつくろまつ、その他針葉樹であった。ひのきがすぎの約2倍になっている。

 岡山県の人工林面積は全国18位の20.5万haであることを紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は1.81㎥/haで、全国平均0.85㎥/haより大きくなっている。ひのきの生産量が多く、地道に木材生産を続けている。材積成長量との関係と考えると、岡山県は十分に余力がある状態であるが、生産量の変化が少ないことから安定した生産が行われていると考えられる。

 岡山県の森林生産力は分類2-2に入っている。
(続く)

  • 2020.09.01
  • 田中

中国地方各県の森林生産力を見て行こう27

 中国地方の5県について、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の分類は次の様である。分類2-1には広島県、分類2-2には島根県、岡山県、鳥取県の3県、分類3には山口県が分類された。中国地方で栽培きのこ類生産額が20億円より多い県は広島県1県である。分類2-1と分類2-2の4県は木材産出量が20万㎥以上50万㎥未満の県である。分類3は栽培きのこ類生産額が少なく木材産出量が10万㎥以上20万㎥未満の県である。中国地方は歴史のある林業地が多いが、現在の生産量はあまり多いとは言えない。他の地方は2017年の木材産出額の多い順に記したが、中国地方の順番が2016年と2017年で変わるため、林業産出額の多い順にそれぞれの県を紹介していく。

 なお、表3-4に2017年の中国地方各県の森林生産力に関するデータを掲載している。

表3-4 2017中国地方森林生産力データ

表3-4 2017中国地方森林生産力データ

3-4-1 広島県

[1] 広島県の森林
 広島県の森林面積は全国10位の61.1万haである。森林率は全国15位の72.1%で森林率は日本全体の森林率より大きく森林県である。そして広島県の人工林面積は全国20位の20.1万ha、人工林率は全国平均が40.7%のところ、全国41位の32.9%と低くなっている。

 広島県は中国地方の中で人口の最も多い県である。歴史も長く多様に改良されて現在の県土の姿があると考えられる。

[2]広島県の林業産出額と栽培きのこ類生産について
 広島県の林業産出額は2016年72.1億円(全国23位)、2017年78.0億円(全国20位)であった。全国の1.5%と1.7%である。

 また広島県の栽培きのこ類生産額は2016年43.7億円(全国15位)、2017年44.5億円(全国13位)と多い。広島県はエリンギの生産が全国3位である。

 そして、広島県の林業産出額に対し木材生産産出額と栽培きのこ類生産額の占める割合は栽培きのこ類生産の方が多く、栽培きのこ類生産額が2016年60.6%、2017年57.1%であった。

[3]広島県の木材生産
 広島県の木材生産の特徴はすぎとひのきの生産が多いことで年によって樹種の順序が異なっている。

 広島県の資料によると人工林面積の6割近くがひのきで、すぎ、あかまつ、その他と続いている。また木材産業としては外材を含めた製品出荷量は全国一である。この数年の県産材供給量は「急速に増加」しているとのことである。(広島県のwww資料より)

 広島県の木材生産の産出額は2016年28.4億円(全国22位)、2017年32.7億円(全国21位)で、木材生産量は2016年33.9万㎥(全国21位)、2017年37.3万㎥(全国18位)であった。2017年の素材生産の樹種を紹介すると、広葉樹が13.3万㎥と多く、すぎが11.7万㎥、ひのきが10.3万㎥、あかまつくろまつと続いている。参考までに2016年の広島県の素材生産の樹種も紹介すると、広葉樹が14.8万㎥と多く、ひのきが9.3万㎥、すぎが7.8万㎥、あかまつくろまつと続いている。広島県の素材生産の樹種は広葉樹が多い。それにすぎひのきと続き、生産量は年により異なっている。

 広島県の人工林面積は全国20位の20.1万haと紹介したが、2017年の人工林面積当たりの生産量は1.86㎥/haである。全国平均0.85㎥/haより大きい。広島県はひのきの生産量も多く、小規模な木材生産の産業も維持していると言える。材積成長量との関係と考えると、広島県のこの数字は、資源的にはまだ十分に余力のある状態と言える。今後森林資源調査の結果に基づく広島県の計画を立案し、計画的に進めると増産できる可能性は高い。

 広島県の森林生産力は分類2-1に入っている。

(続く)

  • 2020.08.31
  • 田中

関東地方各都県の森林生産力を見て行こう26

3-3-8 関東地方の各都県の木材生産

1)分類1-1と分類2-1の3県
 関東地方北部に位置する茨城県、栃木県、群馬県は産業としての条件が異なっている。MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2016では3県とも分類2-1であったが、MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017では栃木県が分類1-1に変わっている。

 まず栽培きのこ類生産は表3-3からわかるように、3県とも年間20億円以上の生産があり安定している。特に群馬県は全国12位である。関東地方は中部地方ほど突出した県はないが、消費地に近い立地を活かし、安定した経営を行っている。この点での森林の活用は続いてほしい。

 次に木材生産について、栃木県の生産量の伸びは大きい。東北地方の県は木材生産量が多いがそれに肩を並べる60万㎥(2017年)になっている。人工林面積から見ると、計画的持続的に生産活動を続けることは可能であると考えられる。

 分類2-1の2県のひとつ、茨城県は人工林面積が比較的小さいが、43.5万㎥の生産を行っている。人工林面積当たりの生産量では、茨城県の3.92㎥/haは栃木県の3.86㎥/haと同様森林を活用しての木材生産を行っていると言える。

 分類2-1のもうひとつの群馬県は木材生産量については比較的少ない。北関東の上記3県の中では人工林面積は広いが、年間22万㎥程度の生産量である。上記のように群馬県は栽培きのこ類生産の方に力があると言える。

2)すぎの生産について
 関東地方はすぎの生産量が多い。7割がすぎであった。特に栃木県、茨城県、群馬県はすぎが多い。それに対しひのきは1都6県で17%程度であり、関東地方では現在ひのきは貴重な存在である。このように関東地方はすぎの生産が中心であり小規模な作業ではなく規模を広げた伐出コストの低減を図ることが重要になってくる。栃木県の木材生産の躍進は産業としての中心となり今後も推進することが期待される。国立公園などの制約がある中、堅実な森林生産力があると言える。

 茨城県は人工林の活用の観点から見ると元気である。木材生産量では目立つほど多くはないが、東北各県とも協力して今後も首都圏と流通をつなぐ役割を果たしてくれることが期待される。

 群馬県は木材生産自体上記2県と比較すると少ないが、栽培きのこ類生産と合わせた森林の活用が為されている。

 このように北関東3県の条件は異なる。状況も明らかに違い、それぞれの森林の活用方法を考え実行していると評価できる。それがMTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017の結果に表れている。自県の長所と隣県の長所を知り、できれば協力体制を築くことにMTANAKA方式都道府県森林生産力分類を使ってほしいと考えている。

 また近畿地方のところで既述したが、木材を売る場合には、最終消費者のことを考えて商品開発をする必要がある。残念ながら大径材を活かした用途開発が未だできていない。多くの方々にご協力いただきたい。

3)分類5の4都県
 関東地方の埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の4都県は、既述のように栽培きのこ類生産も木材生産も少なく分類5に入っている。しかし、それぞれ少量ながら生産は行っている。その事情は異なることを見てきた。小さな規模の生産が成り立つのであれば継続して発展してもらいたい。

 この4都県では事情は異なっているが、森林に関わる生産よりも、他産業が中心であり、人口も多いことは共通している。森林は住民のために環境としての存在が重要になっている。治山治水等の環境整備や教育の場、レクレーションの場、その他ボランティア活動の場の提供など、人口の多い都市の森林としての役割が大きい。逆に人口の多い地域の森林は放置すると近隣住民との間に問題が起きることがある。生産を目的としない森林であっても生物は成長し変化するため管理のための森林作業は必要である。

 人口の多い地域では森林の管理は木材生産その他の産業とは異なる意味で重要である。伐採した間伐木や掃除した枝条や雑草などは処分するよりコストが合えば有効活用することが望ましい場合もある。ごみとして処分するのには土地の少ない地域ではコストが嵩むことになるからである。

 バイオマスエネルギーの活用が可能になった今日、隣県との交通網が整備され協力し合って整備することを推進できたら良いだろう。そして資源を有効活用することができるのではないか。

 MTANAKA方式都道府県森林生産力分類2017を作成し、分類5の都県は無理することなく、自分の地域の森林を地域のため住民のために役立つことを考えていただきたい。また、国民の生活のために木材の活用についてのアイディアを出す手伝いをするなど、役立つことを推進して欲しいと考えている。

(続く)

  • 2020.08.30
  • 田中
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